【再掲載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(39)
前話
「エミーリエ!」
遠くでクルトの声がする。
「疲れたのよ。眠らせてあげなさい」
カロリーネお姉様も。
「本人が一番怖かったはずよ。あんな暴挙にでて」
「そうだね。姉上。抱き上げていくよ。乙女の寝所に男一人で行くわけに行かないから着いてきて」
「いいわよ。またあのアイスのアールグレイを用意してあげなさいな」
「ああ。そうするよ」
二人の声に安心して私はそのまま意識を手放した。
「お母様。その飲み物、エミーリエにも飲ませて」
母が香り高い冷たい飲み物を飲んでるのを見て私はせがむ。
「これは大人の飲み物。子供のあなたには少々飲みにくいわよ」
「いいの。お母様とお茶したい」
「ま。そんな言葉どこから覚えたの?」
「秘密。その美味しそうな飲み物を飲ませてくれたら教えてあげる」
「はいはい。この交渉上手なのはどこからもらったのかしらねぇ」
「お父様! お父様、いろんな人のお話まとめるの上手だもの」
そこで、母はまた、まぁと声を上げる。
「どこで見たの。そんな場面」
「秘密。はやく飲ませて」
「はいはい。今、作るわよ」
母が丁寧な手つきで作っていく。子供用にと砂糖も入れてくれた。飲んだその飲み物はほろ苦い味がした。
「苦いー」
「ほら、言ったでしょ。大人の飲み物、と。エミーリエは甘いフルーツポンチでも頂いておきなさい」
「はーい」
遠い昔の記憶。その飲み物はあの飲み物だった。急に思い出す、味。
「お母様!」
はっと、身を起こす。カロリーネお姉様が側にいた。
「クルトは? それに私……」
「暴挙に出て疲れたのよ。普段、平和な乙女なのにあんな危ない真似をするから」
「平和な乙女って……」
私は苦笑いする。フリーデにはもう嫌われてしまったに違いない。目の前に現れることはないだろう。悲しい気持ちがあふれてくる。
「失うのを覚悟で行ったのね。大丈夫よ。さっき、お母様がヴィーとフリーデと連れて帰ってきたらしいから。フリーデはあなたの姉よ。いつだって。私も」
「でも。私フリーデに暴力を振るったわ。母みたいにキレて。こんな激しやすい妹なんていらないわよ」
「そんな事ありません! 私の方こそ」
「フリーデ?」
涙で視界がぼやけているけれど、目の前にフリーデが飛んできてくれて手を重ねてくれた。暖かい。それだけで何もかも許せる気がした。自殺しかけた事もヴィーを悲しませたこともすべて私は許せた。だけど、フリーデは? フリーデはこんな凶暴な主いらないんじゃないの?
一人で黙って下を向いているとフリーデが話し出したのだった。
あとがき
なんと極道なところで止まっているのやら。お母様並みにキレると暴挙に出るエミーリエなのです。お母様譲りで。たしか金の髪も母譲りだった気が……。エレオノーラの話はアリシアより過激でして。いや、書いてない言葉の中に含まれるイメージがきわどくて。これは本にできるのかしら、と思ってます。2まで本にしましたけれど。kindle本ですが。う。ここでまた疲労が……。集中力が続かない。やばいです。この疲労感。何もできない。漢検の模試、あと一回で全部クリアするのに。一日おきにすることにしていたのですが、昨日からできてません。昨日はまだ気力がありましたが、今日は気力すら。ユメもまた更新に来ます。一度休憩を挟まないと。それではここまで読んでくださってありがとうございました。