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【新連載・ロマンス・和風ファンタジー小説(オマージュ)】あなただけを見つめている……。 第二部 次代の姫 第八話 ししょー再到来、そして来る異国の友

前話

 步夢が意識を失った日から数日、步夢は姫夏を沙夜に取られ千輝と一緒に手遊びしてベッドの住人になった。夜は夜泣きがあるが、それも沙夜が引き受けて会いたくても引きずられるから完全に中和されるまでダメ、と言われて不服ではあるが、母に甘えられるのは今のうちだと父となった緋影がそばで古文書を見ながら步夢を見ていた。あの、ぶっきらぼうだった緋影が父……。おかしくて笑い転げそうになる。そのうち白影も冬玄もくるだろうと踏んでいた。ししょーは一度故国に帰っているが、何か、嫌な予感がしていた。ぶりぶりの古の女王のドレスを持ってくるのではと心配だった。
 あれ、宝石がついて重いのよ。ダミーつけても。宝飾専門だった暖がいる。イミテーションをつけてもとことん突き詰める暖が復元したイミテーションはべらぼうに重く、本物にそっくりだった。それは過去で嫌というほど味わっている。今の暖にその技術がないとしても、どこかで調達してくるに違いない。
「はぁ……」
「何をため息をついてるのですか。ひめちゃんが来たというのに」
「お母さん! ひめちゃん~~~~。ママさみしかったよー」
 手を差し出して姫夏を抱く。暖かい体温に愛しさがこみ上げる。
「さっき、ごろんしましたよ」
「え。うそ。ママの目の前でやってー」
「ちゃんと記録に残してありますよ。見ますか」
「みるみる! ひめちゃん、はいはいのときはママの目の前でねー」
 沙夜の記録媒体で先ほどの姫夏が一回転した場面を見る。もう步夢は感涙している。こんなに感情豊かな子ではなかった。やはり、当騎や日史達が居ることがいい効果をもたらしているのだろう。そして千輝や姫夏の存在が步夢を大人に近づけていた。ふいに步夢がどこかに消えてしまうように感じて手から媒体が落ちた。
「おかーさん?」
「なんでもありません。步夢はそんなに泣きべそさんでしたか?」
「ひどーい。なきべそさんなんて。步夢は強い子です」
「おとなしくうなずいてりゃいいのに」
「当騎! お帰りなさい! 大学はどうだった?」
 姫夏を沙夜に抱いてもらうと当騎と抱き合う。そして、軽いお帰りなさいのキスをする。もう、新婚家庭である。問題なのは処女受胎の部分である。どうやって実子にすればいいいのか最近悪知恵をうごかしている。己の出自が原因だろう。步夢は事故で亡くなった両親の実子扱いだ。養子に来たと戸籍上にはなっている。妊娠経験も母子手帳もない状態でどうやって自分たちの子にするか最近ああだこうだと言っている。病院にいかなくとも日史と加奈子がいるからいいものの。大病を患えば入院だ。どうするかはまだわからなかった。それが、二人の不安と言えば不安だった。あかちゃんはいろんな感染症にかかる。検診も予防注射もある。それを全部日史にまかせているのもあまり気分のよくない事だった。
「相変わらず、お熱いねぇ」
「そっちこそ。加奈子さんとどこまで行ったんだ? 大人の日史君」
 当騎が茶化す。日史はその茶かしにはのらない。見事にスルーして姫夏を見る。
「うん。今日も元気。ひめちゃん、こども園に入れるの?」
「それも迷ってるの。この年齢のママは怪しいでしょ? かといっておかあさんに母親役やってもらうのもね。ママは私なんだもの。ひめちゃん混乱するわ」
「だけど社会性は身につけておいた方がいいよ。いずれ、神様、なんでしょ? いい子にしとかなきゃ」
「そうよねぇ。社会性はいるよねぇ。当騎みたいになったらダメだし」
「俺のどこが!」
「嫉妬メラメラなとことか頑固とか……」
「頑固なのはむー。かたくなに実子扱いにしたがってるからな」
「当騎は養子でもいいの?」
「彼の地で養子実子って区別いるか?」
「う~ん」
 当騎以外のその場に居る人間は思わず声をそろえてうなった。さすがにそこは真理だ。神様に社会性を身につけるにはどうすればいいのか。
「簡単じゃないか。ヤングパパママ呼べば?」
「へ?」
 そのときドアがばたんと派手な音を立てて開いた。

ししょーと謎の女性


「ゆうー。会いに来たわよー」
 日史ほどの女性が步夢に抱きつく。魂の色で見分けられるが、信じられなかった。抱きついている女性が前世で当騎を争った女子高生とは。
「か、香澄ちゃん?」
「そうよー。あなた、とんでもない出産したのね。16でって」
「違う違う! 預かっただけ!」
 当騎と必死に否定する。そんな年であれしてたら怖い。いや、してる人は居るが、産んでる人にはついぞ会ったことがない。
「なーんだ。じゃ、ここでこども園つくらなくていいの?」
「それはいる!」
 またハモった。
「私たちはヤングパパママだけどそっちほど若くないわ。うちの子達と遊びましょ」
「それはいいけれど、どこから来たの? まさか……」
 恐る恐る部屋の外を見る。
「陛下ー。ドレス保存されてましたよー」
 ぶりぶりのプリンセスドレス。
「それ、重いからい・や」
「じゃ、私がデザインしちゃっていい?」
「香澄ちゃん?」
「ノン。今は売れっ子デザイナーのRinよ。でもまだダイエットとエステが必要ねー」
 元親友香澄の発言が步夢を地獄の底に突き落としたのだった。


あとがき
ししょーイケメン過ぎ。でも、何してもキリスト教から離れてくれないので一応、イメージにあった服装のししょーを選びました。ぶりぶりのドレスはご想像にお任せします。香澄も日系なのだけど、その気配なし。綺麗な人という設定なだけ。さて予約してねんねです。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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