京都芸大で受けた刺激に心ときめく9月22日金曜日の記録
お、彼岸花。
この花が咲くと、長かった夏が終わり、待ち侘びていた、けれどもなんとなくこころ寂しくなる季節が近づいてきたと思うのです。
やっと、ようやく、湿気が落ち着いて心地よい秋の気配がしてきましたね。
本日は京都外国語大学のALKOTTOと京都芸術大学のWhole Love Kyotoのコラボ企画、Podcastの打ち合わせをするために、外大前のバス停からはるばる50分、叡電沿い茶山の上終町に降り立ちました。
上終町って、「かみはてちょう」と読むのですね。「終わり」を「果て」と読むとは、なんて綺麗で文学的な町名なのでしょう。わたしは(エモい読み方だなあ)なんて不意に思いましたが、「上終」のように、「エモい」をもう少し綺麗なことばで表したいものです…。
待ち合わせの時間より少し早めに行ったのには目的がありました。
それはヴォ―リズ建築の「駒井家住宅」の前を通ること。ここは昭和初期に建てられた京都大学教授の駒井卓博士の洋風の邸宅で、東華菜館や大丸百貨店を手掛けたウィリアム・メレル・ヴォーリズの建築です。この付近にはなかなか来る機会がなく、しかも完全予約制、金・土のみ一般公開なので、足が遠のいてしまっていたのです。
たまたま芸大の近くだったので、これはぜひとも近くで見てみたい、ということで、白川疎水沿いを散歩しました。
植木の合間からすこししか見えませんでしたが、すでに窓が面白い。
写真の様子からもわかる通り、わたしが想像していた洋館よりも意外と質素で落ち着いた洋館の佇まいをしていました。説明書きによれば、2階にある和室の窓は障子と上げ下げ窓を併用した出窓なのだとか。
見たい。非常に中を見たいので、機会を作って予約を入れようと心に誓いました。
ちなみに彼岸花を見つけたのもこの時。
雨が降ったりやんだりで湿気がすさまじい日でしたが、この日を境に秋らしくなりました。道端の1輪の彼岸花は、わたしに秋を知らせてくれていたのでしょうか。
さて、約束の時間が近づいてきたので芸大に向かいましょう。
毎日この階段を登って教室に行くのか…と思ったら、実はエレベーターもちゃんとあるらしい芸大の「天に翔ける階段」。夕焼けの頃の景色は格別なのだとか。
階段を登りきると、芸大の学生さんたちがねぶたを作っていました。その正体は京都の粟田神社の粟田祭で巡行に使用される「粟田大燈呂」。古く戦国時代に公卿や町衆を感嘆させた「風流灯篭」を、当時の形に則して復興させたものだそうです。
すごい!芸大では外大とは異なる、プロフェッショナルな方法で祭礼を支援することができる。同じく祭礼の支援に携わっている者として、なにか一緒にできたら面白そうだと思いました。製作中、ディズニーのエレクトリカルパレードを流しながら作業に取り組んでいるようすも、くすっと癒される光景でした。
今回の打ち合わせでは、お互いにどのような活動をしているのか、それぞれの活動にどのような強み・弱みがあるのか。京都芸術大学のT5(ティーファイブ)とはどんな組織なのか。どんなことを一緒にすれば面白いことになるだろうか。Podcastでどんなコンテンツを発信すれば面白いだろうか。そんなことをディスカッションしました。
T5は、京都の伝統工芸の職人さんや飲食店などを取材した記事での発信や、商品開発な府度の活動を行っている京都芸術大学内の研究室で、『Whole Love Kyoto』はT5が運営と製作に携わるブランドです。その1企画として、Podcastの出演のお話をいただいたというわけです。
作り手サイドで高い専門性を活かした発信活動を行う芸大、それに対し「観光」「外国語」というキーワードで受け手サイドに立った発信活動を行う外大。
お互いのいいところを活かして、なにか大学間でワクワクすることができないだろうか。大学で協力し合って、京都の伝統産業・芸術や観光、外国語を絡めて誰かを幸せにできるコンテンツができるのなら、ビジネスだってできるかもしれない。
こんな夢のようなお話に、胸がときめきました。
話を突き詰めていくことができれば、もしかしたらわたしが最近ふわふわ考えていた、『起業して自分の作り出したもので世界をすこしでもHappyにする』将来の形が見えてくるかも。
芸大の高い専門性と作り手に寄り添った内容のような、外大生であるわたしたちのメディア、ALKOTTOならではの魅力っていったい何でしょう?
本格的に芸大と協力したいのなら、まずはそれを構築しなければなりませんね。
今後の活動も頑張らなくては!
刺激をたくさん受けてワクワクしたところで、日も落ちてきたので打ち合わせはお開き。
その後Whole Love KyotoのHANAO SHOESを販売しているCHIMASKI Studio にお邪魔させていただきました。
優しい灯りとあたたかい桐箱の木の香りがひろがるスタジオ。Whole Love Kyotoの職員やT5の学生が活動や作業に使用するほか、HANAOSHOESに京七宝や京瓦でできたアイススプーン、京都100年かるたなどの商品が購入できるショップとして使われています。
わたしもお気に入りのHANAO SHOESは、このスタジオに足を運んできてくれたお客様に限り、お好みの鼻緒を選んでHANAO SHOESを作ってくれるそうです。わたしが狙っているのは真田紐のシューズ。靴紐に使用しているのはよく見かけるけれど、丈夫に仕上がった太めの真田紐をシューズそのものに巻き付けるようにして装飾しているのが独特で、なんとも人目を惹きます。しかもこの真田紐は付け替えが可能らしく、好みや気分、コーデに合わせて楽しめるのだとか。
これはいち真田ファンとしても、ぜひとも欲しい。
(写真: https://wholelovekyoto.jp/2022/07/15/sanada-band-shoes-yamabuki/ から引用)
京都、ひいては日本の伝統が、芸大のもつデザインの専門性やクリエイティビティに触れて、わたしたちの日常のなかに非日常のかけらとして溶けこんでいく。
HANAO SHOESを履いたときの非日常感は、高揚感や特別感はそのままに、いつしかわたしの日常になりました。こうして伝統工芸品というものが受け継がれていくというのは、じつによいものです。
Whole Love Kyoto でもALKOTTOでも、発信という面では似たような活動をしていますが、ふたを開けてみればお互いの特性を生かした方法で、全く違うかたちで発信をしているので、意見交換をしていてとても勉強になるし興味深かったです。
夏休みが終わり、新しい季節が始まって、異なる専門性をもった大学間で協力すればもっと面白いことができるのではと刺激を受け…。伝統産業の継承と芸術、観光と外国語というキーワードで、なにかおもしろくてわくわくすることを始めたいと思った1日でした。これ以上ない新学期のスタートダッシュです。
さあ、いよいよ芸術と行楽の秋がやってくるぞ。
(編集:3回生 剱物 真桜)