【改稿連載小説】恋愛ファンタジー小説:正直な王子と正直じゃない姫君の物語 プロローグ 二千年ぶりのお祝い
「二千年の眠り姫記録達成おめでとー♪」
思いっきり軽く言われたあたしは、むっとした。
「ってあんたたちが来た男、全部追い払ったんじゃないのっっ」
粛々たる姫君にしては荒々しい言葉使いだけど、そんなのお構いなしよ。その言葉に集まっていた精霊たちが笑う。
「あたしたちの使命は、あんたにいい男をつけてやることだからねぇ。術者との契約は守らないとこちらが困るんだよ」
一番年長の精霊がため息まじりに言う。ため息ついてないでとっとと男探してきなさいよっ。
もっともこの精霊たちはあたし以外見ることはできない。あたしの体の周波数にあわせているからだ。もっとも追い払うときはすべての人に見えるホラーバージョンで見てもらうことになっている。
ふん、とあたしはそっぽをむく。
「味方なんだか敵方なんだかわかりゃしないわ」
あたしは不機嫌になって、つぶやく。その言葉は誰にも入っていないらしい。急に精霊たちが騒ぎ出した。
「おっと。仕事ですかい。ちょっくら行ってきます」
軽いのりで精霊たちはそれぞれの担当場所に向かった。
「ほら。エリアーナも眠って」
「めんどくさいわね」
自慢の輝き、波打つ美しい髪の側頭部をぽりぽりかく。
「お行儀が悪いっ」
そばでお目付役の精霊が厳しく言う。その声にやっとあたしは眠ったふりを始める。
どうせ、こないんだから、寝てる意味ないのに。
思うけど、ぴしゃりと反論されて魔法でもかけられそうになるのであきらめることにする。
眠り姫を二千年間続けているあたしはエリアーナ。当時、隆盛を誇った国の末っ子王女だった。。そして国王のお父様は魔術が大得意だった。お父様はさまざまな術を使ってはいろんなものを使役した。
そしてその中からよりすぐった精霊たちを集めて命じた。王の死後も三人の王女を守り、よき夫をさずけるように・・・と。その契約も割と早く終わる予定だった。長女、次女にはさっさと夫をつけることができた。王の存命中に術は終わると思われたけど・・・末っ子のあたしにはどんな男もうまくいかなかった。もっともあたしが高望みしすぎたからだけど。今思えば、どこかで手を打ってりゃよかった。
あたしはお父様の血を濃く受け継ぎ、強い魔力を持っていた。普通の男では無理だったのはわかるけど。そして今に至る。
お父様との契約が続行中だからか。はたまたあたしの魔力のせいか、あたしの時は少女の時で止まっていた。自分はばけものだからいつまでたっても愛されないのだろうか・・・悲しい気持ちがいつもこみ上げてくるが、それを必死に明るく笑い飛ばしていた。
あとがき
暇にまかせて、最後の眠り姫関係の一番目の物語を持ってきました。コミカルなのでまぁ、いけるかと。アリーナはやばいね。エレオノーラも。アリシアはもってのほか。クリスタ少し切ないところがあるから載せてもいいかも。一応、完結完全にしてますので、安心してお読みください。ここまで読んでくださってありがとうございました。