虫 Part.2
そして数ヶ月が経った頃、浴室にいわゆる「G」が出現した。全世界が嫌っていると言っても過言ではない存在だ。それもかなり大きめのサイズ。応戦を試みたが、そんな度胸もなく、結局父に助けを求めた。しかし父が駆けつけた時には、奴の姿はなかった。不思議だ。隠れられるスペースもないし、シャワーを全体にまいても出てこず。私は奴の再出現に怯えながらお風呂を済ませ、その日は何かと無事に終わった。
あんな大きなゴキブリは初めてで、私しか見ていなかったため父も母も半信半疑だった。
その日以来、奴を見ることはなかった。
あまり虫には詳しくないが、きっと換気扇を通じて外へ逃げたのだろう。その日は夏で、玄関にゲジゲジも居たので、きっとゲジゲジが食べてくれたのかもしれない。
しばらくして浴室から聞こえてきたのは、母の悲鳴だった。
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