【新連載・ロマンス・和風ファンタジー小説】あなただけを見つめている……。 第一部 クロスロード 第九話 千輝が見つけたししょー
前話
二人がプライベート空間のリビングにいると当騎も来た。三人に重い空気が流れる。
「で。離乳食はどうしたんだ?」
この世の終わりのような二人に当騎が明るく声をかける。
「ちーちゃんなら、さっきそこのソフトハウスで……。ちーちゃん?」
ついさっき寝ていたベッドには居ない。
ぽて。
步夢と優衣の片方の足に何かが乗った。
「ちーちゃん?」
「ちきちゃん?」
千輝はお手を二人の足にしていた。
「まぁ。お手ができるんですの?」
ぽてぽてと歩いて今度は当騎の足におて、をした。
「偉いなー。励ましてくれるのか? そうだな。まだ散歩には早いが、外出しよう。千輝も外の様子知りたいよな」
「あん!」
子犬特有の甲高い声で千輝は返事をする。
「きゃー。ちーちゃん。可愛いー。もっかい言って。もっかい。ちーちゃん」
「あん!」
「まぁ。ほんにかわいらしい。早速散歩の準備をしましょう」
三人は智也が眠っている屋敷をでた。重苦しかった空気が一気に軽くなる。景色は都会化したとはいえ、まだ牧歌的だった。ある程度歩くと、当騎の鞄から顔を出していた千輝を地面に置く。転がるように歩くとぽて、とお手をする。どうも歩くと次はお手、をするようだ。その千輝が次にお手をした相手がいた。転がるように駆け込んできた青年に千輝はお手をした。
「陛下!」
「へいかと私を呼ぶあなたは、ししょー?」
步夢のもう一つの顔がいつの時代でもある。ある国で步夢は女王と敬われていた。その国のツートップの一人である大僧正のししょーがいた。
「はい! 陛下の花が咲き乱れていたのでついに完全にお目覚めかとやってきたのです」
「あちらで、何か悪いことが?」
「いいえ。朝日の滴を求められている、と知りましたのでやってきた次第です」
「『朝日の滴』!?」
三人が顔を見合わす。
「ししょー!! 知ってるの?!」
「へ、へいか。くびをしめないでください。ぐるじいです」
「あ。ごめん」
急に手を離すとししょーが地面に尻餅をつく。そこへまたぽて、とお手。
「ちーちゃん。偉いわねー。もう見つけてくれたのー。あなたはどこの子なの?」
抱き上げて瞳を見つめる。吸い込まれそうになる不思議な瞳の色。本当に彼の地から来たのかもしれない。
「むー?」
考え事に浸っていると顔面に千輝のキックが炸裂した。
「ちきちゃん。お足はいらないのー。けほけほ」
砂煙にあって咳き込む步夢である。
「じゃ、ちーちゃんのお散歩はこれぐらいにして『朝日の滴』の事をききませんこと?」
優衣が言う。
「そうね。ししょーと積もる話もあるし。智也もほっとけないもんね」
「むーは優しいな」
当騎が頭をぐりぐり撫でる。
「智也は私たちにとって家族同然なの」
「俺は?」
「婿養子。何かご不満が?」
「いいえ。さようでございますか。では参りましょう」
おどけて当騎も芝居かかった行動に移る。それをくすくす笑う步夢である。優衣はほっとした様子でその表情を見ていた。
「気楽にいけ。気楽に」
「ちょっと。帰らないのー?」
千輝を抱いたししょーと步夢が振り返る。
「早いこと」
優衣が早足で追いつく。当騎はその後ろを守るかのようにゆっくりと歩を進めた。
あとがき
ちと、重いところがもう一話あります。あとはそのまま大人数になっていく芋ずる式のメンバー集まりですが。まだ、それでも足りない。二部を書きかけているのですが二話途中で止まってます。書こうと思っていたのですが、次の記事のエッセイの勉強に書くようにかなり遅くなってしまいましたので、更新を先に。今日は、最後に買ったコリパンダのちびちゃんがお星様になりました。砂地のゆかず何していたときに身を削ぐほどかしかししていて移動してからは再生した部分もあるんですが、今朝、お星様になってました。悲しいけれど、またいつか一匹入れて見ようかな。六匹構成の水槽と判明したので、一匹コリパンダいれてジュリーはあきらめます。複数同じ種が居る方がいいみたいで。ステルバイも二匹になりましたし。大ステちゃんと小ステちゃんとよんでます。なんとなくピラミッドの名付けみたいですが。コリパンダは三匹とも名前があります。げんちゃん、ぱんちゃん、ちょこちゃん。由来はなかなかユニークです。いずれまたそんな話もしたいモノです。コリパンダの水槽はタニシがでかすぎて魚を圧倒してます。萎縮しちゃってどうしようか困ってるんですが、貝も殺すわけにも行かず、母が救出したタニシは二匹白コリ一族の水槽で生き残ってます。後数個いれていたのですが、ひっくり返されました。というところで、エッセイの勉強に行って執筆少しだけしていきますー。ここまで読んでくださってありがとうございました。