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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:緑の魔法と恋の奇跡 第一話 禁忌の出会い
ヴェルディアという世界にソルステイド王国があった。
元々、ソルステイド王国はは広大な緑豊かな森と美しい山々に囲まれた王国だ。緑深い木々や鮮やかな花々が森を彩り、清らかな川や湖が広がっていた。
また、王国の近くには雄大な滝や幻想的な洞窟も存在し、自然の中には魔法や神秘の力が宿ると信じられていた。
その山深い森の一つはヴェルディリスと呼ばれ、エレナ・シルヴィアという森の妖精の姫が住んでいた。
彼女は美しく波立つ金色の髪と蒼い瞳を持ち、肌は透き通るような色合いで、優しい表情を浮かべて森の動物や他の森の妖精達と暮らしていた。
そして、彼女自身がヴェルディリスの生命力であり、森そのもののの象徴だった。
一方王国にはライヴァンという王子がたくましく育っていた。皇太子らしく、鍛え上げられた筋肉を鎧で身を包み、剣士として王国に尽くしていた。漆黒の髪が印象的な王子だった。
二人の道は交錯するはずもなかった。
そんなある日、ヴェルディリスの奥で森の妖精達が心配そうな顔をして集まってきた。
そして、口々に言う。
森の生命力が衰えてきた、と。
エレナ・シルヴィア自身も自分の力が衰えてきてるのを感じていた。自分の力は大きく、この森にはあまり影響はない。だが、他方から来た妖精達はもっとひどい状態になっていると言っていた。
「わかりました。森が弱るのをみすみす見逃すわけにはいきません。私がその原因を探して解決できるか見てきます」
姫らしく毅然と言ってエレナ・シルヴィアは森の妖精達に安心させる。安心した森の妖精達はそれぞれの居場所に戻っていった。
一方、人間の住処の方も荒廃してきていた。田畑は荒れ、飲み水の確保もなかなか難しい。人々はその日一日を暮らすだけで精いっぱいだった。ライヴァンは王族に連なる一人としてこの惨状を放っておくわけにはいかない。父、国王の許しを得て、土地の荒廃を戻す方法を探しに旅立った。そしてエレナ・シルヴィアが旅の用意をしているヴェルディリスに入り込んだ。巧妙に幻がかけられているこの森でエレナ・シルヴィアの姿を見る事は普段できなかった。だが、森の力が衰えている今は、ほんの少しのことで幻が消えてしまう。
かさり、と葉を踏む音でエレナ・シルヴィアは人間が足を踏み入れたととっさに気づいた。
「誰?!」
振り向いて詰問する。
二人はあってはならない禁忌に陥ってしまったのだった。
あとがき
いろいろ執筆している物語の中で珍しくまた禁忌ものを書いてると言うことで「影の騎士真珠の姫」の後継としてこれを掲載し始めます。「魔法の遺産~運命の紡ぎ手~」もすすでいるので更新して行きますが、どちらかをしていくこととなります。もちろん「風響の守護者と見習い賢者の妹」がメインです。そして「影の騎士真珠の姫」の第二部「絆の騎士知恵の姫」も準備を始めています。今しばらくこの朴念仁同士の恋を見守っていたければと思います。恋を知らない二人に芽生えた恋心がどうなっていくか。書き手もまだわかりません。いずれ道は自ずと形を取るでしょう。ラストは決まってますが。
それではここまで読んで下さってありがとうございました。
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