【連載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(78)<画像年末年始仕様>
前話
お姉様の婚礼後すぐ、新婚旅行に行くはずだったけれど、私の宮殿の壊し具合が異常で元に戻すためにも私が必要ということでしばらくは城にいることとなった。てっきり、東へと緊張していたのに拍子抜けてしまった。被害を被ったのは私だけじゃない。お姉様たちもだ。早く新婚旅行に行きたいのに、待つうえ、行先まで私とクルトに利用されるのだもの。申し訳なくてたまらないわ。
「ごめんなさい。お姉様。みんな、ハネムーンベイビーを待ってるのに足止めさせて」
ある日、私がこう言うとお姉様は私の肩をがしっともって言う。
「まぁ! エミーリエ! そんな言葉どこで覚えたの?!」
「え? 皆様言ってらっしゃいますわ。クルトに意味を聞けば新婚旅行でさずかるありがたい赤ちゃん、ということだと……」
私が言うとカロリーネお姉様は鬼の形相になられてクルトの頬がひきつる。
「クルトー。私の純真なエミーリエを返して頂戴。赤ちゃんはコウノトリさんが運んでくると信じさせていたのに」
「そういえばそうですけれど、クレメンス様の花嫁研修でしっかり正しい知識をいただきましたよ?」
「それもそうだったわね。でも、あなたの口からハネムーンベイビーなんて……なんて」
あまりのがっかりぶりに少々お姉様の中の私はどうなっているのだろうかと疑問に思う。私だってそこそこの知識はあるわ。お母様の花嫁にあたっての本にもしっかり書かれていたもの。
「姉上。お気持ちはわかりますが、エミーリエもいい女性として成長してるのですよ。いつまでもコウノトリさんなんて言うとさすがにおかしいです」
「そうね。私の大事な妹はもう仮とはいえ婚礼を上げているものね。何もないのが不思議なんだわ」
今度はお姉様が危ない発言をなさる。私とクルトはふるふると首を振る。
「姉上より早く子を授かれば道徳がない、と大臣たちに言われますよ。今はキアラが娘なんです。最近、キアラも成長してかわいいんです。ね。エミーリエ」
「ええ。間に挟まって寝相の悪さを止めてくれる立派な女の子ですわ」
「寝相の……悪さ?」
お姉様とシュテファンお兄様が見る。
「キアラがいるとしっかり正面向いて眠ることができるのですけど、いないと何するかわからないんです。専用ベッドを間において手をつないで眠るのがいつもの習慣ですわ」
それを聞くとお姉様の瞳が輝く。
「まぁ。エミーリエ可愛いわね! 私のエミーリエはそうでなきゃ」
寝相が悪い、イコール、クルトに抱き着くということは黙っておこう。何を言われるかわからない。クルトも抱き着かれても気づかず寝てるし。私たち、若い男女よね? とクルトと首をかしげているほどだ。何もないのが本当に不思議なのだ。
「姉上。エミーリエは目覚めたばかりの十六の少女ではありませんよ。十八の成人を超えた十九歳の女性です」
「クルトは黙ってなさい。さぁ。エミーリエ、お人形ごっこに行きましょうね。そうね。久しぶりにお母様も誘いましょう」
ぐいぐいと連れていかれてクルトを見るとごめん、と思考が入ってきた。
「クルトの薄情者ー」
こうして久しぶりにファッションショーという名のお人形ごっこが始まったのだった。
あとがき
明日の記事をとっさに投稿してしまって慌てました。明日の記事をここ数日準備していたのですが、目と頭はWBCの特番に釘付け。しかも、保存ミスで二回も同じ個所をしないといけなかった。ショッキングでした。あたまはただでさえテレビなのに。今も頭はぼー。飲むものも飲んじゃって(ノンアル)お菓子もない。これはまだまだストックがあるから大丈夫。リアルタイムで毎日が締め切りが二作あるのでそっちが困ります。こんな日は書けません。テレビ遮らないと。でも。いいところに来たー。韓国戦だー。野球馬鹿になってます。はい。マルチタスクで大変です。