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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(86)

 大仰な車の隊列と見たこともない乗り物に乗った護衛の人が横で走っている。まるで監視しているみたい。するとクルトが即答する。
「体面だよ。あれはバイクと言って、車よりは劣るけれどスピードのでる乗り物。俺たちの国では作ることは禁止されている。事故が起きたらタダですまないからね。車よりもひどいんだ」
 また、流れたみたい。
「もう。クルト、思考を読まないで」
「流れてくるんだからいいじゃないか。二度も質問する必要がないだろう?」
 クルトは気楽に話すふりをしているけれど実際はひどく緊張している。その気持ちはこちらに流れていた。
「それに。俺の精神状態も流れているようだしね」
「お互い様、ね」
「そういうこと」
 二人で話しているとヴィルヘルムが文句を言う。
「二人にしかわからない会話はやめて。ここには僕もフリーデもいるんだよ。これを納めに行かないならいいけれど」
「ヴィー。ごめんなさい。緊張して周りが見えなくなってるみたいの。何が起こるか怖くて」
「エミーリエ様は私が死守します」
 隣に座っているフリーデが私の肩に手を置く。
「護衛fが三人。ちょうどいいね。エミーリエを守って国で婚礼をあげるんだ。みんな頼むよ」
 クルトの頼もしい声にフリーデもヴィルヘルムも二つ返事で了承してくれた。

ずらずらと車の長い列を作って帝都に入る。初めて降り立った帝都には花があふれていた。そして城では目にすることのなかった人々の往来。たまに、城下町に行ったことはあるけれど、ここまでの喧騒があるところはなかった。
「お気に召しましたかな。エミーリエ姫」
 枢機卿がすっと寄ってくる。口の中が渇く。
「え、ええ。花が奇麗ですわね。感動いたしました」
「教皇の庭にはもっと珍しい花々が咲いていますよ」
「まぁ。それは是非見たいですわ」
 私は余所行きの声を出して返事する。
 着くなり、早々に教皇との目通りがあった。金ぴかの玉座に聖職者の衣装を着たハゲ老人が座っていた。一気にめまいがするほど嫌になった。それでも、顔は笑顔を作って名乗る。
「エミーリエと申します。はじめてお目にかかり光栄に存じます」
 楚々として頭を下げて言う。
「お顔をあげられよ」
 言われて改めてあの嫌な姿を見ることになる。クレメンス様の方がよほど教皇らしいわ。
 一人感想をぶつぶつ頭の中で言ってると隣のクルトが肘で注意を促す。思考が流れっぱなしのよう。誰にも知られないよう考えないようにしなきゃ。慌てて、思考をこの場所に移す。
「エミーリエ姫は花がお好きとか。あとで枢機卿に案内させよう。それから、墓参りだが、この帝都にも墓がある。そこではなくて本来の墓に行くのか?」
 なんとこたえようと思って言ううちにカロリーネお姉様が答える。
「エミーリエは本当に家族思いの姫ですの。本当のおじい様の墓参で結婚する旨をつげたいのですわ。お許しくださいますわね。教皇様」
「カロリーネがそういうなら仕方あるまいな。そちらも成婚なさったとか。残念だが、うれしいことではあるな。よい家庭を築かれよ」
「恐悦至極に存じます」
 教皇はカロリーネお姉様を狙っていたみたい。目つきが私を見るのと違う。まるで鼻の下が伸びているような。
「それではエミーリエ姫は枢機卿に案内させよう。クルト殿は少し政治の話がいたしたい。こちらに来てくれ」
 すっと長衣がなびく。
 私はリップサービスで花が見たいと言ったけれど、それがそのままトラップとは思いもしなかった。


あとがき
うーん。エロ狸おやじというところですが、これ以上の表現は控えさせていただきます、状態。目つきとか考えたら恐ろしい。ぎりぎりでこの更新。母が昨日Y1000のんで、今朝、血圧が急激に下がって午前中寝込みました。寝すぎるらしく、遺伝していると思われる私の寝すぎもここからではと看護師の感が言うらしく、飲めませんでした。二日に一回ぐらいみたいです。このシフトでは。そんなに頑張って買う必要がなくなりました。よかった。おかげで、親子でぐーすか寝てこの最新話もスマホでぽちぽち打っててあとは東芝の古いパソコンの調整をしてやっとのことで全機種駆動可能となりました。あと、GPTでファンタジーのあらすじを立てるためのAI構築。必ず、ユング心理学を取り入れる。という指定を入れて。公開してないともいますが。べんりだわ。イラストも作れるように作ってみよう。おかげで96話は途中でストップ。クラウドとアナログバックアップ体制整えてとしてたらお風呂のじかんでした。というかその前にイレギュラーな夢に襲われ、ほぼお風呂に入る時間が一時間以上遅れた。明日起きれるかしら。飲んでないから大丈夫だと思うけれど。まさか遼ちゃんと恋人役とは。当麻が間に入るという。禁断の夢女子の夢。でも来世では俺がとる、としっかり宣言した当麻君でした。独占欲は相変わらずでした。幼馴染の設定って……。どこまで都合いいんだ。あとはからっきし出てきませんでした。となんのことやらというかたは若いお方。年寄りのドリームでございます。さて。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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