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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(112)

前話

 検査当日、何もすることはなかった。用紙に記入することは前日にしてしまっていたので、またも車いすで連行されながら検査となった。そこにはもうクルトがいて思わず、手の皮をつねって意地悪したのだった。これぐらいの意地悪いいわよね。
「もう。ご機嫌直して。これから赤ちゃんの映像を二人でみるんだから」
「映像って、どこまで見えるの?」
「かなり、質のいい機械だから性別もわかるかもね」
「まぁ」
「じゃ、エコーしましょうか」
 ん?
 と思ったけれど、そこは隠さないといけない事。二千四百年前に生まれました、なんて言えない。お腹の上に道具をスライドさせて医師はなにか映像を探していた。
「あ、いましたね。赤ちゃんですよ」
 かなり詳細な赤ちゃんの映像が隣の画面に映った。
「おや。性別もわかりますね。男の子ですよ。お世継ぎ、おめでとうございます」
 ほら、とクルトを見る。
「やっぱり男の子だったじゃないの」
 言ってるとすぐ、また声が医師からあがった。
「もう一人赤ちゃんがいますね。この子は女の子ですね。二卵性双生児です。一度にお世継ぎと姫が生まれますね。喜ばしいことで」
「やった~。姫だ~」
 女の子、と聞いてもうクルトの頭の上にお花が咲き乱れた。これは、当分直らないわね。
「すこぶるお元気なあかちゃんですよ。流産なさりかけたそうですが、その心配はもうありませんね。もちろん、無茶をしなければ、の話です。では画像を作るので表で少々お待ちください」
 検査室というか診察室をでると、待合室で待っていたヴィルヘルムとフリーデが立ち上がった。お姉様たちも終わっていて話に花が咲いているようだった。
「エミーリエ。大丈夫?」
「お姉様……」
 ほろ、と涙がでる。
「エミーリエ。ほっとしたんだね。大丈夫って先生も言ってたよ。信じて」
「で、姉上。赤ちゃんは何人でしたか?」
 ヴィルヘルムがうずうずして聞いてくる。止まらない涙を拭きながらヴィルヘルムに答える。
「女の子と男の子の双子ですって」
「じゃ! エヴァンジェリンとディートハルトだ!」
 ヴィルヘルムが勝手に命名する。
「ちょっと。それ、私とクルトのミドルネームじゃないの。ちゃんとつけてあげないと」
「新しい名前はミドルネームにしたらいいよ。あかちゃんだってパパとママの名前ならいいって言うよ。ね。あかちゃん」
「ヴィー! いつエミーリエのおなかに触っていいと俺が許可出した。エミーリエのあかちゃんも俺のもの」
「えー!」
「そういえばお姉様は?」
「女の子二人!」
 ヴィルヘルムが嬉しそうに答える。
「お姉様に聞いたのよ」
「いいじゃないの。どうも。ヴィルヘルムは異常にうれしいようなのよ。レベンスヒューターの性かしらね」
「ちがうよ。おじちゃんとしてうれしいんだよ」
「って、この四人の赤ちゃんの子守をするのに?」
 少し意地悪気に言う。
「あ」
 ヴィルヘルムが少し困った顔をする。こんな無邪気なヴィルヘルムは久しぶりだわ。
「あと何日、入院するの?」
「おや、泣き虫奥さんはもう大丈夫なのかい?」
「だって。天使の落とし物独占できるもの!」
 お姉様と声がかさなる。顔を見合わせてふふ、と笑う。
「あ。それねぇー」
「ヴィルヘルム様、それは」
「ヴィーって呼んだら言わない」
「ちょっと。何、隠し事があるの?!」
 お姉様がシュテファンお兄様の肩を揺さぶる。
「姉上、違うよ。天使の落とし物はシュテファンが手配したんだよ。心細いだろからって。できた夫はいいねぇ」
「って、クルトは何もしないのね」
「お株をとられたからね。しようがないよ。代わりに帰ったら思いっきり甘やかしてあげる」
「って婚礼準備は?」
「生まれてから。一緒にクレメンス様にパパママ研修受けよう。姉上たちもね」
「ま。素敵。エミーリエの可愛い顔がまた見られるのね」
「って、大事なのはそこ、ですか?」
「そこ」
 クルトとお姉様が声をそろえる。
「さぁ。もう、帰り支度はすんでおりますから、つのる話は車の中で。クルト様、安全運転をお願いします」
「まかせて。じゃ、帰ろう」
「ええ」
 クルトの差し出した手をしっかりと握った私だった。
 こうして、ルフト王国からまた船で航路で自国に帰宅すると赤ちゃん日和が待っていた。


あとがき
昨日で連続二回目60日でしたが、寝込んでます。お祝いどころじゃない。これもお休み報告して載せないようにしようかと思ったのですが、ネット出たついでに。終わりで赤ちゃん日和とつけたしましたが、延々と子育ての妊娠期間は書きません。二次なら遊んで書いてましたが。物語上それはえらく長くなるのでいりません。次で完結します。しかし、スピンオフストーリーが書きたいと頭でこねくり回し中。子供たちの成長と少し大人になったエミーリエを書いてみたいなぁと。未来の眠り姫もシリーズ化してもいいけれど、いい加減、眠り姫は終わりたい。訳ありの新連載部分をもう七話執筆してます。「ほのぼの小説赤ちゃん日和」はいずれまた。近いうちに書き出すかも。寝てると動くんですよね。セリフが。でも、ほんとやばかった。低血糖にもなるし。食事療法してと薬してとでなんとか健康体に戻りたい。リベルサスで医療費が減ったのでプラス三千円することなくメディセーフで管理しようかと。ってこれ、糖尿病でないとわからん話。訳ありはゼルマがうつ病にかかるし。五月病というぐらいにはしてあるので、完治させますが。私のは非定型精神病だから治らん。軽減しても。次の話を執筆するか。ちゅー魔。またちゅーです。キスとは書かない。あくまでも。ちゅーで慣れてしまった。💦。一線も超えるゼルマちゃん達ですが(結婚しないとラスボスにたどり着けないことになっている)、それもそれとなーく書いて過ぎるでしょう。ウルガーがどう出るか。やっぱりちゅーって言うのかしら。ロマンチックにしてあげてね、と母は思うのでした。ウルガーは変わった子なのでいかようにもなる。ゼルマも最近ギャグ路線。病になってなお元気。あちこち画策中。お待ちくださいね。祝復帰連続61日目でした。

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