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ハンドクリームが見あたらない。

猫を撫でると毛が付くことはよくあることかもしれない。静電気なんぞ起きようものならなおのこと取れない。でも私の場合はちょっと違う。手がとにかく荒れていて、そのささくれだった手荒れに猫の毛がひっかかって取れないのだ。返しのついたトゲをもつ植物かなにかのように、私の手についたものは素直には外れなくなっている。それだけ手荒れ魔人になりつつある。

冬だからというわけでもない。隙あらば、年中手荒れ。昔から体の水分調整がうまくできない性質なようで、指の皮が脱皮のようにカパカパ取れたり、手湿疹が出てそこら中が痒くなって染みたり、いろいろだ。

そんなおててに悩みが欠かせない私にはハンドクリームが心の友でもあるのだけれど、どうしてもこまめに塗れないのだ。塗らなきゃなーとはいつも思うのに、次の瞬間には忘れていて、次の日手がガチンゴチンになるまで思い出せない。困ったものだ。

そして今日ときたら、いつもの場所にハンドクリームがないではないか。
どこに行ってしまったんだろう。私に嫌気がさしてしまったのだろうか。帰ってきておくれよ…とガサガサの指で今これを書いている。

明日には指が曲げられないほどガチゴチになっているかもしれない。早めに新しいハンドクリームを買うか…。でもたしか、そうやって買ったばかりのハンドクリームではなかったか。もうすでに行方不明のハンドクリームがいたはずだった。

今日は私のマグカップも行方不明になった。
結局夕方ごろ、牛乳を入れたまま電子レンジの中にいるところを発見された。明らかに私のせいだった。

風呂上がり、子の顔に保湿クリームを塗ってあげたら「おかーさんのおてて、いたい」と言われた。手と胸が傷んだ。

自分がよけりゃそれでいい、はもう通用しなくなった。ガサガサはやっぱりダメだ。

いつだったか幼い頃に見た母の手もガサガサしていて、緑色のアロエのハンドクリームを使っていたのを思い出す。なんかの拍子に舐めた母の手は変な味がしたけど、あれはアロエクリームの味だったのだろうか。あの時は、自分もガサガサになるとは露にも思わなかったなぁ。

アロエのハンドクリームが塗りたくなってきた。行方不明のハンドクリームがこのまま発見されなかったら買ってこよう。そしてまたこっそりペロッとやってみよう。

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