【再掲連載小説】ファンタジー恋愛小説:最後の眠り姫(5)
前話
『・・・ミエ・・・エミーリエ』
遠くでお母様が呼んでいる。そしてお父様の力強い声。
「お母様! お父様!・・・」
私はばっと飛び起きた。呼んでいたのはクルトだった。がっかりする。
「エミーリエ。辛い現実だけど、今日の夕食も食べないと。俺の宮殿でもいいけれど、エミーリエのところで二人で食べないかい? 俺の宮殿は仕事場も兼ねているから人が多い。今は、あまり人目に付かない方が楽だろう?」
「そうね」
さっきの生々しい両親の声が耳について離れない。
「精神的に参ってるね。一人で食べてもいいけれど、食事までは完全に復元出来ていないんだ」
「そう」
それだけしか言葉にならない。異様にお母様とお父様に会いたい。
「ホームシックなんだね。これを。東屋でしまったように思ったけれど、ころんと落ちてた。これさえあれば、元気がでるだろう?」
声を閉じ込める機械という燻製音声。胸元でぎゅっと抱きしめる。
「ごめん」
不意にクルトの声が落ちた。
「なぜ、謝るの?」
「俺が君を安心させられない。いくら言っても言葉が届かない。俺は、なんて間抜けな王子なんだ、ってさっきからずっと思っている」
「そんな事無いわ!」
とっさに言葉がでた。
「居眠りしている私の側にずっと着いていてくれていたのでしょう? 仕事もあるのに。ただ、私が適応できていないのよ。まだ、一日目だもの。覚悟してたけれど、こんなに長い間眠っているなんて思わなかった。それだけよ。夕食、一緒に食べてくれる? 一人は寂しいわ」
ふいに、滴が落ちる。一度出た滴は次から次へとあふれて止まらなくなる。
「エミーリエ・・・」
そっと、クルトがハンカチを差し出す。私はそれを受け取って目頭を押させる。
「今だけ泣かせて。今だけ・・・」
宙に浮いていたクルトの手が私をそっと抱きしめる。人のぬくもりに私はわっ、と泣き出した。
どれくらい泣いていただろうか。目も鼻も真っ赤になってるに違いない、と思っていると、クルトは回していた手をはずした。
「ごめん。軽々しく触れるつもりは無かったんだけど、あまりにも辛そうで見ていられなかった」
「いいえ。私の方こそ。人のぬくもりを感じて生きてるのね、って思った。眠り姫の時間は終わったのね、と」
ばっとまたクルトが抱きしめる。クルトも感情的になっていた。
「君は生きている! 確実にこの時代に生まれ直したんだ。平和なこの世界に。そのために眠り姫になってこの時まで眠っていたんだ。あの手紙が君が生きてることを告げている。早く手紙を持ってきてあげればよかったね。夕食の準備が出来るまでに取ってくるよ。でも誰かいないと不安だね。少しお姉さんぐらいの世話役を着けるよ。まってて。手配するから」
そう言って一度扉の向こうに消えたかと思うとすぐ戻ってきた。
「今から、フリーデという俺と同じくらいの年の女の子が来る。その子とたわいもない話ししていて。俺の悪口でもいいから」
「クルト!」
「大丈夫。すぐ、だから!」
そう言ってクルトは扉の向こうに消えた。言い様のしれない不安感が私の中で大きくなっていく。いつしか両腕で体を抱きしめていた。
あとがき
やっと執筆できる状況がやってきたかと思うと、腰痛が。ずっとパソコンデスクに座っていて腰に痛みがきました。野球中継はもう九回。一時間終わるのが早い。とりあえず「星彩の運命と情熱」を進めようかと。その間にも他の話や再掲ものを載せていきます。よろしくお願いします。
今までの怒濤の更新ができる状況ではないのでお待たせしていますが、捜索は私の力の源でもあるのでできる限り書いて行きたいです。つぶやきでつなぐのは好きじゃないので。そういう方を知っているので。毎日つぶやきではねぇ。忙しいとしても。時間が無ければ作れば良い。そう聞いたことがあります。自己管理を進めればいいこと。先ほどは座骨神経のストレッチを調べてコピペしていました。他の患者さんは動画らしいですが、私はテキストの方が理解しやすいので。
冷房もきっとダメなんだな。解るけれどもう殺人的な暑さに参ってます。
おお。試合が終了。早すぎる展開にびびっとります。阪神が勝った。どうした横浜。一位だったんでは? 二位に落ちていた阪神が一位独走。でも広島が迫っている。野球に染まってしまい、毎日観戦中。月曜だけない。明日も午後五時から。早いよー。
ではここまで読んで下さってありがとうございました。