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ジョブセキュリティー

ジョブセキュリティーとは雇用保障のこと。いままでは雇用保障法により労働者が雇用の維持を保障されるもの、だと考えられてきた。ただ現代ではそれ以上に「働きがいのある人間らしい仕事」すなわち、=①働く機会があり、生計維持に足りる十分な収入を得られること、②職場権利の確保、③ワークライフバランス、自己研鑽の可能性、④公正な扱い、男女平等など、の保証が提案され(当社しらべ)日本に限らず世界各国で重要視されている(されるべき)考え方だ。
パイロットの場合、ジョブセキュリティーは低いとされているが中でも特にダメなのが、上記のうちで最重要となる「雇用の維持」である。
年収額は数字で見ると確かに高いかもしれないが、負えない責任をひたすら負い続けるストレスと、不祥事の責任に伴う刑事告発リスク(当たり前すぎてこれについてウダウダ言うつもりはない)、不規則なロスターによる健康への悪影響や家庭維持のむずかしさなどと天秤にかけると、年収の高さよりも仕事を続けるために背負うべきリスクが大きく目立つ。そもそもスタートラインに立つまでに約2000万円もの訓練費が必要となるし、ライセンスがあるからといって 仕事が見つかる保証はない。運よく仕事に就いたとしても毎年一回または二回の航空身体検査を合格できるだけの健康的な身体を保持しなくてはならないし、半年に一回の技能審査を毎回パスするだけの技量と知識が必要不可欠である。二回不合格を食らえばクビだし、一度クビになると他社への再就職は無理だろう。試験前になると、たとえ休日であれ「クビになりたくない」一心で机に向かうこともある。こんなにも人にオススメできない仕事があるだろうか。
業界で地位を築くのは大変なのに、免許剥奪されるときは一瞬だ。

その上にこの業界は、世界経済による影響を受けやすいという一面も見せてくる。景気がアゲアゲなら良いけど、経済が落ち込めば需要は減り飛行機が地上に溜まりはじめる。今回のCOVID-19は経済への打撃がデカすぎて「一つの例」として扱うには相応しくないが、(航空業界に限らずほとんどの業界に影響を及ぼしている故)例えば9/11テロやSARS、GFCの時にはいくつかの航空会社が経営困難に陥った。飛行機は巨大な金食い虫だ。地上に置いても、飛ばしてもお金がかかる。燃料コストは毎便シャレにならない額だし、だからって地上に放置していてはさらにお金がかかる。メンテナンスや(飛ばなくても定期的なメンテナンスは必要不可欠)保険、駐機代が会社へプレッシャーを与え続けるのだ。
そういった特殊経営体制の上に、さらに人件費が大きくのしかかってくる。パイロットの年収は安くないので景気が落ち込むと早い段階で切られやすい。

本業としてやるな
パイロット職一筋で生涯食べていくにはリスクが大きいのは分かったと思う。先輩からはよく「飛行中は常にプランBを用意しておけ」と言われるが、どうやら地上でも代替プランを練っておく必要がありそうだ。
一見、華やかで高給取りといわれるパイロットも、裏を返せばみな大きなリスクを背負って仕事していると思う。年収が他業種と比べ高くなるのも当然だ。
正社員として働いていても雇用状態が長く続くとは限らないこの業界。そうした不安定要素を減らすために副業を営むパイロットは多いし、むしろ副業としてパイロットを続けるほうが賢明だとさえ思う。そうでなくとも、次の経済危機に世界が直面したときに備えて何かほかの収入源を確保するべきだ。
柔軟な収入源の確保すらせず安易にこの業界に足を踏み入れるのを、私はおすすめしない。

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