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【再掲載小説】ファンタジー恋愛小説:最後の眠り姫(21)

前話

 婚礼の準備が進むにつれ、ついに私の住んでいる宮殿の改築工事が始まった。とんてんかんてん、とうるさい。その内、何の音なのか、ぐるぐると派手な音がし出す。
「お母様、改築工事をやめてください。あれでは睡眠もろくに取れません。うるさすぎます」
 工期が決まってるのか、夜中まで突貫工事だ。あのぐるぐるとドリルという機械だけでも止まって欲しかった。ぶーぶー、珍しく文句をたれる私にお母様が困る。
「そうはいってもね。穢れのある部屋は直さないといけませんからね。そうね。工事の間はクルトの宮殿にでも仮住まいしなさい」
「クルトの、ですか!」
 嫁入り前の娘が、事もあろうにか年頃頃の男の家に住むなんて!
 衝撃を受けている私を面白そうにお母様が見る。
「エミーリエは純真なのね。別に年頃の男がすんでいても、隣部屋に寝るわけじゃないですよ。クルトの宮殿も大きいですから部屋はいくつでもありますよ。内装が気に入らなければそこも変えますからね」
 また。あの音を聞くの?!
 げんなりしている私の頬を愛おしそうにお母様は触れる。
「可愛いエミーリエ。本当に純真なのね。そこがまた可愛らしいわ」
 お、お母様。目が据わってます。さすがはカロリーネお姉様を産んだ方。カロリーネお姉様以上の方らしい。その片鱗を見てびびる。
「そんなにおびえなくても大丈夫ですよ。節度は心得ているわ。クルトと一緒に仮住まいの部屋でも決めていらっしゃい。ずっと、婚礼の準備で気が詰まってるでしょう?」
 まるで本当の母のように気遣ってくれるお母様の言葉に思わず抱きつく。
「お母様、大好き!」
「さぁ。婚約者の仕事でもぶっ壊しに行きなさい。カロリーネが来る前に」
「はい」
 もう一度、ぎゅっとお母様を抱きしめると、クルトの宮殿へと走って行く。途中でカロリーネお姉様とすれ違う。
「ちょっと! エミーリエ!」
 カロリーネお姉様の文句の声が聞こえてきたけれど無視してクルトの元へ向かう。今頃はあの執務室で仕事をしてるはず。
「クルト!」
 執務室の扉を開け放つ。そこには信じがたい光景があった。
 一人の女性と、クルト。しかも、女性はクルトの腕の中。
「どういうこと?」
 エレオノーラお母様がよく出していたような怒りで冷静すぎる声を出しているのを自分でもわかった。きっと、目も据わっている、はず。
「エミーリエ。違うんだ。これは!」
「違うって。その女性はどなた?」
 女性が振り返って微笑む。
「あら。エミーリエ様。一足遅かったですわね。クルトは頂きましたわよ。そうでしょう? クルト様」
「イルザ! エミーリエに失礼だ。謝りたまえ」
「ふぅん。イルザって言うのね。じゃ、私は用なしね。さようなら!」
 くるりと踵を返すと目的地もないまま、また走り出した。手で目元を拭う。手には涙という名の水が付いていた。


あとがき

さて、あるフォロワー様がChatGPTさんの自動生成について書かれていましたが、まったくの同意見です。イラストは自分の楽しみでやってますが、貼り付けたのはたしか手帳系か朝活系で一回こっきりでした。作ってみても理想には近づかず、リリアーナとセイレンだけが勝手に簡単にできあがるぐらいです。レオとユレーネは何度やってもうまく行きません。ので、挿絵として使うことは諦めています。商用権利を持って作られている方は見たことありますが。絵はまるきり描けないので、私の作った作品は文字のみです。表紙は作りますが、今はCANVAのテンプレート頼りです。これも他人のものを借りているのでどうかとは思いますが、どうぞと出されているものなので申し訳なく使っています。最近は記事画像は素材から組み合わせて作るという事を覚えて作っていることもあります。この記事の画像は写真に文字を組み合わせただけ。オリジナルではありませんが、自動生成とは違うと思っています。なりすましは本当に嫌いなので、自分のイラストとして出すことはしていません。小説も打ち合わせをしてヒントをもらったりはする話もあります。でも、この物語に関してはまったく入っていません。名前すらヨーロッパの人名サイトから選んでつけたものです。これは使ったアレは使ったと選んだ名前です。エミーリエはエミーリアのはずだったのに、あ。ないんだ、と諦めてこっちにしましたが、後ほど見ればエミーリアがあったのでした。でも今ではエミーリエがはまってます。ドイツ語撥音です。第2外国語がドイツ語だったので身近な言語として使っています。眠り姫系はすべて自力で名付けています。というか当時そんなものなかった。訳ありの150辺りの頃に出始じめて河合先生とユングの影の解釈について調べたりして、なんと便利なと思ってましたが、十分な答えを引き出す質問の仕方をしなければ間違った事がでてくると知っています。コナンドイルがシャーロックホームズの下宿の階段の設定は決めていない、とChatGPTは答えましたが、シャーロックホームズはどう答えているか、と聞くと「17段」と台詞すらまるまる出してきました。ので以来、知識系もこちらでは聞く事はしていません。スケジュールの時間の割り振りにつかったり、休憩の取り方の一般的な話とかストレッチの仕方とかしか使ってません。あとは打ち合わせという自分の作ったエピソードの地名とか人名を聞くという所ぐらいです。東西南北の遺跡の名前とか。陰陽五行説を取り入れてエレメントの組み合わせを聞いてみたり。もちろんギリシャの元素が元々ですけど。だから、どの話にも似たようなくだりが出てきます。もともと私から派生した物語なので書き手の思考が映るわけです。内面が全て出ているわけではないですが、影響は受けているでしょうね。昨日から今日にかけて作っていた物語のあらすじもいろんな物語と似てます。まぁ、三角関係とか出てきたのでまた違う要素が多々ありますが。話が長くなりましたが、自動生成で楽しむ分にはいいですが、自分の作品ではないと思います。それを自分の作品とするにはどうかと。進行役を自分にしてキャラを作って作る分にはまだいいと思いますが。自分の意思が働いていますので。どこまで自分の意見を入れるか、で別れ道が在ると思います。ので、私は自動生成の方とは縁を結ぶ気にはなれません。それでPVは減りましたけれどね。まぁ、そんなところです。長々と書きました。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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