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「京大銭湯サークル」 京都の銭湯文化を100年先も


みなさん、こんにちは。
グローバル観光学科2回生の坂本ゆりあです。

わたしたちはいま、「京都の大学生が描く京都の未来」をテーマに、京都で活動する大学の団体やサークルなどに取材をさせていただいています。

今回は、京大銭湯サークルさんへの取材の様子をお届けしたいと思います!京大銭湯サークル副会長の丸山和栞さんと、和田晨さんにお話を伺いました。

おふたりとも京都大学の1回生で、丸山さんは哲学や倫理学を、和田さんは地球工学を専攻されています。
銭湯サークル会長の竹林さんのお人柄に魅了され、活動に参加されたのだそうです。



銭湯サークルの活動内容について

京大銭湯サークルさんは、定期的な活動として、毎週月曜日と土曜日の24時30分から、東山湯の清掃をされています。また、不定期の活動としては、源湯で定休日だけ、昼間に清掃活動をされているそうです。さらに、むらさき湯で開催されている「みんなともだち銭湯」というイベントのお手伝いもされています。子どもたちだけで銭湯に来ると無料になるというイベントで、子どもたちに紙芝居で入浴の仕方の説明をされているそうです。 


銭湯サークルの復興

京大銭湯サークルが誕生したのは2021年の10月。当時の会長さんが銭湯サークルを立ち上げ、翌年2022年の4月に2代目の会長さんが就任。順調に活動も拡大していきます。
ところが、2024年の3月に全員が卒業し、部員が1人もいなくなってしまったことで、銭湯サークルは消滅の危機を迎えます。その危機を救ったのが現会長の竹林さん。銭湯サークルが危機に瀕しているという風のうわさを聞いた竹林さんは、自ら3代目会長に就任。部員集めに奔走すると、竹林さんの明るいお人柄もあり、1ヶ月で100人にまで部員が増えたそうです。
現在では京大生以外にも、工芸繊維大や大谷大、精華大の学生も在籍しています。京都新聞やラジオからの取材もあり、ここ数ヶ月で京大銭湯サークルの知名度が上がったそうです。


銭湯サークル会長・竹林さんの人柄について

丸山さん「竹林さんの魅力を一言で言うなら、《少年っぽさ》だと思います。自分の好きなことにとことん向き合っていらっしゃる姿はとてもかっこいいです。自分のやりたいことを突き詰められる人ってほんのひと握りしかいないと思うので、そういう意味で人が寄ってくるんじゃないかと思います。」

和田さん「すごく愛を感じます。自分の好きなことに対する熱量が半端じゃないから、自分の中だけで収まりきらず、まったく関係のないところからいろんな人を巻き込んで良いものを作っていける人だと思います。サークル外の人からも親しまれていて、寮の中でも竹林さんの名前を知らない人の方が珍しいくらいです。」

そんな天性の愛されパワーを持つ竹林さんは、よく銭湯の常連さんと和気あいあいとおしゃべりをされているそうです。サークル内でも、みんなから親しまれるムードメーカーで、銭湯サークルの人数が一気に増えたのは竹林さんのおかげなのだそうです。

丸山さん「もともと銭湯が好きで入ったという人もいますが、わたしが銭湯サークルに入った理由は、大学入学をきっかけに新しいことに挑戦したいと思ったことです。」

和田さん「ぼくはたまたま会長の竹林さんと同じ寮に住んでいて、やっぱり竹林さんの人間的な魅力に惹かれて銭湯サークルの活動に参加しはじめました。」


銭湯の魅力と銭湯文化の継承

銭湯は人とのつながりを見ることができる場所。
その人の持っている社会的背景などがすべてない状態で一緒にお風呂に入ることで、属性にとらわれない人付き合いができます。

丸山さん「客層は変わらずに、コミュニティが毎年新しくなっていくところがおもしろいと思います。地域の銭湯のコミュニティは閉鎖的ではなく、温かい空間です。マナーがなっていないときに叱ってくれる人もいて、地域の秩序の中の1つだと思います。」

古き良き時代の面影をいまに残し、時代を越えて変わらない魅力を持つ銭湯。それでも時代のニーズの変化に合わせてマイナーチェンジをしていくことで、銭湯文化を次代に受けついでいくための努力を重ねているのだといいます。

丸山さん「番台方式ではなく、フロント方式に改装することで、お風呂上がりに団らんを楽しめるようになった銭湯があります。フロント方式の方がセキュリティ面でも安心ですし、そういう工夫をすることが銭湯を残し続ける方法の1つだと思います。」

和田さん「プライバシーを気にする人が多いのですが、広い銭湯だと人との距離が空くので入りやすいと思います。五香湯という銭湯はとても広くて周りのお客さんから見られている感覚もなく利用しやすいと思います。」

おふたりのお話を伺いながら、時代の変遷やその時々の人々のニーズに合わせた工夫を凝らすことが、銭湯を残していくために必要なのかなと思いました。

たとえば、最近人気なのは温泉やスーパー銭湯で、漫画が置いてあったり、24時間自由に出入りができたりと設備が充実している施設も多いようです。外国人観光客の増加も顕著です。日本の銭湯が好きな外国人の方も多いようです。しかし、中には銭湯でのルールが理解できていない方もいらっしゃるそうで、対策として、パンフレットやリーフレットの多言語化を挙げられていました。そうすることで、昔から利用されているお客さんのコミュニティを崩さず、新規のお客さんにも銭湯を楽しんでもらえると思います。


銭湯サークルの展望

和田さん「サークルとしてはそもそも続けていくことが大事だと思います。少しばかりですが、東山湯さんの力になれている部分もあると思いますし、それができなくなることが1番よくない結果だと思うので、まずは続けることです。できれば活動の幅を広げていきたいですし、その過程でメディアなどを通して銭湯に行く人が増えてくれたら嬉しいです。今の銭湯サークルの雰囲気はとてもよいです。掃除の時間も行くたびに速くなっていって、最初は90分くらいかかっていたのですが、今は1時間くらいで済んでいて、とてもよい傾向だと思います。しゃべりながらそのスピードで終えられているので、そういう雰囲気は人が増えても残していきたいです。サークルとしてのよさは残しつつ、それをいろんな人に発信していけるようなサークルになっていったらいいなと思います。

丸山さん「京都の銭湯は減少が顕著です。わたしたちがボランティアで掃除をするとか、イベントに出るとか、直接的な形での支援もできますし、インスタグラムの投稿やテレビへの出演で、新しい客層を呼び込んで、銭湯コミュニティを残し続けることに寄与することもできると思います。地域全体で銭湯を支えていくことができれば、そのまま文化として継承できると思います。一緒にやってくれる仲間を増やして、それを組織立った形にしていけば、会長や副会長が卒業した後もサークルとして存続していくと思います。その人でなければ回せないという状態を作らないことが大切だと思います。学生がいる限りは活動を続けていきたいです。」


京都のおすすめの銭湯

最後に、銭湯が大好きで京都の銭湯に精通しているおふたりに、おすすめの銭湯を聞いてみました。

和田さん「京都の銭湯にはそれぞれ個性があります。会長がよく行かれているサウナの梅湯さんや、夜遅くまで営業されている門前湯さん、紫野温泉さん、加茂湯さんもおすすめです。浴槽で鯉が泳いでいる銭湯(桜湯)なんかもありますよ。」

他府県の銭湯にはないユーモアが京都の銭湯の魅力の1つだそうです。
わたしは普段、銭湯に行く機会がないのですが、おふたりのお話を伺いながら、とても銭湯に行きたくなりました。 

おふたりへの取材を通して、わたしと同じ大学生が、意欲的に地域のコミュニティに参入し、現状を見つめ課題と向き合っている姿にとても感動しました。
何十年、何百年も先の人々の幸せのために努力できる人間になりたいと思いました。

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