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「サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」に行きました!(2024年7月頭)

東京都現代美術館で開催されていた
「サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」」
に行ってきました。

こんな素敵な展示を無料で堪能できていいの!?と
申し訳なくなるほど胸に刻まれた内容でした。

出演作家はサエボーグさん津田道子さんのお二人。
同じフロアで展示されていましたが、
それぞれ会場がはっきり分けられ個展形式で楽しめたのも新鮮でした。

サエボーグ 「I WAS MADE FOR LOVING YOU」

サエボーグさんは女子美出身のアーティストさん。
今回で初めて知りました。

サエボーグさんについて

半分人間で、半分玩具の不完全なサイボーグとして、人工的であることによって、性別や年齢などを超越できると捉えるラテックス製のボディスーツを自作し、パフォーマンスとインスタレーションを国内外で展開する。カラフルで、デフォルメされた雌豚や牝牛などの家畜や害虫などが繰り広げるパフォーマンスは一見明るく楽し気だが、人間の残酷性や消費の問題のみならず、人間社会における介護やケアの問題にも接続し、強者/弱者、支える側/支えられる側という二項対立ではおさまらない、多様性の受容、共生の問題に発展させている。

Tokyo Arts and Space:https://www.tokyocontemporaryartaward.jp/winners/2022-2024/winner02.html

まず展示室に入ると、牧場をテーマにしたテーマパークのような空間が広がります。
ビニールでできたファンタジーな装飾は、よく見ると家畜のフンに集まるハエがいたりとブラックな世界観が漂っていました。

お客さんのところスタンプで隠してます…

パフォーマンス展示「サエドッグ」

涙を流し、毛がまばらに禿げてしまっている犬が
ゆっくりと不思議な動きをしながらステージの上にいました。
サエドッグと目があって、震える前足を自分の方へ向けられた際は涙が出そうでした。
事前知識を入れずに参加したので、ただ傍観者として参加してしまったのですが、頭を撫でたりとコミュニュケーションをされている方も現れ、触れても良かったのか!と驚きました。

弱った愛玩動物としての「サエドッグ」と、自身の関係性を見出すことにより、鑑賞者自身の「弱さ」や「力」に触れることとなります。会期中行われるパフォーマンスは鑑賞者との交流を経て変化し続けます。

Gen de Art Bilingual and Art Magazine:https://www.tfwsa.or.jp/post/tokas_saeborg-michikotsuda?lang=ja

自分が「弱い」ものをじっと眺める傍観者だった(ドッグに愛を与えられなかった…)という悲壮感も含めて不思議な体験になり、一緒に鑑賞しているお客さんの反応も含めて作品が生まれるような展示でした。

津田道子 「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」

こちらの展示では、シンプルながら不思議な世界観の津田さんの3作品を鑑賞することができました。

「生活の条件」

暗室での液晶展示で、日常の些細な動作に焦点を当てたた作品。
クッションに座って鑑賞することができ心地がよい空間でした。(手を叩く「パン!」という音には思わず体がびくり)

無意識が生み出す機微から、その役者の人となりを想像してしまうが、一方でそこで思い浮かべている個性には自分が持っているジェンダーなどへのバイアスも重なっているのかも知れないと考えさせられる。

https://realtokyo.co.jp/out-and-about/saeborg-tsuda-michiko-tcaa-2022-2024/

正直、鑑賞時はフレームの表現がそれぞれ違って面白いなとか、この動作は料理のシーンか!ぐらいで深く読み解けず…。
帰ってから調べていくうちに、自分の先入観が作品に色を与えられる作品なのかと発見。

「振り返る」

展示室までの廊下で織りなす体験型の映像作品。
廊下を歩くと自分が映像に収められ、少し遅れて液晶でその姿が再生されます。
過去に起こったことを見つめるという、なんだか未来人になったような、タイムスリップしたような不思議な気持ちになりました。
時差という違和感って、こんなに面白く感じるんですね…!

「カメラさん、こんにちは」

12人の年齢性別多様な役者さんがそれぞれ「母」「父」「子供」の役割を演じる作品。津田さんの幼少期に、ビデオカメラが家に来て最初に撮影されたホームビデオに収められた家族の出来事から着想した作品だそうです。

展示方法も面白く、何台も並んだモニターにヘッドホンのコードを指して視聴したり、ビデオ撮影を再現した部屋で自分も映像の中に入り込めたり…と鑑賞にアクションができる展示で楽しかったです。

鑑賞者も含めカメラの視点を通して見え隠れする人々のしぐさから、自身のふるまいや固定化された立ち位置を客観視させるような作品構成になっています。

Gen de Art Bilingual and Art Magazine:https://www.tfwsa.or.jp/post/tokas_saeborg-michikotsuda?lang=ja

普段気にしていなかった自分のなかの固定概念、立場とか家族の概念考えるきっかけになりました。

まとめ

社会に不安が広がる現代をアートで表面化すると、やはり暗い内容が多くなりがちです。この2展はどちらも自分も作品に関われるようなエンタメ性というクッションがあり心が揺られました。

現代アート初心者でも楽しめる、素敵な展示でした!

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