【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子 第八話 もう一つの名前
前話
「とにかく、この服に着替えてフロリアンの家に居候したら? 騎士様は何か寝床があるようだし」
「なんだと! ニコ! この国に女がいるのか?!」
レオポルトの驚き方にニコとユレーネは肩を落とす。
「レオ? 知らないの? この騎士様は……」
「姫。今はご内密に……」
ニコがそっと言うと、ユレーネは肯く。
「だーっ。何二人で納得してるんだっ」
「お兄様、焼き餅妬いてる」
「アデーレ!」
レオポルトが言うと、ユレーネの後ろに隠れる。
「名前も変えないとね。アデーレはリリアーナ、なんてどう?」
「それ、私の名前?」
「ええ。レオポルトも何か付け直さないとね。レオだけでもいいけれど」
ユレーネが答える。アデーレの顔が輝く。こんなに嬉しそうな顔はいつ見ただろうか。
「お姉様大好き! アデーレの事を一杯考えてくださるのね」
「お姉ちゃんでいいわよ。私はここでは一人の舞姫を目指す女の子だから」
そう言うとリリアーナとなったアデーレが抱きつく。
「お姉ちゃん!」
「リリアーナ!」
女の子同士で抱き合う。
「女の子同士は可愛いですねー」
ニコはのんびり見ている。
「ニコはそのままでいいわ。仲間内で何かあるだろうし。で、レオポルトよね。レオヴァルト、なんてどう?」
「変わらんが?」
「でも、フルネーム聞かれたときに答えられないと困るでしょ。あとはリリアーナを寝かせて、私の両親と話してもらわないとね。花嫁の条件もあるし」
「花嫁の……?」
「条……」
「けん……?」
炎の国一同が不思議そうにする。
「それは私とレオでかわす契約よ。リリアーナはフロリアンの手料理を食べて大人しく寝ていなさい。お兄ちゃんはちゃんと帰すから」
「あ。そうだな。俺の卵焼きで良ければ……。もっと料理をしておけば良かった。リリアーナ……さ……」
様、と言いかけてユレーネが口を塞ぐ。
「様は名前を変えた意味がないでしょう?」
「俺の場合、ほぼ同じだけど?」
「じゃ、違う名前がいい?」
「い・や」
「ひねくれ者」
「そっちこそ」
夫婦漫才を早くも始める二人である。リリアーナとなったアデーレが間に入る。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、めっ!」
「ごめん」
「ごめんなさーい。じゃ、フロリアン、後、お願いね」
ユレーネが言ってレオヴァルトとなったレオポルトの腕を引っ張る。
「わかった。今、行くから。服だけ変えていく」
「じゃ、表で待ってるわ」
ユレーネは面白げに瞳を煌めかせて出て行く。その瞳に吸い込まれそうなレオポルトである。
「エロ親父って言えねぇな」
頭を振りながら服を着替えに行く。
花嫁の条件。
国を売ることになるのだろか。レオヴァルトとなったレオポルトは少々暗い気持ちになりながら、服を着替えていた。
あとがき
あとがきを忘れていました。書いている内に三回ぐらい題名変わりました。なんだか、今回はとろとろと動いていて。今も阪神戦見ながらやってます。ネットで視聴とのこと。延長の場合。急いで検索しなきゃ。ということで、長々となっている前提の話で済みません。行き当たりばったりで書いているので。伏線もはってますし。でも。回収は早そうです。
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