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【再掲載小説】ファンタジー恋愛小説:最後の眠り姫(25)

前話

「ほら。エミーリエ。ここの部屋はどう?」
 乙女チックなピンク一色の部屋に案内されて私はうなる。
「どうしたの?」
 ヴィルヘルムが見上げる。
「今は、ピンクの乙女じゃないのよねー」
「じゃ、こっちだ!」
 ヴィルヘルムが手を引っ張る。今度は金銀財宝にあふれた部屋だった。権力者だったおじい様らしいわ。クスクス笑う。
「エミーリエの笑顔は俺のモノ。さぁ、こっちだよ」
 やっぱり最後はクルトが奪っていく。二人ともじとーっとクルトを睨んでいた。クルトが案内した部屋は夕闇の中でも明るく、優しい色合いの落ち着いた部屋だった。
「そうね。ここにしようかしら」
「いいの?」
「どうしたの? クルト」
「ここ、俺の自室の隣」
 やっちまった、とでも言わんばかりのクルトの首を絞めにかかる。
「え、エミーリエ。わかったから。殺さないでくれ」
「それぐらいで死ぬもんですか。この部屋は却下ね。気に入ったけど」
「えー。ここで恋人の語らいをしようよー」
 ふざけて言っているけれど、何か違う感情が伝わってきた。
「クルト?」
 目配せすると軽く肯く。アウグスタ様のことね。カロリーネお姉様の縁談を木っ端みじんにしなくてはいけない。ここで作戦を練るのだ。ヴィルヘルムが割り言ってきた。
「仲間外れにはしないよね?」
 にっこり笑う。それがまた恐ろしい。可愛い笑顔の下には覇王とも呼ばれた魔皇帝の魂が残っているのだから。
「ヴィーも入ってくれるとありがたいわ」
「やった。さぁ。恋人達の時間だよ。カロリーネ姉上は宮殿に帰ろうー」
「え。私は仲間外れ~?」
 カロリーネお姉様の声が響いてくる。策を巡らせるにはまず味方から欺かないと。カロリーネお姉様には当分内緒。
「じゃ、お腹空かない? 夕食にしよう。一緒に食べるよね? もちろん」
 クルトの頭の上にお花が咲き乱れていた。馬鹿面に見えるけれど、その実はしっかりと策を巡らしていることは一目でわかった。あとでヴィルヘルムが突撃してくるだろう。
 私とクルトは食事をする部屋へと向かう。いちいち用事事に違う部屋があるらしい。私の宮殿すらとんでもなかった。代々、皇太子が住む宮殿として増改築を繰り返してきたらしい。構造もめちゃくちゃだ。このときまでに待っていればいいのに。
「まぁ。時の皇太子も大変だったんだよ」
 え?
 私とクルトは顔を見合わせた。
「魔力の共有・・・してない、よね?」
「うん」
 お互いの声が聞こえる。魔力の共有なしに相手の心の声が聞こえることはなかったはず。お互い、顔を見合わせているとヴィルヘルムの声がした。
「兄上と姉上の魔力はもう結びついているよ。お互いに好き、ってわかってから」
「ヴィー! どういうこと」
「どういうことなんだ」
 私と来るとはヴィルヘルムの肩をむんずと捕まえて聞き出そうとしていた。


あとがき
なんと、七時に起きるつもりが四時に目が覚め眠れない。眠いけれど。で、魚のメンテナンスをしてしまった。眠れるんだろけれど、今できることをしておきたいと更新にきています。たぶん、また布団に入ったらこてん、と寝てしまいそう。起きて電気をつけたら、魚さん寝てる途中でした。そりゃいつもこんな時間に電気付かないものね、とライトをつけて朝ご飯を上げれば魚さんも覚醒。フィルターやら替えたので喜びのホバリングしてます。白コリ一族の白濁がマシになっていてほっとしています。ただ、水草にだけ産卵辞めて、と思ってます。水槽の壁面ならいいけれど。取り除くの簡単だし。しかし、昨日の朝まで22度でいたのに24度で寒い。体感温度が戻ってきていて困る。睡眠を削らないでくださいと朝活手帳にはあるのですが、削ってる。寝付きが遅かったので。ただ、夢を見ていてふっと起きたんですよ。するとまた三時五十四分。五十四分に必ず朝方目が覚めて寝直すと朝七時とかになる。で、今日は七時起床だったのに……。熟睡が……。もう一回寝直そうかなー。朝活体験できるけれど、目がくっつきそう。今日の更新はこれともう一個の再掲載ものです。訳ありを久々に出してきても良いですね。また、更新したら来て下さいね。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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