苦手なものは何かと聞かれると、真っ先に思い浮かぶのは「虫」の存在だ。奴らはグロテスクな見た目で、何を考えているか分からない。しかし、奴らも我々と同じように必死に生きている生き物だと思うと、殺すのも少し気が引ける。でも苦手なあまり、いつもティッシュに包んで捨ててしまう。

部屋に虫が出ると、ふと思い出すのはこんな出来事だ。ある日、私は母とリビングでテレビを見ながら団欒をしていた。すると、パタパタと音が聞こえ、恐る恐る見上げると、大きな蛾が出現した。母も大の虫嫌いだ。

家の構造上、リビングと子供部屋は繋がっている。私はそそくさと子供部屋の方に逃げこもうとした。
しかし、私をも超えるスピードで母が先に子供部屋に逃げ込みドアをバタンと閉めた。鍵など付いていないが鍵がかかる音が聞こえてきた気さえした。
無理だよ・・・。
ドアノブに手をかける。動かない。非常にまずい。あの一瞬で本当に鍵を設置したのかと思うほどドアノブが固かった。閉じ込められた。非常にまずい。その時ちょうど父が帰宅し、退治してくれて、その日は何かと無事に終わった。

続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?