操縦士という職種の脆弱性

3月24日(火)

世界各国が「歴史的パンデミック」に陥っている今日この頃。業界を問わず何らかのかたちで万人に影響がでている現状はまさに狂気の沙汰だ。
そもそも「パンデミック」が歴史的瞬間なのは当然で、言葉の重複性に対する違和感は十分に理解している。それでも今回ばかりはこう呼ばざるをえない。

日本の各局でいまどれほどの報道がされているのか確認できないがヤフーニュースをみるかぎりウイルスへの関心は他国よりも少ない印象を受ける。
オーストラリアに目を向けよう。政府は二日ほど前に国境封鎖を宣言したばかりだというのに、きのうになって国境どころか州間移動さえも禁止し、小売り、娯楽、宿泊や飲食サービスなどの、不必要とされる各種サービス業界に対しただちに営業を停止するよう命じたのである。突然の知らせに対象となる国民はパニックに陥ったのは言うまでもない。営業できなければ収入源を失い、やむを得ず全社員を解雇したり長期無給休暇を言い渡した経営者が続出した。故に国内失業率は今後数日で13.8%にまで上昇するとされていて状況はまさに「パンデミック」だ。
航空業界ももちろん大打撃を食らっている。運輸が仕事の僕らだが、「不必要な国内移動」が完全禁止されたことでどこの航空会社も今日を境に収入がほぼゼロになってしまった。一昨日までは皆口をそろえて「物流が減った時こそ国の終わりだ」と少々楽観視していたが、どうやら今日をもってその考えが吹き飛んだようである。国は終わらないが物流、とくに人の移動がほぼほぼ途絶えた。
僕はさいわいにも貯金はあるので、たとえ会社が営業停止したとしてもある程度の生活を続けられるが、それでも数か月も続くとなるとさすがにキツい。アマゾンのほしいものリストを公開するレベルにはまだ至ってないがそうなる時期も近いだろう。

感情的になったところで目の前に食は並ばないしなにも生み出さないし、そもそも不安を煽る文章は書きたくないが、現状はしっかり書き記しておきたい。すくなくともオーストラリアは今後数か月にわたって国民健康的にも経済的にも、大ダメージを負い続けるだろうと僕は予測する。

こうなるとジョブセキュリティな観点からパイロットという業種の脆弱性について深く考えざるを得ない。

つづく

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