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世界遺産×短編小説2

8Kで撮影された、シルクロード青の都
ウズベキスタン・サマルカンドBS放送で観ました。

言葉にならないとはこういう事でしょうか。
圧倒的な美しさに一瞬で魅了されました✨

砂漠の地域で、への憧れや神聖化を基調とした建築物や世界観を作り出したのでしょうか?

色々と想像力が膨らみます✨

今回も、短編小説を作ってみたのでよかったらご一読ください💓



青の都の秘密


サマルカンド。青の都と呼ばれるこの街に、商人アヤズは染料を求めてやってきた。


砂漠を越え、キャラバンと共にたどり着いたこの地には、彼の夢があった。
「世界一美しい青を手に入れる」
それが彼の目標だった。



青の輝き

朝日が昇る頃、アヤズはレギスタン広場に立っていた。
目の前に広がるのは、青いモザイクで覆われた三つのマドラサ。

そのタイルは、太陽の光を受けるたびに色を変えていく。濃い紺から鮮やかな空色、そして黄金が微かに混じる青。アヤズは思わず息を呑んだ。


「これだ。この青だ。」


彼は確信した。この街に来た理由は、この色を手に入れるためだった。だがその青を生み出す秘法は、街の誰もが口を閉ざして語ろうとしなかった。



秘密の工房

ある夜、バザールの裏通りで、アヤズは噂を聞いた。
「古い染色家が一人、この街の青を知っているらしい。」

彼が辿り着いたのは、小さな工房だった。薄暗い店内に入ると、染色家のジャムシード老人が待っていた。

老人の前には大きな壺があり、その中に湛えられた液体が仄かな青緑色を放っている。


「青の秘密を知りたいのか?」老人が低い声で問う。


アヤズは頷いた。


「その青は、この街の宝だ。だが簡単に手に入るものではない。素材が必要だ。それは、砂漠に咲くイスクンダルの花だ。」

砂漠の旅

アヤズはすぐに旅立った。砂漠の夜は凍えるように寒く、昼は命を奪うほどの暑さだ。

だが、彼の心を支えたのは、青の記憶だった。廟群のモザイク、バザールで輝いていた絹の布。それらすべてが、彼を突き動かしていた。


数日後、彼はついにその花を見つけた。
それは月明かりの中で青白く光り、まるで空そのものを閉じ込めたような美しさだった。

彼は花びらを慎重に摘み取り、それを持ち帰った。

青の復活

ジャムシードと共に、アヤズは花びらを染料に加工した。
その染料で染め上げた絹は、サマルカンドの青空と寸分違わぬ色を放っていた。

街中がその美しさに息を飲み、失われた青はこうして復活した。


「この青は、ただの色じゃない。」ジャムシードは言った。
「それは、この街の魂そのものだ。」


終わりに

アヤズはバザールに立ち、サマルカンドの青で染められた絹を広げる。
それを見た旅人たちの目が輝く。


「この青は、どこで手に入れた?」


アヤズは微笑む。
「サマルカンド。それだけで十分だろう。」


青の都。その名は、こうして未来永劫、語り継がれていくこととなった。


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