【新連載・ロマンス・和風ファンタジー小説(オマージュ)】あなただけを見つめている……。 第二部 次代の姫 第一話 削りに削り取られた古文書
「むー! 削りすぎだー。木簡まで削ってどーするんだ!!」
吉野山の上にある上屋敷の倉で古文書を洗い直していた当騎が怒鳴り込んでくる。
「いいじゃない。どうせ、吉野神社にうようよ秘密があるわよ。勾玉も借りないといけないし。二つあったよね?」
無情に言って步夢は京大の編入パンフレットをにらみつける。
「うーみゅ」
「決まらないんですの?」
優衣が聞いてくる。
「うん。計算は好きだけどこの天文学やりきれるか……。当騎の分野でしょ。キャンパスデートしたいから編入にするけれどやりたい学問がない!」
「じゃ、再度、発掘のコースを取り直しては……」
「あれ。一回こっきりなの。単位が取れても来なくていい学生は赤点ぎりぎりでよそにやられるの」
「すごいね。そんなに露骨なんだ」
「うん」
「おい。むー! 優衣! 日史! 固まるな!!」
步夢を確保した途端古文書と木簡がカランカランと盛大な音を出しておちる。
「はいはい。禰宜の家に行けばいいでしょ? また修復の学校に入り直すわよ」
步夢がふらふらと歩く。それを当騎は止める。
「どうせならエジプトの発掘に行かないのか? 大好きだったじゃないか」
「中東は危険なの。女の子一人でいっちゃいけないってゼミの教授化からストップかかったの」
「母が、圧力を」
寝て居てばかりでつまらないと母、沙夜が口を出す。
「いらないいらない。それじゃ裏口入学じゃないの。お母さんは療養! あんまり余計な事考えるとお嫁さんになるよ」
「まぁ。かわいらしい十六歳の花嫁さん! やりましょうよ。花嫁衣装は残しているのよ」
「あの重たい着物いらないー。ウェディングドレスがいいー。あ。吉野神社に残ってないかな? おじいちゃんいる気がするんだよね」
「じいさんが?」
モノを拾いながら当騎が聞く。
「またそっちにいるような気がして。引退した禰宜がいるって禰宜が言ってたから」
「一の長老様が滞在してますよ。吉野神社には。調べ物があるということで。倉の入室許可が出てますよ」
「一の長老様! おじいちゃんだ! 行こ! 当騎」
当騎の手を引っ張った腕がぴーんと伸びる。
「結婚は十八なの。こんな学生でしてどーする。勾玉と文書探しなら付き合うが孫と祖父の再会には付き合わないぞ」
意地悪な当騎の答えにえー、という步夢である。
「じじぃも若い花嫁が好きだからな。仮祝言とかなんとか言ってやるぞ」
「仮祝言いらないー。めんどくさいー」
「だろ? だったらここで将来の夢考えてろ。吉野神社には俺一人で行ってくる」
步夢の頭をほふほふ叩くと拾っていたものをテーブルの上に置いて出て行く。
「ちょっと! 当騎ー!!」
步夢が追いかける。延びきった髪は腰のあたりで切りそろえられ、母の手によって二つお団子頭になって巻ききれなかった髪を後頭部から流していた。まさに、美少女うさぎだ。前世では、後頭部で一つに結っていた步夢だが、飽きたようだ。優衣は片側だけに大きく結って流している。お団子姉妹だ。
「姉様!」
また、ごちゃごちゃになるのではと心配した優衣が追いかける。ついでに暖の名を呼んでいきますわよ、と声を掛ける。
優衣の後に暖がしかたない、という顔でついて行く。
太古の昔に隠された謎を探しに仲間達は連れだって吉野神社へと行くのだった。残された母は一人、若いっていいわねーなどと言って日史をあきれさせていた。沙夜も事故から時を止めていたかのように年齢を止めていたので若い。留守番役を仰せつかった日史は沙夜の暴走を止めるのに一苦労も二苦労もしたのだった。
”緋影帰ってこーい!”
梅雨の明けた空に日史は心の中で叫んでいた。沙夜の運命の人はどこにいるであろうか。
あとがき
とりあえず、これだけは更新しておきます。執筆したいけれど、気力が。お団子頭してるけれどあの髪型ではないー。まぁ、たまにはこれでいいだろうと妥協したけれど。優衣が難しそう。ま、步夢も少女らしくなっちゃって。言動は子供。これであれなの? と悲しい。どーすればいちゃいちゃするんだろうか。これから。すでにファミリーと化しているため今や、ヤングパパママの二人なんです。これ、絵作るの難しそう。産んだわけじゃないけれど子供がいる。なので、後半からと言うかかなり続きはこの顔で? になる。
あー。あとで三行日日記書くのでお待ちください。国王陛下編が難航しております。暑い、眠い、なんか食べたい。あー。魚のご飯ー。とっとと書いて逃げます。ここまで読んでくださってありがとうございました。