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私を構成するアルバム9選

 Twitterでよく見るハッシュタグ「#私を構成するアルバム9枚」、納得のいくまで考えた結果をここに記す。

 おそらく、5年後、10年後に見返すとまた違った答えになると思う。リリース年をみても分かるとおり、かなり最近のアルバムが多く、これって最近好きなアルバムだよね? と言われても否定はできない。しかし、21歳現時点での"私"を全て詰め込めた自信はある。

BTS 「Love Yourself 轉 'Tear'」

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 まさかBTSが入るとは、数年前の私が予想できるはずもない。
 メンバー個人を推すまではいかないにしても、新曲・新譜は一時間前から待機するほどに好きになってしまった大人気K-POPグループ。この「Love Yourself 轉 'Tear'」は、彼らの音楽を初めて耳に入れた思い出が蘇るアルバムである。リリース直後にはなんとなくで聴いたのだけれど、それからずっと愛聴している。

 2018年にLOVE YOURSELFシリーズ2作目としてリリースされた今作では、K-POPサウンドとグローバルサウンドがうまく融合されていると感じた。特に、LYシリーズ1作目「LOVE YOURSELF 承 'Her'」と比べると、随分と穏やかな仕上がりになっている。正直言ってコンセプトはあまり理解できていないけれど、アルバムとして聴いてときに感じる哀愁が素晴らしく心地よく、これは一生聴き続けると確信したために、私を構成するアルバムとして選んだ。10代と20代を跨ぐ多感な時期に聴けたことが嬉しい。

特に好きな曲: The Truth Untold

Alcest 「Les Voyages de l'Âme 」

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 私が愛してやまないポストブラックメタルのカリスマ、Alcestの3rdアルバム。Alcestを初めて聴いたのはいつだったか思い出せないが、冬だったことだけは確かだ。コタツの中で真冬の寒波に怯えながらインターネットを彷徨っていたところ、ふと気になるアートワークのアルバムレビューを見かけた。それは、少女が寒そうに体を縮ませながら花らしきものを持っているアートワークだった。そう、Alcestの1stアルバム「Souvenirs d'un Autre Monde」のジャケットである。私は、後付けながらも運命を感じた。このアルバムに出会うことが音楽を好きになった意味のひとつだったのだと。

 ……これでは1stを選んでいるみたいだ。私としても、Alcestの中で一番好きなアルバムを聞かれると1stのことを答えてしまうかもしれないと日々感じている。ではなぜ、1stではなく3rdを選ぶのか? Alcestで一番初めにCDを購入したからである。確か1stは在庫切れで買えなくて、じゃあ3rdを買おうという話になったはずだ。記憶が正しければ。曖昧である。
そういうわけで、CDで初めて聴いたから、あと一番好きな曲が収録されているからという薄い動機で、今でも思い入れ深いアルバムなのである(それこそ1stよりも)。

 ちなみにAlcestは全アーティスト、全バンドの中で一番好きだ。こればかりは揺るがない。

特に好きな曲: Là Où Naissent Les Couleurs Nouvelles

LAMP IN TERREN 「THE Naked Blues」

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 今一番私の中で来ているバンドといえばLAMP IN TERREN。そのテレンが4枚目のアルバム(フルアルバムとしては3枚目)として発売した今作。全体的にモノクロチックで、まるで映画をみているような気分にさせてくれる。

 このアルバムが私を構成していると感じた要因、一体なんなんだろう。わからない。ただ、ただ素敵なアルバムだ。人間臭い曲、人間臭い歌詞、人間臭い歌い方、そう、彼らが奏でる人間臭さに魅了されたのだと思う。
 個人的には全曲シングルカットしてもいいくらいだと思っているし、アルバム構成としても不器用ながら綺麗なものを求めていく様が一層美しく感じる。胸が溢れて止まないよ。いつまでも聴きたいアルバム。

特に好きな曲: 花と詩人

[Alexandros] 「Sleepless in Brooklyn」

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 少し前までは、[Alexandros]は絶対に「Me No Do Karate.」! と言うくらいには、4thアルバムが好きだったはずだ。そもそも、「Sleepless in Brooklyn」は大半の曲がシングルリリースされていて、アルバムとしてはなんだか薄いような雰囲気がプンプンだった(リリース当初)から、余計に今、私を構成しているのが不思議で仕方ない。

 とにかく[Alexandros]はアルバムの流れを作るのが得意だ。最初からアルバムを作るために曲を制作しているのではないかと思うくらいに、しっかりと文句ない曲順で挑んでくる。パズルのピースがカチッとハマる感覚、あれに近い。一曲目LAST MINUTEの始まり方、文句があるはずもなく、その後ロック、ヒップホップ、バラード……全部乗せよくばりセットでも"アルバム"として聴ける。また、明らかにこのアルバムには合わないであろうSNOW SOUND,明日、またを潔くボーナストラックとして収録しているところも良い。良い。良い。

「Me No Do Karate.」がとんでもなく好きなのに、それよりももっと好きな「Sleepless in Brooklyn」が出てしまった。つまり私は、[Alexandros]が好きなのだ。

特に好きな曲: PARTY IS OVER

THE 1975 「A Brief Inquiry into Online Relationships」

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 このアルバムが出るまでTHE 1975の存在を知らなかったことは一生の恥である。

 イントロのThe 1975を聴いた時の衝撃を未だに覚えている。大学の図書館でロッキングオンの年間ベストを読んでいるときに初めて聴いた。普段なら講義が終わればすぐ帰宅するのに、その日に限って大学にいた。大学の図書館で音楽雑誌を読んでいるオタク。イントロのGo Down, Soft Soundが流れた瞬間、鳥肌である。大学の図書館で、鳥肌である。

 THE 1975はAlcestと同じく、私の音楽人生はこのバンドに出会うためにあったのだと思わせてくれる。

 また、SUMMER SONIC 2019でライブを観れたことも大きいはずだ。観ていなくても間違いなく私の大部分を構成していたはずだが、人生のハイライトがあのライブであったこともまた間違いない。

特に好きな曲: Love It If We Made It

米津玄師 「Bremen」

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 米津玄師の中で一番地味なアルバムなのかもしれない。だけれども、彼のアルバムの中で一番コンセプチュアルなアルバムであると私は感じる。米津玄師とは、一曲一曲の作り込みが凄まじいためアルバムとしては評価しにくいミュージシャンだ。大体一時間超えるし。

 このアルバムで一番好きなのは、全体的に尖った印象がなく、「diorama」や「YANKEE」、「BOOTLEG」とは違った独特の世界だ(独特なのは他のアルバムで、「Bremen」が普通に一番近いのかもしれない)。MVの雰囲気からしても他の作品とは明らかに違っている。優しさだろうか。「STRAY SHEEP」も落ち着いた印象を持ったけれど、同時に尖ったものがある。Bremenにはそれを感じない。意図的なのか、彼自身の心境の変化でそういうものが書けるようになったのか……。私はこのアルバムが一番好きだという米津ファンに出会うといつもニヤニヤしてしまう。これも「Bremen」が生み出す優しさである。多分。

 この人がもし、一からコンセプトアルバムを作るとしたならば、バケモノみたいな作品が誕生してしまうのだろう。是非とも作ってもらいたいところである。

特に好きな曲: 雨の街路に夜光蟲

haruka nakamura 「Grace」

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 私のnote初投稿は「Grace」でしたね……。


 私の幼少期の体験・思い出を詰め込んだアルバムだと勝手に思っていて、勝手にシンパシーを感じているのである。
 しかしながら、聴く頻度は高くなく、聴きたいと思うこともあまりない。感傷的すぎるのだ。間違いなく大傑作なのに、聴くと胸が締めつけられるからなかなか聴けない。それでも私は、私を構成するアルバムとして「Grace」を選びたい。

特に好きな曲: Elm/2

ill.bell 「bellz monologue」

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 はっきり言って思い入れは一番だ。同人系であるから長い間再販されず廃盤であったため、クロスフェードだけを永遠聴いてきたアルバム。数年越しで再販され、新品をゲットできた時の喜び。墓まで持っていきたいとはこのことである。まだ墓には入りたくないが。

 ネットラッパー界で固い韻と圧倒的な英語力を見せつけていくのに、本職は英語の教師だというギャップっぷり。かっこいい。東方系同人グループ魂音泉のメンバーであるところから彼を好きになったのだけれど、XFDではなくフルでアルバムを聴けたときの感動はいつまでも忘れることはできない。 もちろん内容は文句なし、誰に対しても勧めることができる作品だ。でも今回は初めてアルバムを聴けたときの気持ちを思い出して選んでしまったなぁ。

特に好きな曲: 魔法の韻律

Tim Hecker 「Haunt Me, Haunt Me Do It Again」

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「Haunt Me, Haunt Me Do It Again」も記事にした。

 記事で書きたいことは書いているからここでは何も言うことがない。復唱したいのは、私にとって、まさにタイムマシンのようなアルバムだということだけだ。

特に好きな曲: 全部

おわりに

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 こういうのは好きなアルバムを選んで当たり前だし、好きなアルバムの中でも特に思い入れのあるものを選ばなければならないからかなり悩んだ。でも良い出来である。文句なし。いやしかし、文句はないにせよ完成形を見ると自分が選んだはずなのに「これを選んだのか!」と驚くものがあったりする。意味がわからない。
 きっと、10年後の自分がこれを見たらさらに驚くのだろう。一生好きでいる自信があるけれど、一生自分を構成してくれるのかはまだわからないから。

 このnoteはタイムカプセルだ。10年後、20年後にnoteが存在しているのかは不明だが、20代前半で好きなものを選ぶために悩んだという事実は確かに存在している。
 これから先、自分がどう変わっていくのか、楽しみである。

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