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【ショート連載群】ちっちゃな天気の神様との恋物語 5 了

前話

「わーい。デートだー」
 一応、屋敷の門はある。そこからまた長いアプローチがあって本当の門があり、警備員がいる。そこまでの間にもう美悠は神様の腕にぶら下がってはしゃいでいた。
「そんなにうれしいの?」
 恋とはなんなのだ、とでも言う神様の顔。ツンデレじゃなかったのか?
「恋の前では乙女は素直なの!」
 ぶら下がるのをやめた美悠が言う。
「お疲れ様」
 美悠はそのまま門を通り抜けて、ある事実に行き当たる。
「神様! 顔パスなの?!」
「もう。神様じゃないよ。武って名前もらったんだ」
「えーっ!!」
 いきなりの告白に美悠は驚く。
「寄り合いに行って辞表出してきた」
「戸籍は?」
 妙なことに気づく美悠である。
「作っておきますねーで終わった。事務が早いんだ。この地区」
「じゃ、もう小さくなれないの?」
 泣きそうな顔で美悠が聞く。
「なに、泣きそうになってるの。ズルイ恋をしようって言ったよ。これからは会社員になってお父さんの仕事を学ぶんだ。案外あっさりと美悠をくれたよ」
「く、くれたって!」
「はい。婚約指輪」
 道のど真ん中でプロポーズされた美悠はどうしていいかわからない。
「未来でいいよ。美悠の人生を決めるのは。僕はただ、それに付き合うよ。さ、デート行こう」
 横顔が勇ましい。美悠は今のやりとりで心が完全に神様こと武に奪われてしまった。初恋って実らないんじゃないの?
 この恋はどう突っ走っていくのか。ちっちゃな神様と遊ぶような恋愛かと思いきや、相手は真正面からきた。自分はどうしたいんだろう。
「ほら。美悠。そんな顔しないで。行くよ」
 武が美悠の手を引っ張って走る。
「ちょっと待ってよー」
「待たない」
「まつっていったくせに」
 小さかろうと大きかろうと一緒みたいだ。この関係性は。美悠も覚悟を決めて走る。
 ちっちゃな天気の神様との恋物語は神様の資格を捨てた神様との恋物語に変わったのだった。


まさかの締めくくりです。まさかの真正面神様にやられましたが、ここで終われてほっとしています。姉ちゃんのは40話あったからね。脇役なのに。
やっぱりインフルエンサー様は連絡くれないのかなぁ。おもちゃ買ったんだけど余計なことしたみたい。ちょっとショックだけどメールの返事が来ないだけだから傷つく部分は少ない。拒否られたら立ち直れない。インスタアドレス教えた方がいいかしら。DMで出来るしね。でもそこでもいらん、って言われたらもう無理なので何もしません。姉ちゃんは創作に生きる。そして金魚の癒やし映像をただただ写し続ける。といことでここでよろしくお願いします。

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橘優月/切り替え完了/
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