【新連載・ロマンス・ファンタジー小説】あなただけを見つめている……。 第一部 クロスロード 第三話 衝撃の言葉
前話
「じゃ、負けんなよ」
「もちろん」
二人は、会場で手を振って分かれる。トーナメント式で数式を解いていくのだ。最後は論証がされていない数式が出される。できるか。するしかないのだ。言うには。
步夢は気を引き締めて問題へと向かっていった。
*
当然の如く、当騎と步夢の一騎打ちになった。背中合わせに数式が書かれたホワイトボードのようなものがある。当騎より一字でも進んでいれば勝てる。步夢はペンを握って始めた。向こう側の当騎のペンが走る音が聞こえる。速い。步夢は焦る。だが、こんな時こそ落ち着きが必要だ。步夢は深呼吸をするとペンを握り直して画面を見た。わかる。この先はこうだ。すらすらと進める。
一方、当騎は焦っていた。途中から頭が真っ白になっていた。わかっているはずなのに喉元まででかかった数式が出てこない。向こう側の步夢は順調に進んでいる。
これだ!
当騎がひらめいて書き出して数分、またつまる。そこで時間となった。步夢はどれほど進めているのだろか。当騎は心臓がドキドキしていた。勝ち負けよりあの勝ったら聞いてほしいことがある、という步夢の言葉が引っかかっていた。
「これから数式の検証に入ります。両者ともボードから離れて椅子に座ってください」
国際語で言われて、当騎と步夢は座る。ボードが観客席にも見えるようにスクリーンに映し出された。步夢は時々間違いを犯していた。減点されていく。当騎は完璧だった。だが、最後のつまったところで勝敗は決まった。
步夢の方が先を行っていたのだ。減点されて尚、上回る高得点の論証だった。
「負けた。おまえの能力半端ないな」
当騎が步夢を抱き寄せようとして步夢はするりと逃げる。
「むー?」
「勝ったら聞いてほしいことがあるって言ってたでしょ。これもそのうちよ」
そんなやりとりをしている間に二人は取材陣に囲まれ離ればなれになった。
「むー!!」
「あとでね!!」
なんだか、涙ぐんでなかったか? あの声。
不審に思うも近づけない。時間ができれば話ができるようになるだろう。当騎は気を取り直して、取材と大会関係者にもみくちゃにされながら時間が過ぎていった。
*
ようやく、当騎は宿泊ホテルに帰った。そこでも大仰なお出迎えを迎え、辟易していると步夢がやってきた。
「ロビーで話しましょ」
「わかった」
表面上はにこやかだが、穏やかな話ではなさそうだ。ロビーの静かな一角に二人は座る。
步夢は一度目を閉じるとまっすぐ当騎を見て言った。
「別れてください」
当騎は動揺した。あれは、前回自分が放った言葉だ。だが、ただのやり返し、ではないようだ。
「まだ。付き合ってないのに。別れる別れないもないが?」
当騎がそう言うと步夢は泣き笑いの表情を浮かべた。
「相変わらずなのね。あのときと一緒。でも、どっちにしろ付き合うこともできないの。私にはもう婚約者がいるの。その人を幸せにするのが私の今世の使命よ」
「その人? 智盛、か?」
「なんでわかるのよー」
ぽすっと当騎の胸に步夢が拳を入れる。
「それでも、俺は譲る気はない」
「じゃ、二人で決めてよ。私には決められないの。あの人を放ってはおけないわ」
「わかった。男同士で話を決める」
「その前に自分の身の回りも整理しないと行けないんじゃないの? 室井財閥のおぼっちゃま」
そう。当騎もまた財閥の息子だった。財閥同士で結婚するなんて聞いたことない。どっちにしろ別れるのだ。
「そんな余裕こいてる場合じゃないんじゃないか? お出迎えが来たぞ」
「吉野……」
そこに、いつも傍に居る側用人、吉野が立っていた。
「やはり、こちらでしたか。智也様が探しておられますよ」
「ダメじゃない。体弱いのに」
「むーが帰れば大丈夫さ」
憮然と当騎が言う。
「帰りは別々な。後で、そっちの家を訪ねるから」
そう言って当騎は背を翻す。さみしそうな背中に声を掛けかけて、步夢はやめた。今、何言っても変わらない。
二人のクロスした道は、今、また離れようとしていた。
やっぱり「別れてくれ」の方がインパクトあるわね。別れてくださいって。確かにまだ付き合っても居ない。前回の話の前提があるので、秘密の語となっております。前世で当騎は步夢に「別れてくれ」とあった途端に言ったのです。そこから話が広がるわけで。今回は步夢編ということです。それでも付き合うんだろうな。でないと話がつづかない(苦笑)。
今日は忙しい。買い出しに、スマホのとんでもない額の支払い。ちゃんとお金置いておいてよかった。封筒が今日来て、期日が今日って……。
で、家計簿も再開し、受験勉強に過去問をどれからするかで悩んでます。
全国版のでそれぞれの地域が違うのが来たので、総集編というようなものは私が見て買ったものしかなかったです。そっちから解くことに。章立てで、まとめてくれてるため、模擬しやすいんです。一年以上あるので、わかりやすいものから。しかし、疲れた。次、エッセイの勉強のテンプレート買えてみようかな。七夕版って。しかし、初めて見た大河が来週ないなんて。続けてみてる人ショックよね。と、これはエッセイの勉強のテンプレートつくってから。こっちもどうしようか迷ってます。次回からは確実に変更します。
と。茶が飲みたいー。お茶ー。ここまで読んでくださってありがとうございました。