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【幽霊男子】彼に彼女の首を締めさせたのは

私には大学時代、いわゆるセフレがいた。
同じサークルの同期、Fくん。

当時、彼にはお嬢様女子大に通う年下彼女がいて、私にも別に好きな人がいたから、それはお互いに割り切った関係で。尚且つそれは、二人だけの秘密だった。

その他のあれこれはまた詳しく、ということでここでは割愛するのだけど、Fくんとの関係は約1年間続いて、ぱたんと終わった。

その後、彼は年下彼女と別れて、これまた同じサークル同期、ショートカットがよく似合う人気者のAちゃんと付き合い出した。

私との関係を終わらせた数日後に。

つまり、
①私との関係解消
②年下彼女と別れる
③Aちゃんと付き合う
この三つの出来事が、一週間そこらで起こったのだ。

一か月後にその事実を知った私は、驚きの展開に、まあまあの精神的ショックとダメージを受けた。
モテ男とまったく程遠いFくんが、年下彼女と私とAちゃんをほぼ同時期に相手にしていたその事実に。

さらに一年後、FくんとAちゃんは、これまたあっさり別れた。

ここまでが、3年前のお話。

そんなこんながあったサークルなのだけど、同期はとても仲が良く、社会人になってからも定期的に飲んだり旅行に行ったりする。

そしてついこの間も、Aちゃんを含めた何人かで旅行に行った。そのときのこと。

女子3人で温泉に浸かりながら、こんな話になった。

「この人とは、セックスの相性最悪って思ったことある?」

男子禁制の女子トーク。
すると、Aちゃんは思い出すように言った。

「今まで付き合った人で、首締めてくる人がいて。驚いたし、あれは無理だった。」

あ、Fくんのことだな。
私は真っ先に察した。

なぜなら、彼と私は、何度も首締めプレイを楽しんでいたから。

もともと首を絞められるのが好きだった私が、お願いしたのが始まり。
彼もまた、セフレの私とだからこそできるアブノーマルなプレイを一緒に楽しんでいたと思う。

そして何よりFくんは、首を絞めるのが絶妙に上手かった。
死ぬなら首絞められて死にたい、なんて無邪気に言っていたなあ。あの頃。


「いるらしいね、そういう人も。」
顔をしかめるAちゃんにそう返しながら、私は内心、背徳の喜びを感じていた。

ごめんね、Aちゃん。
彼にあなたの首を締めさせた犯人は、この私。

Fくんはきっと、私との首締めプレイが忘れられなかったんだろうなあ。思わずAちゃんの首を締めてしまうほど。

でもAちゃんはそれを受け入れられず(まあ普通そうだよね)、もしかしたらそれは、二人の破局理由のひとつだったかもしれない。


だめだよ、Fくん。

あなたが締めていいのは、私の首だけよ。
あなたの絶妙な首締め具合で気持ちよくなれるのは、この私だけなんだよ。

そうFくんに言いたくてたまらなかった。
思いっきり意地悪な笑顔で。

…なんて思う自分は、性格歪んでるよなあ。
でもこれが私なんだからしょうがないよあ、と開き直る。


そういえば、Fくんはもうすぐ、同棲している彼女と結婚するらしい。

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