【連載小説】ファンタジー恋愛小説:魔法の遺産~運命の紡ぎ手~ 第八話 埃をかぶった父の本
前話
「やはり、姫。ここにいらしたのですね」
律儀な態度で若い騎士のアレクス・フォルデンダークが入ってきた。
「ん? アレクス? どうしたの?」
「姫様こそ。相変わらず本の埃に紛れるのがお好きですね。レイスが探しておりましたよ。旅の行き先を決める時間を取ってないと言って探し回っておりました」
「あれ。アレクス。レイスと仲が良いの?」
「まぁ。一応は。レイスが剣の相手をして欲しいと言っていたので鍛錬相手になったのです。なかなかの使い手。姫様の夫にもふさわしいですね」
夫?!
セリーナはもろく古い本を落っことしそうになった。あわてて抱える。
「セリーナ。ここにいたのか。やっぱり。これからの事を決めないといけない。お前の武具もそろそろできそうだからな」
そう言っているレイスのペンダントから光が出てセリーナが持っている一冊が輝きだした。
「え?」
その場にいた三人はただ、体が固まって動けなくなる。何が起こっているのか理解できなかった。そこへ母、であり、この国の女王、レイナがやってきた。まるで知っているかのように。
「やはり、あなたはお父様とそっくりね。その本を見つけるだなんて」
「本? これのこと?」
もう光ってはいない本を取り出す。埃がすごすぎて払おうものなら埃が表紙を壊滅的に破壊しそうだった。
「お父様もその本にくびったけだったわ。石版と密接に関係があると一生懸命読んでいたわ」
「お父様が?」
この、旅立つ時になってから亡き父の事がたびたび出てくるようになった。父はなにか関係しているのだろか?
「その本を少しまともな状態にして旅に持って行きなさい。その間にあなたに合わせた装備も整うでしょう」
「できるのか?」
「今、馬鹿にしたでしょ。ただの本好きって」
「言ってないだけだ」
「あ。思ったんだー」
痴話げんかを始めそうになると母レイナが止める。
「年頃の子になるのはいいですが、使命と一緒にしてはいけません。レイスもセリーナの手伝いをして本を修復なさい」
「え? 俺が?」
「光の娘には闇の息子、ですよ」
「何それ? お母様」
「その本を読めばわかることです」
そう言ってレイナは去ってしまう。肝心なことははぐらかす。自分で意味を探せ、という事なのだろう。
「来る?」
「どこへ」
「修復室よ。この城には専門家がいるのよ。そこの一角をお借りするだけ」
「できるのか?」
「どれだけこの城に住んでたと思うのよ。大抵のことはわかっているわ。許可が出ないだけで」
「やっぱり、できないんじゃないか」
「鈍感ねー。お母様が調べろというのはそれも含まれてるの。行間を読みなさい行間を。あなたにも修復を手伝え、とまで言ってたのに」
「今、馬鹿にしたな」
今度はレイスが返す。
「姫、レイスはまだ鍛錬の途中です。あと一刻は剣の鍛錬が残っています。これも女王の計らいです。レイスには力をつけさせるようにと仰せつかっております。鍛錬の後に連れてきますので、姫一人で先に進めていてください」
「まぁ、いいけれど……」
なんだか気が進まないといった感じでセリーナは言う。父は何を読んでいたのか。記憶にない父の姿がわかるのが怖かった。そっとそれをレイスは察する。
「半刻でくる。それまで待ってろ。行こう。アレクス」
ものすごい勢いで言うとアレクスを引っ張っていく。
「変なレイス。さ。お父様の事を知らないと」
気は進まないが、これが使命の始まりだとセリーナの勘は告げていた。
あとがき
すみません。昨日はこの話を出して終わってしまって。ユメも時間があれば出します。少し、この物語は毛色が変わっているので面白いかもしれません。でも。私は考古学の見習いで本の一時しかものを触ってないし、本の修復なんぞしたこともないです。ただのミーハーで一部の知識でやっとります。なので、肝心のシーンは消えてます。ただ、昔テレビで和紙を使って海外のものを修復しているのを見たことがあり、そんな感じで出してます。まぁ、ここで和紙という言葉は出ませんが。
これもChatGPTさんとの打ち合わせしながら、だけど、その案をまるまる採用せず、あくまでも自分の立てたプロット通りに進めています。
これも10話まであと少し。これはかなり話数が少ないので10話で止めるかも。でもこれも進めたいな。星彩はかなり進んでもう40話です。色んな事が起きて大わらわです。40話か少したまればまた載せます~。それまでは他の話で我慢して下さい。って。読む人いるのか?
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