余韻の残る映画『ヤクザと家族 The Family』
今年に入ってまだ1ヶ月と少し、だけど、今年これ以上の映画に出会えるかどうか分からんってくらいに心を揺さぶられ続けている『ヤクザと家族 The Family』。
先日1月29日に公開されたばかりですが、もう2回観ました。たぶん、もう何回かスクリーンで観ると思います。これ書いている今も観たくなっている。とても素晴らしい作品です。
ぼんやりと「綺麗だ…」と思ったファーストシーンから、タイトルバックに至るまでの約20分ほどで「ああ、これもう傑作確定だ」と痺れました。
130分を超える長編ですが、すべてが過不足なく描かれている印象。ラストシーンで胸がいっぱいになります。
正直なところ、わたしが綾野剛のファンでなければ映画館まで観に行く選択肢には入らなかったと思う。
だって、タイトルにおもきし"ヤクザ"てw
少なくともタイトルで惹かれる感じではないよなあ。
なんかちょっとダサさすらあるじゃん(失礼)
でもね、観賞後に思うんですよ。もし、わたしがこの映画にタイトルつけるとしても、やっぱり『ヤクザと家族』だわ、って。それ以外ないんだよな。
素晴らしい作品だと思うから、是非ともみんなに観て欲しい!って思うし、でっかい声でおすすめです!!と叫んでまわりたい気持ちなんだけれど、ヤクザをテーマに扱った作品ですから、暴力シーンも流血沙汰も避けられないわけです。そういうのが苦手な人も少なくないと思うので、、、、もどかしい…!!
公開後から、公式のTwitterが「号泣!」「感動作!」みたいな文句を謳ってめっちゃ宣伝してるんですが、わたし個人としては、"号泣はしなかった"からこそおすすめしたい。
まず、公式が煽るほどあからさまに"泣けるシーン"ってないんですよ。そこがいい。
所謂"感動作"とされるものって、作り手の「ここ感動するでしょ!」「泣けるでしょ!」っていうのが透けて見える時ないですか?わたしはあります。(まあ、まんまと泣いちゃうんですけど)
この作品はそういうあからさまなシーンはないのですが、思わずグッときてしまう場面っていうのは沢山あって、涙を堪えながら観ている瞬間が何度も何度もありました。
たとえ観に行く前にどっかしらで(公式Twitterもかなりw)ネタバレを踏んでしまっていたとしても大丈夫。綾野剛の演技が全部のハードル越えてくっから。
綾野剛のファンになったのはここ半年くらいの話ですが、この作品を観て、「わたしはとんでもねえ人を好きになってしまったな…」と思いました。本当に凄い。
主人公の20年間を演じるって聞いた時は(しかも19歳の役もやる)いや流石に未成年役からてww と思ったけど、ヒリヒリするくらいの危うさや無鉄砲さ、大人になる直前のどこか足元の覚束ない空虚な佇まい…感服しました。あれは19歳だ。
年月が経ち、主人公が経験を積み重ねて、着実に大人になっているのも伝わる。
彼がインタビューなどで、この作品を自身の"集大成"であると語っているのが嬉しくてしょうがない。この作品にたどり着くまでにたくさんの役を生きてきたからこそ、あそこまで繊細に1人の男の人生を表現できたのだろうなあ、と思う。綾野剛にしかできない役だとわたしは思う。
綾野剛のことばかり書いてしまうけれど、舘ひろしは勿論のことながら市原隼人や磯村勇斗、北村有起哉もめちゃくちゃに良い。
誰が欠けても成り立たないな、と思います。
これは完全に余談ですが、前売りのムビチケに、特典としてポストカードが付いてたんです。蛇腹に連なった8連のポストカード。
手元に届いた時、「これ綾野剛のおたく以外に需要あんのかな…」って思ったんですよ、正直。
いやカッコいいけどなんか知らないおじさんとかもいるし…って(ごめんなさい)
観賞後の今なら分かる。誰が欠けてもダメだ…!!!
最後に。
鑑賞前には特に何とも思わなかった家族写真を模したポスター。
観賞後に見ると、めちゃくちゃグッときます。
これは希望も含めた予言ですが、この作品、絶対何かしらの賞をいっぱい獲ると思う。