人生という刺繍
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『人生とは、美しい刺繡を裏から見ているようなものだ』
これはフランスの学者であり、カトリック司祭でもあるティヤール・ド・シャルダンの言葉です。
私はこの言葉を本で初めてみたのですが、こころに響いて、そしてとても助けられました。今日は、この言葉について。
彼は、「人生はまるで刺繍。裏面から見てもその模様が何を意味しているか、そのままでは分からないが、それを表から見られるようになったとき、その意味と美しさが初めて分かる。」と言っています。
刺繍を裏から見ると、糸が交差し、もつれ合い、結び玉があったり、混沌と していて、何の絵が出来上がるか、何が何だかわからない。
けど、表から見たときに初めてその美しさが分かる。
そして、美しい絵が織りなされるためには、その絵が色彩
そして精巧なものであるためには、それだけ、裏面は複雑でなければならない。という、美しさの意味が分かる、ということだと感じました。
毎日、生きていると喜びや豊かさだけでなく、悩んだり困難にぶつかったり、乗り越えなければならない事があったり、色々な事がありますよね。
私がこの言葉を本で知った時も、悩みの中にいて、まさにこの刺繍でいう、せっせと刺繍をしているけど、結び目がたくさんあったり、糸が交差しもつれあっていて、何の絵を刺繍しているのか、自分の人生がどこへ向かっているのか、わからなくなっているところでした。
しかし、いま振り返ってみると、その時期があったからこそ、出来上がった絵があるんだと思えます。
製作している間は、美しいと感じる余裕よりも、時には針を止めて悩むこともあるでしょう。
しかし実は、それらの複雑な針仕事があってこそ、はじめてその人しか織りなせない、人生というユニークで美しい織物は織られるのだ、と気付く事が出来たのです、
人生に無意味な物なんてひとつもありません。
自分で紡いできたその作品は、一針一針があってこそ、できた世界にひとつだけの私だけの、そしてあなただけの、美しい刺繍。
これからもこの人生の刺繍は続いていきます。
刺繍に集中することも大切ですが、たまには表から刺繍を見返してみたいものです。
作り上げてきた絵を見ると、自分は今こんなに美しい絵を織り成しているのだと感じる事が出来るように…。
あなたが今織りなしているその刺繍はどのようなデザインでしょうか?くるりと返して、表から見てみて下さい。
きっと私のものとはまた違ったデザインだと思います。その素敵な刺繍を見て、また丁寧に針を紡いていきましょう。