LHTRPG レイドボスの基本的な特徴とタイミング別部隊EX雑感
この記事はログ・ホライズンTRPG(LHTRPG)の拡張ルールブックで追加された大規模戦闘(レイド)に関するルールの主軸であるレイドボスのデータの基本的な特徴と、それに立ち向かうためのEXパワーである部隊EXについてyu-jin個人の雑感をざっとまとめたものです。
■レイドボスの基本的な特徴
①HPが通常の敵の5倍から10倍。
レイドボスはHPが多く、通常の単体ボスのHPがノーマルエネミーのHPの4倍程度が目安なので圧倒的にタフ。通常の戦闘が3~4ラウンドが目安なのに対してレイドボスは6ラウンド以上かかることもざら。戦士職が攻撃重視の短期決戦ビルドだった場合何も考えずケンカを売ると大変な目に合う。戦士職がそういったビルドの時は部隊EXをかなり厳選する必要があるだろう。
②大抵3回行動。
レイドボスは大抵3回行動してくる。一手は部隊EXが前提の致命的な性質をもった単体攻撃、もう一手は周囲を巻き込む広範囲攻撃であることが多い。どの攻撃をどう処理するか良く見極めないと、戦士職は即沈むことになる。①の性質から、戦闘が6ラウンドと仮定すると、6×3=18手相手の攻撃をごまかしきる必要があることは頭に入れておきたい。ちなみに時折2回行動しかしないレイドボスもいるが、そういう場合はそれを補う強烈な能力を持っていることが大抵なので、むしろ警戒したい。
③命中+2、防御+2
レイドボスはノーマルエネミーより命中判定と防御判定が高めに設定されてる。これがまたえぐい。回避特化の武闘家でも結構当たるし、攻撃職の攻撃でも運が悪ければ結構外す。長丁場になれば長丁場になるほど、これが効いてくるが、これに焦って因果力を突っ込み始めると泥沼の展開に。命中系特技か、部隊EXで対応していくのが吉。
④攻撃力は変わらない
意外なことに、レイドボスの一発ごとの攻撃力は、原則ノーマルエネミーと変わらない。ただし、部隊EXを消費しないと即死、みたいなことは結構あるのでそこは注意しておきたい。
■タイミング別部隊EX
部隊EXはレイドの華である。部隊EXにはそれぞれ[戦戦]や[魔]といったタグが設定されており、それが合計で(24-PT人数)個になるようにPT内で分配する。大抵は4人で挑むので一人あたり5枠。部隊EXにはそれぞれタイミングが設定されており、同じタイミングのものをふたつ同時に使用することはできないので、それぞれの性質を把握して上手く活用するのが吉だ。
▼ラウンド開始時(セットアップ開始前)に使用する部隊EX
《神祇官の属性防御》_[回]
レイドボスが良く持っている広範囲魔法攻撃への対策として選択肢に上がるが、実際に運用するためには「1.レイドボス、もしくは一緒に登場するエネミーが属性攻撃を持っている」「2.部隊編成前にそのことが明らかになっている」という2条件を満たさなければならないために、意外に運用が難しい困ったちゃん。とはいえ効果の強力さは折り紙付きなので、ハマると圧倒的に強い。
《盗剣士の弱体化》_[武武]
レイドボスの強みの一つ、命中+2、防御+2を潰せる強力な部隊EX。これだけで運用しても良いが、後述の《武士の切り払い》と組み合わせることで危険な攻撃への防御率を飛躍的に上げることができる。欠点は[武武]と枠が重いこと。近接型の攻撃職、もしくは敵に接近することが多い戦士職が運用することが多い。因果力をどうにかして工面できるなら後衛が持ってもよいだろう。PTに一つはほしい。
《吟遊詩人の戦歌》_[武武]
同じ敵に複数人が近接するパーティや、妖術師などがエネミーを複数体巻き込む広範囲攻撃を行うときなどにその効果を最大限に発揮する部隊EX。これを選択する際は《暗殺者の乱撃》や《妖術師の元素呪文》より最終的なダメージ増加が上回るか、を意識する必要がある。
《召喚術師の陽動》_[魔]
ヘイトコントロールを補助する強力な部隊EX。パーティ全体のヘイト上昇率が高いな、と感じた場合1枚握っておくと安定度が増す。このタイミングで使用することができる部隊EXの中では1,2を争うほど汎用性が高く、特技が充実する高CRになればなるほど価値が増す。
《妖術師の速攻》_[魔]
《召喚術師の陽動》が要らないほどにヘイトコントロールが効いているが反面パンチにかける、というような状況で運用されることが多い部隊EX。実際、戦闘を終わらせるのは結局ダメージなので、その選択が有効に働くことも多い。やはり暴力……!暴力はすべてを解決する……!!ダメージを与えるので[隠密]状態が解除されてしまうことは覚えておきたい。
《付与術師の停滞管理》_[魔魔]
厄介なノーマルエネミーを複数体引き連れて現れるレイドボスを相手にするときに運用する部隊EX。エネミー側の編成が全くわからないときなどにも用心に一枚握っておきたいが、それにしては[魔魔]と枠が重い。事前にエネミーの編成がわかっているレイド戦などでしか運用されない。
▼自分が行動する直前(メインプロセス開始時)に使用する部隊EX
《神祇官の大障壁》_[回回]
非常に強力な部隊EX。敵にCS解除がなければもうずっとこれで良い、と思うほど。とはいえ高CRになればなるほどCS解除はどこかで入り込んでくる可能性が高まるので判断が難しい。
《施療神官の大祝福》_[回回]
使い方が難しいオブ難しい部隊EX。きっと頭の良い方が《スクランブル》で割り込んだりしながら柔軟に運用して、《守護戦士の城塞防御》や《武士の切り払い》あたりの防御系の部隊EXを再起動させたりしてPTの被害を軽減させることが想定されているのだと思うが、我々頭悪い族はそんな華麗なことはできないのでなかなか運用されない不憫な子。
《森呪遣いの大回復》_[回回]
効果が単純にして強力な部隊EX。仲間の回復職がHP回復自体は苦手な神祇官や、割り込み回復特技を持っていない森呪遣いなどの場合、戦士職の部隊EX候補となる。余談ではあるが武士の《電光石火》と相性が良いため、居合い武士が運用していることが多い。
《武闘家の引き回し》_[戦戦]
非常に強力な位置操作部隊EX。敵をまとめたり仲間を引き寄せたり使い方はいろいろで、使用者の戦術判断が問われる。エネミーが複数いることが事前にわかっている場合、引き寄せて、すかさず範囲攻撃で焼く、というのが基本的な使い方か。
《暗殺者の乱撃》_[武武]
大変単純かつ強力な部隊EXランキング2位。惜しむらくは射程が2しかないので使い勝手では後述の《妖術師の元素呪文》に劣る。とはいえ、クリンナップやセットアップにBSをもりもり解除してしまうレイドボスに対して、追撃を2つ起動させる効果は有効に働くことが多いので、活かし方はきちんとある。近接型の武器攻撃職が運用することが多い。ダメージを与えるので[隠密]状態が解除されてしまうことは覚えておきたい。
《妖術師の元素呪文》_[魔魔]
大変単純かつ強力な部隊EXランキング堂々の1位。火力、射程、ともに文句なし。逆に言えばダメージを与えるしかほぼ機能がない部隊EXなのだが、だいたいそれで十分。射程の問題から魔法攻撃職が運用を担当することが多い。ダメージを与えるので[隠密]状態が解除されてしまうことは覚えておきたい。
▼殴る寸前に使用する部隊EX
《盗剣士の先行斬撃》_[武]
殴る時に[軽減][障壁]の効果を発揮させないという非常に玄人好みの部隊EX。レイドボスはもちろん、モブに大量の[障壁]や[軽減]が積まれていたりするような環境で、範囲攻撃をする時などに使用するとロマンの塊。消費するタグも1つだけなのでそっと積んでおくこともある。攻撃職向き。
《付与術師の援護呪文》_[魔]
仲間が殴る時にのみ使用できるという、ちょっと効果が尖った部隊EX。命中を補ってくれる上に、敵側の「タイミング:ダメージ適用直前、ダメージ適用直後」を封じてくれる、なんというかいぶし銀。ダメージ適用直前やダメージ適用直後に強力なダメージ軽減や反撃のあるエネミーがいるときは必須になるが、部隊編成前にその情報がわかっている状態でなければ運用は難しい。《停滞管理》といいこれといい、付与術師はツラい。
▼殴られる寸前に使用する部隊EX
《守護戦士の戦列死守》_[戦]
戦士職以外の職が「とりあえず」の防御手段として持っておくことが多い部隊EX。[封印]は免れるし[戦闘不能]も解除されるので割と頼りになるのだが、いかんせん使用タイミングが「タイミング:メジャー」の攻撃に対してしか使用できないので、レイドボスが割とよく持っている「タイミング:メインプロセス」の攻撃に対しては無力。使い所はよく考えよう。
《武士の連携守備》_[戦]
使い所は選ぶが、かなり強力な部隊EX。HTを取る戦士職が、高ヘイトでの被弾が怖くなくなるのが非常に大きい。「タイミング:メインプロセス」の攻撃は《守護戦士の城塞防御》で防ぎ、「タイミング:メジャーアクション」の攻撃はこの部隊EXと防御力で防ぐ、というのが基本。その性質上、戦士職が運用することが多い。
▼エネミーが命中判定をした直後に使用する部隊EX
《武士の切り払い》_[戦戦]
対象の出目そのものに干渉できる強力な部隊EX。《盗剣士の弱体化》とセットで運用して、広範囲攻撃の命中を抑え、防御しやすくするのが基本だが、仲間のステータスを見て運用しないと全く無意味な時もあるのが痛い。自分の防御だけを考えるのならば《守護戦士の城塞防御》のほうが向いている。
▼殴られた直後(ダメージ適用直前)に使用する部隊EX
《守護戦士の城塞防御》_[戦戦]
相手の攻撃を完全無力化する強力な部隊EX。戦士ならは必ず一枚握っておきたいほどの鉄板。ただし、ヘイトは減らないので注意。相手の範囲攻撃が圧倒的に強力な場合、巻き込まれる可能性のある近接型の攻撃職なんかにもお勧めしたいが[戦戦]と枠は重いのでそこだけは注意したい。
《武闘家の身代わり》_[戦]
仲間を庇うことが前提のビルドの人たちに大人気の強力な部隊EX。戦士職はもちろん、人造系の召喚術師、盾持ち盗剣士、アーマークレリック系の施療神官なども運用する。仲間と自分で一枚ずつ持ち合って、範囲攻撃を互いにかばい合ってダメージを半分にするという運用法(ただしHTをかばうとヘイトダメージも適用されるので結構えらい目に合う)もあるので、近接型の攻撃職なんかにもお勧めできる。
▼ラウンドの終わり(クリンナップ開始時)に使用する部隊EX
《森呪遣いの治療雨》 _[回]
一見微妙に見えるが、[衰弱]に対して圧倒的な効果を発揮する部隊EX。[衰弱]が効果を発揮するタイミングはクリンナップの[再生]のあと、特技宣言の前なので、回復職が《キュアブルーム》を運用する森呪遣いの場合結構つらいのだが、この部隊EXはその手が届かない部分をケアしてくれる。問題は「事前にそのことがわかっていないとまず運用できない」という点と、個人で運用するなら《施療神官の状態治癒》の方が楽という点。複数人が近接で同じ敵を殴るような状況で、その真価を発揮する。
▼好きなタイミング(イニシアチブ)で使用する部隊EX
《施療神官の状態治癒》_[回]
強力なBS解除部隊EX。好きなタイミングで使用できるだけでも強いのに、厄介な[封印]ステータスまで解除できる。自分の行動直前に使用するのが基本と言えば基本だが、殴られる寸前に使って[放心]や[惑乱]を解除したり、クリンナップになる前に使用して《森呪遣いの治療雨》を代替するような使い方もできる。可能性無限かよ。
《暗殺者の除去》_[武]
モブ対策部隊EX。モブが出てくることが予測されている戦闘には一枚は握っていきたいが、「1.戦場にモブが出てくる」、「2.部隊編成前にそのことがわかっている」という2条件を満たしていないと運用されないかわいそうな子。
《召喚術師の送迎》_[魔魔]
好きなタイミングに4Sqまで[即時移動]できて、さらにBSをふたつ解除できるという強力な部隊EX。召喚術師は付与術師にあやまった方が良いと思う。近接型の武器攻撃職や、射程が短めの不死、人造軸の召喚術師が、攻撃後に敵の攻撃範囲から逃れるために運用することが多い。1回攻撃を耐えるだけなら《守護戦士の城塞防御》でもいいが、2回以上殴られるならこちらを運用して敵の射程から外れてしまうのがお勧め。[即時移動]なので[隠密]状態を多用するキャラクターは注意。
▼因果力を使うときに使用する部隊EX
《吟遊詩人の応援歌》_[武]
便利さでは群を抜く部隊EX。他の部隊EXと組み合わせて効果を上げるのもよし、特技のコストにするもよし、とにかく便利。この部隊EXを前提にビルドをすることもあるほど。吟遊詩人がレイドの成否をわけるという話もうなずける。これ本当に[武]1枠でいいんですか先生。好き。
■部隊EXを選ぶ時に考えること
部隊EXを選ぶコツは基本的には攻撃を意識すること、最低限の防御を持つことが拡張ルールブックp.223-224あたりで述べられている。ここではもう少し踏み込んで、考えることを整理してみた。
▼ダメージを稼ぐ方法を考える
結局のところ戦闘を終わらせるのはダメージなので、《妖術師の速攻》《吟遊詩人の戦歌》《妖術師の元素呪文》《暗殺者の乱撃》などはできる限り入れておきたい。特に《妖術師の元素呪文》《暗殺者の乱撃》は優秀なダメージソースなのでパーティで合計2枚はほしい。《吟遊詩人の戦歌》は運用する際、個人ではなくPT単位での戦術が必要になってくる。
▼攻撃は当たるか
レイドボスは通常のエネミーより防御判定が+2されている。[放心]か、《盗剣士の弱体化》かのどちらかはしておきたい。これがない場合、命中に因果力が注ぎ込まれていくことになるので、少々厳しい戦いになることが予測される。
▼範囲攻撃を耐えるか、避けるか
レイドボスの持つことが多い広範囲攻撃にどう対策するかは大きな課題で、パーティ単位で考える必要がある。基本は戦士職の《ステディブルワーク》《叢雲の太刀》《ドーンティングポーズ》で対策することだが、CRや戦士職のビルドによってはこれらが機能しないこともわりとある。部隊EXでこれに対応する場合、手段は「1.くらって耐える」「2.敵の命中値を下げて避ける(抵抗する)」の二択になるものと考えられる。
「くらって耐える」場合は戦士職が《武闘家の身代わり》を運用するのが基本になる。巻き込まれる人数が多いことが予想される場合はある程度各自で《守護戦士の城塞防御》や《守護戦士の戦列死守》などを用意することになるだろう。
「敵の命中値を下げて避ける(抵抗する)」場合は戦士職や近接型の武器攻撃職などが《盗剣士の弱体化》《武士の切り払い》を併用することで相手の範囲攻撃の命中率をめっきり落とすことができる。戦士職が武闘家や《火閃絶刀》武士などの回避・抵抗を重視したビルドのときは大変有効に働く。
どちらのプランで行くのかはPTで事前に話し合っておくとよい。
■まとめ
結局のところ大規模戦闘といってもやるべきことは大きく変わらない。いかにダメージを与え、戦線が崩壊するまでに倒しきるかというものだ。ただ、部隊EXは個人レベルで運用するよりも複数人で連携して運用した方が強力なものが多い。連携を意識しながら、自分が果たすべき役割は何か、このPTはどういった方針でレイドボスに挑むのかを確認しながら部隊EXを選択していくことが良い結果を生むだろう。
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