【共同マガジン・連載】恋愛ファンタジー小説:星の宝刀月の首飾り~姫巫女してたら盗賊に溺愛されてました~(2)
前話
「いつもは、枕もとに置いてるけれど、今夜は懐に入れておこうかしら。まさか、姫巫女の胸を触ることはないしね」
しっかり、星の宝刀にはさやがついている。間違っても自分の胸に突き刺さらないだろう。
あたしはそう呟いて寝所に横になった。
緊張してなかなか眠れない。一向に盗賊は現れない。いつしか、あたしはうとうと眠りだしていた。
「ほう。おひいさんは大胆なところに宝刀を隠しているのだな」
「誰!」
窓から入ってきた影に詰問する。窓の外は警備兵がいるのに。
「あんな雑魚置いておくなよ。簡単に侵入できたではないか。ほらよ」
投げ飛ばされてきた紙には「毒盗賊那亜坐参上」と書かれていた。
「あなたが毒盗賊……」
背後の月明かりが邪魔して表情がよく見えない。
「それが何か?」
面白がっている口調が腹立たしい。
「星の宝刀はあたしのものよ。誰にも渡すもんですか!」
宝刀を握りしめて言う。
「ほう。気の強いおひいさんか。面白いな」
「おひいさんってあたしは姫巫女よ! ちゃんとそう呼びなさい!!」
「あんた、名前は?」
あたしの主張を無視して、聞いてくる。妙に腹立たしい奴ね。
「だから。な・ま・え」
「瑠璃よ」
「瑠璃、か。いい響きだな。ちょうどいい。星の宝刀ごと俺についてこないか? 面白いぜ」
「誰が、あんたなんかにっ」
「じゃ、その宝刀を持つことができれば来るか?」
持つ?! 星の宝刀を持てるのは主だけ。こいつが持てるって?
「宝刀を持てるのは姫巫女だけよ。持てるものなら持ってみなさいよ。ふふん」
偉そうに言う。すると奴は手を伸ばしてくる。
スッ。
「何も起こらない。俺の勝ちだな」
「なんですってー!!」
大声を出しながら宝刀を取り返そうとすると寝台から滑り落ちた。
ずべっ!
だけど、痛くない。ん? 気づいたら男の手で抱きかかえられていた。男? ん? 奴だ! 降りようとする前に抱き上げられる。
「もーらいっ。このままお持ち帰り」
「ちょっと! 降ろしなさいよっ」
「ぎゃんぎゃん騒ぐな。バレるだろうが」
そう言って奴は誰にも触れさせたことのないあたしの唇に触れると何か入れた。そのままあたしは意識を失ったのだった。
このヤロー! あたしの唇返せー!!
失いかける意識の中であたしはひたすら騒いでいた。
この後をまだふんわりとしか考えていないのですが、前のメンバーシップの付属品でマガジン撤去したので共同に載せます。いくら暖房許可得ても炭のデスクでしてるので寒い。また布団にもぐろうっと。明日の用意もしないとね。明日も仕事に行けますように。それではここまで読んでくださってありがとうございました。