
リビングウィルって何?終末期医療を事前に考えるための手引き
リビングウィルとは?終末期医療における役割を知る
リビングウィルとは、終末期医療に関して自分の意思を事前に文書で明確に示すことができる書類です。将来的に自分で意思表示ができなくなった場合に備え、どのような医療処置やケアを希望するか、または拒否するかをあらかじめ伝える手段として活用されます。たとえば、延命治療を望むかどうかや、人工呼吸器の使用、心肺蘇生などについて明確な意思を示すことができます。
リビングウィルは、自分の尊厳ある最期を迎えるために重要な役割を果たします。家族や医療従事者にとって、患者本人が望む医療を提供するための判断材料となり、混乱や不安を減らすことができます。リビングウィルは、自分の生き方を大切にし、終末期を自分らしく過ごすための大切なツールです。
なぜリビングウィルが必要なのか?自分の意思を尊重するために
リビングウィルに対する理解は広がりつつあり、2014年3月に行われた厚生労働省の「終末期医療に関する意識調査検討会」のアンケートでは、リビングウィルの作成に賛成する人が70%に上るという結果が出ています。しかしながら、実際にリビングウィルを作成した人はわずか3%にとどまることがわかりました。賛成している人が多い一方で、行動に移す人が少ないという大きなギャップが存在しているのです。この溝を埋めるためにも、リビングウィルの重要性や具体的な作成方法を伝えることが求められています。
リビングウィルがない場合、家族が治療方法について判断を迫られ、感情的な葛藤を抱えることも少なくありません。また、家族間で意見が分かれることで、意思決定が難航する場合もあります。自分の意思を明確に示しておくことで、こうした問題を避け、自分らしい最期を迎える準備ができるのです。
リビングウィルの作成方法:何を記載すれば良いのか?
リビングウィルを作成する際、具体的にどのようなことを記載すれば良いのかを知っておくことが大切です。リビングウィルには、終末期の医療に関する希望や意向を明確に示す必要があります。主に次の項目が記載されます。
延命治療の希望
心肺蘇生や人工呼吸器、経管栄養などの延命措置を望むか、拒否するかを明確に示すことが重要です。これによって、自分がどのような最期を迎えたいかが反映されます。疼痛緩和の希望
苦痛を取り除くための疼痛緩和(痛みを和らげる治療)の範囲についても、希望を示すことができます。場合によっては、苦痛を和らげるための治療が命を短くすることもあり得るため、あらかじめどこまで望むかを決めておくことが大切です。
リビングウィルの作成は、個人の価値観や信念を反映したものにする必要があります。自分の意志を尊重した最期を迎えるためには、これらの項目を明確にし、家族や医療関係者に伝わる形で文書化することが不可欠です。また、作成したリビングウィルは定期的に見直し、自分の意向が変わった場合は更新することも忘れないようにしましょう。
家族や医療機関とリビングウィルを共有する重要性
リビングウィルを作成しただけでは、自分の意思が確実に反映されるとは限りません。作成したリビングウィルは、必ず家族や信頼できる友人、そして医療機関と共有することが重要です。リビングウィルは、自分が意思表示できない状況になった時に、その内容を元に医療判断がなされるため、事前に周囲に知らせておくことが必要です。
特に、家族がリビングウィルの内容を把握していないと、医療現場で突然の決断を迫られた際に迷いや葛藤を抱え、あなたの意思に反する判断をしてしまう可能性があります。これを避けるためにも、家族にリビングウィルの存在と内容を説明しておくことが大切です。
また、主治医やかかりつけの医療機関にもリビングウィルのコピーを預けておくことで、医療スタッフがあなたの意思を理解し、適切な医療を提供できるようになります。意思を尊重した医療を受けるためには、事前にこれらの準備をしておくことが安心につながります。