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【訳あり姫君スピンオフストーリー】宰相殿下の奇妙な日々 第一話
それは未知の病の大流行の最中だった。ダーウィット宰相殿下は今日もいそがしい。弟のウルガー様は日夜ワクチンというものを作られては病にかかっていない人達に注射を打っておられた。
私、ニーナ・ケトは人手不足に急にかり出された素人メイド。だからどこに何があって誰が誰だかまったくわからない。わからないまま仕事を命じられる。初っぱなから仕事人間というダーウィット様付きにあてられ、がっくりきていた。ロマンスなんて咲いてないわ。あんな威張りきった宰相殿下なんだから。それにあの方は誰かに恋をしている。女の勘がぴん、と働いていた。それが仕事にも生かせればいいのに、仕事はまるっきりのダメ子ちゃんだった。
最初から王家に伝わる東方からのツボにもの落としてぶっ壊した。ぱっかーんと二つに割れる。その現場を宰相様に目撃された。目が点、だった。
叱られる! クビにされる!
やっとの高額バイトなのに、初っぱなからクビなんて親には言えない。
「これは代々の宰相に伝わるツボだからどうでもいい。怪我は無かったか? ああ、やはり、手を切っているな。こちらへ来い」
宰相様は急に私の手を取り、仕事部屋に連行したのだった。
あとがき
寝坊して遅れるかと思った。無事駅にて更新。これから少しこの話が続きます。短いので読んでいただけるとうれしいです。ここまで読んでくださってありがとうございました。
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