ソボクなギモン③公明党はとばっちりを受けたのか?という疑問
先日の衆議院選挙で、自民党の裏金問題が主たる原因で、与党が過半数割れを起こしたのは周知の通りです。
自民党のみならず、連立与党の公明党も、「聖地」と呼ばれる大阪で全ての議席を失い、党代表の石井啓一氏も落選するなど、大惨敗という結果でありました。
選挙後、ニュースなどで聞こえてくるのは、「自民党の裏金問題のとばっちりを受けた」「足を引っ張られた」などという恨み節ですけども、
本当に選挙で負けたのは「とばっちり」だったんでしょうか?
これが今回の疑問です。
こういう疑問を抱くのはですね、
遠山清彦氏の事件をみんな忘れてやしないかい?
と思うからです。
遠山清彦氏というのは、2021年1月まで公明党の幹事長代理を務めていて、財務副大臣の経験もあり、将来の党代表と目されていた元衆議院議員です。(Wikipedia)
2021年1月に、コロナ禍で緊急事態宣言が出ていたにもかかわらず、深夜に銀座のキャバクラ(クラブ?)に行っていたのがスクープされ、謝罪。
その直後に、自身の政治資金管理団体がキャバクラ代などの不適切な政治資金の支出をしていたのが判明し、幹事長代理を辞任、その後議員辞職しました。
さらにこれで終わらず、8月には、2020年3月頃から国会議員の立場を利用して、怪しい連中と組んで、日本政策金融公庫のコロナ対策融資約37億円分の口利きをし、見返りに1000万円以上の現金を受領していたことが判明。
2021年12月に貸金業法違反で起訴されて(国会議員では初らしい)、公明党から除名され、翌年3月に一緒に関わった公明党元衆議院議員の太田昌孝氏の元秘書らとともに、有罪判決がなされています。なお、受領したお金はキャバクラの支払いなどに使ったそうです。
これはですね、
キャバクラ好きすぎるだろ。
ってのはさておき、国会議員の立場を利用して、コロナ禍で困っている国民向けの融資からピンハネして儲けていた(当然裏金)という政治資金報告書の不記載とは比べものにならないくらい、遥かに悪質な「政治とカネ」の事件です。
しかも、遠山氏1人の問題ではなくて、同じ公明党の衆議院議員の元秘書も関わっていて、公明党の議員事務所も捜索を受けています。
そうなると、自民党だけではなく公明党も「政治の信頼を揺るがしかねない問題を招いてしまった」と言えるわけですね。
これは私の感想ではなくて、公明党が2021年12月29日に当時の幹事長の石井啓一氏のコメントとして発表しています。
一、本日、遠山清彦元衆議院議員と前衆議院議員の元秘書が貸金業法違反で東京地検特捜部から在宅起訴されました。
一、遠山氏は既に議員辞職をしておりますが、今回のことは公明党の議員として、また公明党の議員秘書として決してあってはならないことであり、誠に遺憾であります。到底許されることではありません。
一、私どもは、政治の信頼を揺るがしかねない問題を招いてしまったという責任を深刻に受け止めております。国民の皆さま、党員・支持者の皆さまに誠に申し訳なく、心から深くお詫びを申し上げます。
一、党としては、二度とこうしたことが起こらないよう、立党精神を根本に、必要かつ徹底した再発防止策を講じ、信頼回復に向けて取り組んでまいります。
2021年の12月ですので、前々回の衆議院議員選挙後、自民党の裏金問題発覚前のコメントです。
すなわち、今回の裏金問題に先駆けて公明党も似たような(というかより悪質な)カネの問題をやらかして、政治不信を招いたことを自ら認めていたわけです。
そのため、「公明党は潔白なんだ」とか「とばっちりを受けただけなんだ」とか「自民党が悪いんだ」とかってのをみると、はて、この件を3年も経たずに公明党もメディアも国民も忘れてしまったのかしらん、と不思議に思うのであります。
「五十歩百歩」「どんぐりの背比べ」「同じ穴のムジナ」という言葉が脳裏をよぎります。
先の衆議院議員選挙の前後でこの件がまったくと言っていいほど話題に登らなかったのは、自民党の裏金問題の話で持ち切りだったからで、そのおかげで直接責められるのを逃れ、公明党は少なからず恩恵を受けた面もあるとも言えるんじゃないでしょうか?