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マイナス40度の霧の街に出て写真を撮る
1989年の暮れに、北緯62度の街ヤクーツクに行ってみた。昼間の気温がマイナス40度以下になることもある街だ。
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零下40度くらいになると、「居住霧」という、空気中にあるいろいろな水分が凍ってしまう現象で、視界は極端に悪い。というか空気が冷たい。痛い。それでも街に出てみようなどと考えて、カメラを持ってホテルを出てみる。
自分の吐く息が髪について凍り、たちまち白髪になる。冷たい霧の中は幻想的でもあったけど、恐怖もあった。
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一眼レフカメラのファインダーを覗くと、目が痛い。なんだ!?と思ったら、凍ったまつ毛がファインダーのガラスにあたり、目を圧迫している。
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持っていた2台のカメラのうちNikon FE2は寒さでシャッターが動かなくなり、使えたのは「機械式」のNewFM2。露出計も動きました。
気温が低いので、マニュアルフォーカスのピントリングのグリスが冷えてしまって、回すのに力が必要でした。指先で動かすというよりもガッシリ掴んでぐいぐい力を入れて回す感じ。