【再掲載小説】ファンタジー恋愛小説:最後の眠り姫 (19)
前話
それから私達の婚約を祝う内輪の食事会があった。初めて、お父様になる国王陛下とお会いした。笑い上戸で優しい方だった。もちろん。お母様となる王妃様の尻にしかれていることは明白だった。政治は違うだろうけれど。
異母兄弟達がいるとは聞いていたけれど、この内輪の食事会には誰も来ていなかった。
「クルト。他の方達は?」
不思議に思って隣いるクルトに聞く。
「これは俺たちのためだけの食事会なんだ。眠り姫と王子の婚礼を祝う。うちの国は貧乏だからね。あの派手好きな方々は不満だらけだと思うよ」
「離婚なさらないの? 別居とか」
「さぁ。父上はみんなに平等にって思ってるけれど、それじゃ、不満な方々なんだよ。父の愛を独占したい方々が多くてね。この国は女の子が生まれるのが少ないから、自然と側室が増えたけれど、結局、カロリーネ姉上と君しか我が王家に未婚の女性はいない」
「って。普通跡継ぎ争いじゃないの? 娘争いなんて聞いたことないわ。変わってるのね」
「君にいわれたくはないよ。君こそ不思議の塊なのに」
「どこが?」
「ちゅー、と言うと爆笑するところ」
「そこ? 結局は」
私達だけでこそこそ話していると視線を感じる。いつの間にか家族となる全員が私達を見つめていた。
「何、見てるんですか!」
「いやー。エミーリエは妃とよく似ている、と思ってな」
「陛下!」
「お父様と呼んでおくれ。私に娘が二人もできるとは。幸せな人生だ」
「なにもそこまで・・・」
「それぐらい女の子が生まれるのは難しいんだ。だから男はあふれてるから、いつも気が気でなかったよ。どこかの誰かと恋に落ちて駆け落ちされるんじゃないか、って何時もこの宮殿見ながら執務をしていたよ」
「そんなの、言葉も通じないのにあるわけないでしょ。思いすぎよ」
「それだけ君のことが大好きなんだ。誰にも奪われたくない」
そこでヴィルヘルムの突っ込みがはいる。
「カロリーネ姉上には強奪されてるのに」
「次は私の番、ね」
お母様がにっこりなさる。その笑顔、怖いんですけど。
「やはり、ウェディングドレスのデザインからね。お母様」
カロリーネお姉様がうっとりして言う。
「もちろんですとも。三人でドレスや服の準備をたくさんしましょうね」
いや、だから、その笑顔が怖いんですって・・・。
「宮殿も、クルトと一緒に住めるよう、どちらかを改築せねばな」
お父様がさらに言う。
「え。あの宮殿で十分なのですけど・・・」
「いや。エミーリエの宮殿には穢れが着いた部屋がある。あとは安全に住めるようにせねば。昔の装置では簡単にやられてしまうことはあの時の事で明白になったからな。大臣達からも口酸っぱく言われているのだよ」
「大臣様達まで?」
「ああ」
国は貧乏なのにスケールのでかいことばかり言う王家に呆れてしまった。血税なんですけど、と言いたかったけど、その享受を得ている身としては何も言えなかった。ただ、地味にしたい、つくづくそう思ったのだった。
あとがき
エミーリエは騎士の娘なので王族の金の使いかを知りません。知っていても母親がしっかり教育してたでしょう。体面を保つためというのはエミーリエにはない思考なのでした。でも一棟宮殿あるんだからいいよね、と書き手も思う。事故物件だけど(..;)。セキュリティの問題で改築はよくわかります。あれだけ二人だけの回廊と行っていたのを姉や弟が行き来してれば危ないですよね。この話だけは45まであるのでコンスタントにお届けできます。そこまできたら、これも毎日書きながら更新になるんですけど。それまでに星と風がなんとかなってくれてたらいいのですが。緑も書いてるし。
クリエイターフェスティバル用に何かできないかなとは思っているのですが。新しい話はどうかな、とただ、その間に終わらないと思う。ので毎日ショートショートを書くとか。いや、毎日は酷だな。二日ほどシリーズものを挟んでみるとか。知恵の姫の続きか、と思ったけれど、これもややこしい。恋のから騒ぎ編をお届けする分にはいいんですけどね。そのまえに前提の話もいるしどうしようか、と。アヴリルの話がまだあって。これをこの九月にして十月からから騒ぎ編か。この子は娘編があるんですよね。短いながらも。と、どーでもいい話を展開してしまった。自由に割り振った時間の使い方をまだ把握していない。昼活だけ時間の取りかが変わったんです。それは朝活アカにて。それではここまで読んで下さってありがとうございました。