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「京都学生祭典」-京都三大祭りに続け、学生が主役の京都のお祭り

こんにちは。ALKOTTO3回生の鈴木里菜です。

本記事は、大学企画のマガジン「学生のまち『京都』で描く未来」の第2弾です。わたしは、今年の10月13日(日)に開催される京都学生祭典の実行委員長である篠原さんに取材をしました。取材を通して知ることができた京都学生祭典の実行委員の皆さんが描く京都での未来について書きました。


皆さんは京都学生祭典というイベントを知っていますか?2003年から始まったこのイベントは今年で開催22年目。京都の20を超える大学・短期大学・専修学校などの学生が集まって企画・運営をおこなう「学生が主人公」のイベントなのです。しかもこの祭典は来場者数がなんと10万人を超える一大イベントで、毎年10月に平安神宮前・岡崎プロムナード帯にて開かれています。

人口の1割を学生が占めているということから「学生のまち」といわれている京都。そこで、学生主体で何かできないかという想いをきっかけにこの祭典が始まり、現在も継承されているのだそうです。つまり、京都学生祭典とは、学生のまち・京都で学ぶ大学生だからこそできる学生プロデュースのお祭りなのです。


まずは取材を受けてくださった実行委員長の篠原さんについて、お聴きしたことを篠原さんの言葉でご紹介します。篠原さんは、山口県出身の大学3回生で立命館大学に通われています。


わたし「篠原さんが京都学生祭典に入ろうと思ったきっかけは何ですか?」

篠原さん「わたしが通っている大学の新歓ブースに京都学生祭典がたまたまあって。高校生の時に部活をやっていなかったので、大学では何かしたいと思っていて、たまたま見つけた京都学生祭典が結構いろんな大学が集まるインカレだったので入りました。」


わたし「実行委員の方が120人以上いるなかで実行委員長を務めていて感じるやりがいや大変なことは何ですか?」

篠原さん「やりがいは、規模の大きなプロジェクトを任せてもらっているので、なかなかほかの大学生はできないようなことをいろいろやらせてもらっていること。すごく自分自身の良い経験にはなっているなと常に感じています。大変なことで言うと、部署によって結構やることが違うので、そこをいかにまとめるかという点。目指す方向を1つに統一するっていうことがやっぱり難しいのかなと思います。各部署に所属している人は、その部署のことしか見えていなくなってしまいがち。でもすべての活動は学生祭典全体のためにあるんだよっていう、ゴールや目的をちゃんとみんなに伝えていくことが大変だなと思います。」


わたし「篠原さんが今まで実行委員として活動をしていて、最も印象に残っているエピソードを教えてください。」

篠原さん「私は1回生の時の本祭当日が一番印象に残っています。1回生の時は広報部だったんですけど、入ったばっかりだったので何のためにやっているのかとか全然わかっていない状態でした。ですが、ずっとやってきたことが本祭当日に『あ!私はこのためにこの活動をやっていたんだ。』ということをすごく実感できました。あとはやっぱり規模が大きいなということを改めて感じました。なので、最初の年の本祭がめちゃくちゃ記憶に残っています。」


わたし「この活動をしていて良かったと思うことは何ですか?」

篠原さん「インカレということもあって、いろんな大学の人と仲良くなれるっていうのはこの団体に入ったからできたことだと思います。あとはやっぱりすごくいろんなことをやらせてもらえるので、つながりが増えていくというか子どもから大人まで関わることができるので、それがやってよかったなあって思います。」


明るくて気さくな篠原さんですが、120人以上の委員の方々をまとめ上げることはきっと並大抵の大変さではないと思います。そんな中でもできるだけ一人ひとりの委員の方と向き合おうと積極的にコミュニケーションをとるように努力されているということが取材を通して分かり、篠原さんのことを同世代としてとても尊敬しました。

京都学生祭典独自のおどり 「京炎 そでふれ!」

京都学生祭典には、第3回の学生祭典で誕生したオリジナルの創作おどりである「京炎 そでふれ!」というものがあります。一見、よさこいのおどりに似ていますが、実は手に持っているのはよさこいで使われる鳴子ではなく、四つ竹というカスタネットの竹バージョンのようなものを用いています。それを使って京都らしい振り付けや音楽、衣装などをもとにおどっています。


現在は、京都学生祭典のことをより多くの方に知ってもらおうということで、「京炎 そでふれ!」をさまざまな場所でおどっています。たとえば、地域で開催されるお祭りやよさこいの大きなお祭りなどです。さらには、出前教室といって京都府内の小中学校へ出向いて、おどりの簡単バージョンの振り付けを教えに行き、実際に体育祭で踊ってもらうという取り組みもおこなっています。


「京炎 そでふれ!」は京都学生祭典から生まれたおどりで、「ホストチーム」と呼ばれる11の大学によるチームがあります。このチームは大学1回生から3回生で構成されています。おどりの祭典の場では、それぞれのチームが集まり「京炎 そでふれ!」のショートバージョンやスペシャルバージョンなどを一緒におどるそうです。


「京炎 そでふれ!」は歴代のおどりを継承しているため、現役の実行委員の方から過去のOBOGの方々まで祭典に関わってきたみなさん全員がおどれるものになっています。4月に平安神宮で開催されている「さくらよさこい」というお祭りでは、京都学生祭典の現役の実行委員やホストチーム、そしてOBOGの皆さん全員で一緒におどるそうです。

京都学生祭典の顔となる、メインビジュアル

今回取材をするにあたって事前に調べた時に印象に残っていたメインビジュアルについて、毎年どのようにして決められているのか気になったので聞いてみました。

篠原さん「毎年、メインビジュアルのコンテストを開催していて、全国の大学生からイラストを募集しています。今年は18件の応募がありました。その中からまず実行委員で3つに絞って、その後は今年から導入したのですが、美術系の大学の審査員の方に審査をしていただきました。そこで各作品にコメントをいただいて、それを踏まえて実行委員が選ぶというかたちになっています。長年、メインビジュアルは全国から募集しています。京都の大学生がほとんどにはなるんですけど、1~2割くらい東京などほかの大学からも応募があります。」

毎年、全国からポスターのデザインを募り、決定されるメインビジュアル。京都学生祭典の実行委員のTシャツの裏にデザインされたり、さまざまな広報物にも使われたりするため毎年の顔になる大切なもの。そんなメインビジュアルについて実行委員の方はどのように思われているのか、メインビジュアルに込める想いも教えてもらいました。

篠原さん「私の感覚でいうと毎年『今年のメインビジュアルが一番いいやろ』って言っていて、でもそれを毎年更新していくので、すごく愛着があるというか『今年のデザインが1番!』って毎年言っています。毎年、素敵な作品をたくさん応募してくださるので自分たちもすごく愛着がわいています。メインビジュアル結構良いです。」

実行委員のTシャツにデザインされるメインビジュアル


祭典だけではない京都の地域に貢献する活動

京都学生祭典の実行委員の皆さんは、祭典当日の活動だけではなく、地域活性化や国際交流、環境活動などにも取り組まれています。これらの取り組みは、おもに実行委員の中の年間交流部という地域と根付く部署でおこなわれています。

地域活性化への取り組みの目的は、学生祭典のTシャツを着て京都の地域の方々とのボランティア活動に参加することによって、京都学生祭典の活動を広めていこうということです。さらには、プレイベントというイベントも年に1~2回ほど開催しています。今年はイオンモールで開催されたため、地元の家族連れの方をターゲットにイベントをおこないました。

篠原さん「今年のイオンモールでやった企画としては、小さいお子さんの家族連れが多いので、巨大ジェンガとか巨大神経衰弱とか、あとは四つ竹づくりといって『京炎 そでふれ!』で使う四つ竹を一緒につくって、良かったら一緒におどろうみたいなことをやっています。このように、毎回ターゲットに合わせて企画を考えたりしています。」

ボランティアという形で地域の方々と関わるようにしていますが、ただの労働力になって都合の良い学生として利用されないように、Tシャツを着て参加したり祭典のチラシを配ったりしながら活動されています。篠原さんは、「ただ地域の方々と関わるのではなく、祭典をより広報して多くの方に知ってもらうということを意識しながら地域活性化に取り組むことを意識しています。」とおっしゃっていました。

プレイベントの様子


国際交流の取り組みでは、京都で学ぶ留学生との交流も盛んにおこなわれています。

篠原さん「おもに年間交流部が主体となっておこなっている『留学生交流会』というものを年に3回ほど実施しています。京都学生祭典の実行委員と実行委員ではないほかの大学の留学生を集めてやっている企画があります。今年やったのでいうと1回目はスポーツを一緒にやって、2回目は一緒に京都の文化を学ぼうということで京友禅体験をしました。3回目は運動会をやる予定です。このようなかたちでいろんな大学の留学生と関わっています。」

祭典の実行委員の中にも何名か留学生がいるそうです。今年は、京都学生祭典をもっと国際化していこうということを目標にしており、その一環として留学生も実行委員として積極的に受け入れていこうとしているとのことです。

留学生交流会


これらの活動に加えて、環境活動にも力を入れて取り組まれています。

祭典中にはどうしてもごみが発生してしまうけれど、祭典を実施することで環境に負荷をかけてしまうことをできるだけ減らそうということで、祭典の第6回から「KYO-SENSE活動」というものが始まりました。

篠原さん「環境問題をメインでやっている団体ではないですが、やっぱりお祭りをやっていく主催者側としてどんどんごみを出していくのはもちろん違うよねということで環境問題にも配慮するということを忘れないということを大切にしています。本祭当日には、リユース食器っていうものを使って、本祭のなかでの食企画ではお皿とかのごみが出ないようにリユース食器を使って回収をするっていう取り組みをしています。あとは本祭でSDGsに関連した企画を毎年何かしらやっていたりするので、そういうところで本祭でも環境問題を忘れないということを意識しています。例えば、去年の本祭の企画では『SDGs×ファッション』というものをやって、それは使わなくなった着物をリメイクして各大学のサークルの方々にSDGsをテーマに衣装を作ってもらうっていうことをやりました。」

京都学生祭典が描く京都でのこれから

さいごに、京都学生祭典が京都で描く未来についてお聞きしました。

わたし「京都学生祭典の実行委員の方々は、さまざまな京都の大学の学生有志の集まりだと思うのですが、この祭典をきっかけにどのくらい横のつながりができましたか。また、京都の学生同士としての団結力みたいなものを感じるときはありますか。」

篠原さん「実行委員が20大学くらいの学生で成り立っているので、実行委員になっただけでいろんな大学の人と関わることができて、かつ団体としてほかの学校の団体さんとかと関わることもあったりします。先日も、学生団体の集まりに参加したんですけど、そういうところに参加すると一気につながりが増えますね。ほかの団体の活動を見ていると、みんな京都を盛り上げるためにという目的でやっているんだなということを感じます。」


わたし「京都の学生が京都学生祭典を主催している魅力を教えてください。」

篠原さん「京都学生祭典ってお祭りをただ開催するだけではなくて、地域活動や国際交流など結構幅広くいろんなところで活動している団体で、ほかのお祭りとはまた違って年間を通して京都を盛り上げるために活動をしているので、そこが京都学生祭典ならではの魅力ですね。学生団体主催のお祭りは結構あると思うんですけど、ここまで年間を通していろいろやっている団体はそこまでないので、結構それは強みにもなるし、京都学生祭典の魅力ですね。」


わたし「最後に京都学生祭典の今後の展望をお聞かせください。」

篠原さん「京都学生祭典は、今年で22年目ですが、まだ22年なのでもっと長く続くお祭りにしていきたいなと思っています。長く続いていくのと同時にどんどん規模も大きくしていきたいです。わたしたちの目標が『京都四大祭り』にしようというもの。いわゆる京都三大祭り、祇園祭と葵祭、時代祭りってあると思うんですけど、そこに並べるようなお祭りになりたいっていう目的でやっているので、京都四大祭りになれるように頑張りたいなって思っています。」

京都に長く続く三大祭りのように京都学生祭典がこれからも末永く続くお祭りでありたいと熱く語ってくださった委員長の篠原さん。初め、わたしは京都学生祭典と聞くと祭典だけをおこなっている団体というイメージでした。しかし、インタビューを通じて京都の地域の方々との交流から国際交流まで幅広く関わりを持っているということが分かり活動の幅がとても広い団体なのだと最初の頃と印象がガラリと変わりました。


京都という街を学生の力で盛り上げていきたいという想いから始まったこの活動。活動規模は大きく人数も多いですが、その委員である大学生の皆さん全員が京都学生祭典をより良いものにしていこうという熱い想いを持って日々活動されています。そんな学生のまち・京都で大学生がお祭りを通して京都を盛り上げる素敵な活動にこれからも注目していきたいです。

この記事を読んで京都学生祭典について気になった方がいましたら、今年は10月13日(日)に開催されますので、ぜひ足を運んでみてください。

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