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【再掲載小説】ファンタジー恋愛小説:最後の眠り姫(26)

前話

「ちょっと。兄上も姉上も痛いよ」
「って、どーいう事なの?」
「そうだ。説明しろ!」
「じゃ、まず、手を離してご飯食べさせて。ここの夕食一番美味しいんだから。ね。フリーデ」
「フリーデ! 元気だった? 私が逃走劇をしたばっかりに叱られなかった?」
 フリーデは宮殿工事が始まると同時に一時、休暇をもらっていた。
「無事、おられるではないですか。逃走と言うほどの事ではないと聞いておりますが。どこまで行かれたのですか?」
 フリーデの瞳が面白げに輝いている。休暇は、フリーデにいい時間を与えたようだ。ただ、仕えるだけの人間でなく、一人の恋する女性として過ごす時間だったようだ。どうもヴィルヘルムが裏で手を回したようだけど。手には輝く指輪がはまっていた。
「ヴィー。なかなか大人顔負けの事をしでかすのね」
 にやり、と笑いながらヴィルヘルムを見ると照れていた。珍しい表情に目が点となる。
「面妖なものを見てしまったわ」
「面妖とはなんですか! 姉上」
 ヴィルヘルムが食ってかかる。それをクルトは話を引き戻す。
「それより相手の声が聞こえるという現象について説明しろ」
「だから……」
「はいはい。恋人との逢い引きに使わせてあげるわ」
「俺の宮殿だ」
「うるさいこと言わないの。人の恋路を邪魔するヤツは馬に蹴られてしまえ、って言うじゃないの。さ。夕食にしましょ」
 声の件を棚に上げてしまった私をクルトが恨めしげに見る。
「姉上! 兄上より姉上が一番。ね。フリーデ」
 後ろから着いてくるフリーデを振り返ってヴィルヘルムが言う。
「ええ。姫様は私の大事な妹ですもの。美しくて、聡明な」
 そこにクルトが突っ込む。
「お転婆姫の間違いだろう?」
「へぇ~。婚約者にそーいう事言うの?」
 ちろん、と睨む。
「あ。エミーリエ。今のは撤回。エミーリエは可愛くて優しい姫だよ」
「ホント?」
「ホントにホント。だから許して」
 必死で謝るクルトが愛おしい。
「って。ここ、クルトの宮殿じゃないの。あなたの一存で決めることが出来るはずよ」
「いや」
「いえ」
 私以外の関係者の声が重なる。
「へ?」
 私はまじまじとみんなを見る。
「エミーリエがこの宮廷のすべてなんだよ。魔皇帝の遺産を引き継ぐ者として」
「って、私、おじい様と会ったこともないし、お金ももらってないわ」
「その存在がすでに遺産なの。エミーリエがまた血筋を復活させることができるから」
 ヴィルヘルムが子供の言葉ではない言葉で説明する。おじい様で弟ってややこしいわ。ので話を引き戻す。
「で。さっきの事は?」
「それはデザートの後!」
 食卓の間に入るとヴィルヘルムはぽんと椅子に飛び乗ったのだった。
 都合のいい時だけ子供なんて不公平だわ。
 頬を膨らませていると「ちゅー」がやって来た。
「いたしません!」
 デコピン制裁を加える。それを呆然とみるクルト。
「痛くないの?」
「痛いけど、笑わなかった。どうしたの?」
「さぁ。私にもわからないわ。ただ、よけちゃったの。爆笑はしなかったわね。どうしてかしら」
「兄上! 姉上! お腹空いたー」
「はいはい」
 私たちも一緒に席に着いたのだった。


あとがき
画面に書いていた物で、見直して一部付け足したりしました。会話の展開がぶつ切りになっていたので。しかし、なんで爆笑しなかったんでしょう。きっと感情の変化のはずなのに、覚えていない。と。パソコン見ると眠い。さっき、久しぶりに漢検の過去問しました。一部分、記入が一問ずれてかなり間違えたケアレスミスをして痛かったのですが、最後に載っていた準二級のもの大見れば三級までと全然違う。解答用紙どこで手に入れようかと考え込みました。多分。成美堂さんのテキストに流用できる答案用紙があるはず。受験勉強がいよいよもって本格的になろうとしています。こりゃ、来年中に1級とれないわ。意味もでてくるので。四文字熟語に。受験勉強をこまめにせねば。来年の試験まで。次の試験は来月ですが、格段に2級と名の付くものは明らかに難しくなっているのでした。3級までは入り口にすぎない。ひえーと悲鳴を上げているのですが、集中力が切れてミスタッチばかりします。
とりあえず、これ上げてから一度パワーナップをしてみます。
ここまで読んで下さってありがとうございました。

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