【再掲載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(36)
前話
「ちょっと! 兄上も姉上もそんなところでいちゃつかないで!」
いつまでもいちゃいちゃしてるとヴィルヘルムが妨害に来る。カロリーネお姉様も一緒だ。
「この薔薇園、こんな風になっていたのね」
「って。お姉様。入ったことないのですか?」
「ここはエミーリエのためだけの薔薇園よ。例外的に入れるのは薔薇の管理者とクルトだけよ」
「二人がいないと成立しないんだから。ほら、執務室」
己の恋がかかっているとヴィルヘルムも必死だ。そんなおじい様、いえ、弟が可愛い。
「可愛くなくていいから!」
ヴィルヘルムが私の手を取ってずんずん進む。
「恋に必死なのね」
「今、浮かれてる、とも思ったよね?」
「さぁ? おじい様ならよめても弟には読めない心よ」
「姉上の意地悪」
「なんとでも。当事者はあなた達よ。私だって、ない知恵絞ってるんだからそっちも多少は苦労なさい」
その苦労が他でもないフリーデの頑固に関するとは、私はまだ、思ってもなかった。
執務室に戻って私はペンを振り回す。
「要は、誓い合えばいいのよ。関係者の面前で。だから結婚しますとしっかり誓い合えばいいの。これでヴィルヘルムを狙うご息女達からも解放されるし、フリーデの苦労も越えるはずよ」
「なるほど。誓い合えばいいだな。そう言うしきたりを復活させるように書こう」
すらすらっとクルトが書く。本当に執務をこなしているのね、とあばたもえくぼと言わんばかりに私は魅了される。
「じゃ、これを父上に見せて、了承を得れば終わりだ。次の議会に出すよ」
かっこいいー。クルト。と、私の頭の上には花が咲き誇っていただろう。
「エミーリエ。惚れ直してくれるのはいいけれど、難しい二人の前ではやめておいた方がいいよ」
じとーっ、と痛い視線を受ける。ヴィルヘルムとカロリーネお姉様がじーっと見ていた。
「はいはい。次はフリーデに言って、それが終わればお姉様の件ね」
「エミーリエ! 可愛い妹! 愛してるわ!」
カロリーネお姉様のシスコンが爆発する。
「危ない事はしない方がいいよ。姉上達」
ヴィルヘルムの声に視線の先をたどると秘書官が凍っていた。シスコンには免疫がないようで、女性同士の愛の告白に聞こえたらしい。
「ああ。ちょうどいいところに来た。これを父上の審議箱へ入れておいてくれ」
クルトが手渡す。驚いて固まっていた秘書官は慌てて出て行った。
「できてると思われたわね」
「そういうカップルもいるけれど、認知がまだでね」
「さぁ。その次はフリーデにドレス作ってあげなきゃ。お姉様も来て。一緒に素敵なドレスを作りましょ」
「いいわね。じゃ、クルト、ヴィー。あとよろしく」
カロリーネお姉様と執務室を出て行く。さっきの秘書官が慌てて戻ってきた。
「フリーデ様が家出なさったと、今、実家の方から心当たりはないかと聞きに来られています!」
「なんですってー!」
またも私の驚愕の声が、今度は宮殿に響いたのだった。
あとがき
もう、このくだりに来たのか、としみじみ。ここからあっという間に再掲載は終わります。新連載になるんですよ。だから、また横に置いておいて、になります。いまだ、星彩と風響の続きを書いてるんで。でも、何も考えないで書いてきたこの続きも書いてみたい。真っ白な画面にただ打ち込んできたこのシリーズ。どこに行きつくのか。過去に戻るパターンは一回やった。そのパターンの違うパターンを書いてもいいのですが。あー。野球が流れていると意識そっちに行くようになったー。考えられない。やばい。今日、夕食作るのにレシピも見てない。しかし、阪神戦。やっとの。どうしようか。星彩を書いてる途中なので切るか。まだ、模試もしてない。昼寝も飛んでる。水草のメンテナンスがある。最低限の。水替えもある。わーん。野球が見れないー。しかたない、私生活を取る。森下選手の打席で終わろう。あ。大山選手が…。満塁ワンアウト。このイニングにしとこう。先制一点。ここで無念のチャンネル切り。さぁ、昼寝もして水草して執筆だ。って試験が…。