『akibaらーめん豊穣記』食事レポート
LHTRPG/CR1ソロジャーナルシナリオ
『akibaらーめん豊穣記』
食事レポート
◆今回予告◆
ラーメンとは人類の口の永遠の友。
これは異世界で麺とスープと具材を探求する熱き日誌である。
ログ・ホライズンTRPGソロジャーナル『akibaらーめん豊穣記』
魂の翼持つ〈探求部〉たちよ、
明日の星に輝けと、
虹色にルネッサンスな情熱の彼方にラーメンの記録を刻め!
◆使用シナリオ情報◆
使用シナリオ : Hasturさん作『akibaらーめん豊穣記』
シナリオ配布場所: akibaらーめん豊穣記 (talto.cc)
[CR1][PC1人・GMレス][ミッション1・戦闘なし][ソロジャーナル?][食レポを書こう][描写力ブートキャンプ][メシテロ注意!][ラーメン探求部]
※このレポートは、TALTOで配布されているこのシナリオにて作成するものです。なお、書いたレポートのSNS等への公開もシナリオにて許可されています
◆使用弊PC紹介◆
ミアズマ(召喚術師/狼牙族/ネクロマンサー)
LV:94 狼牙族 [召喚術師][男][ネクロマンサー][商人]
つねにお腹が痛そうな、苦しそうな顔をしているが、特に何かあるわけではない。これが素。140字ほど喋るとリキャストが入るレベルのわりと重度の陰の者ではあるが、大変誠実な性格をしている。
現役のレイダーで、現在も数多くのレイドに参加し、そのいくつかに勝利している。
人脈や名誉を稼ぐ必要に駆られてレイドやクエストに明け暮れる日々。
◆食レポ本文◆
○序文、もしくはとある死人占い師のラーメンログ
名声、人脈、資産。
そんなものとは生涯無縁だと思っていた死人占い師の僕は、とある理由から黒塗りのベンツに、ちがう。
とりあえずそれらを稼ぐために東奔西走することにした身としては、効率よくカロリーを摂取したかった。温かくて、手軽で、出来れば美味しいものがいい。バリエーションがあればなおさらだ。
ラーメンはその観点から言えばかなり理想的と言える。
正直その時の僕はもう疲労で考えるのも限界だったしおなかも空いていた。
いい匂いのするラーメン屋を見れば半ば自動的に入る。
いうなればラーメンをすするマシーン。
これはそんな僕の、おぼろげな記憶を辿ったログだ。
○1:【理想のお店】『紅楽園』【鴨のスモークロースチャーシュー麵】
A:麺の方向性 1:バリカタ極細麺
B:スープの味 1:香り高い醤油
C:特徴の具材 6:ちょっと特徴的なレアトッピング
D:店舗の構え 5:小綺麗なセレブ店
E:店員の対応 3:優し気で親切な若夫婦
いい匂いに誘われて飛び込んだものの、僕は明らかに場違いだった。
綺麗なカウンターに高そうな椅子。他のお客はピカピカしててなんかカップルが多い。
なんか入ってごめんなさいでももうおなかが空いて限界だったんです。
心の中でそんな言い訳を繰り返しながら、親切そうな笑顔を浮かべた女性の店員さんに(おそるおそる)声をかける。
「あの、すみません、これを、大盛りで」
選んだのは【鴨のスモークロースチャーシュー麵】。
シャツにエプロンのおしゃれコックスタイルの男性が何だか素敵な笑顔ですぐ出してくれた。混んでるのに、5分くらいしか待ってないぞ。
とにかくすぐに出てくるのはうれしい。
気まずさを誤魔化すみたいにもりもりすする。
スープは醤油。多分スモークされてる。
上には何か粉がトッピングされていて、それが香りを引き立てていた。
多分魚粉かな、と思いながら食べ進める。
麵は硬い。ハリガネか粉落としのレベルだ。
これが出てくる速さの秘訣か。
正直醤油なら悪手かとも思ったけれども、燻製の香りが麺に絡んでいる。鴨ロースのチャーシューがまたたまらない。
おいしい。おいしい。
そこから先はよく覚えていない。ただ、スープまで飲み干して、おなか一杯になって、幸せな気持ちで送り出された、気がする。
○2:塩そば『風月庵』【柚子胡椒塩そば】
A:麺の方向性 3:中細のちぢれ麺
B:スープの味 2:シンプルな塩
C:特徴の具材 5:調味料香辛料
D:店舗の構え 5:小綺麗なセレブ店
E:店員の対応 6:不愛想で頑固そうな職人じーさん
〔達成値:9〕 かなり美味しい。定期的に通うべき。
僕は場違いな店にしか入れないのだろうか。
今度は和風のこじゃれた店だ。
ただ、入った印象は全然違う。
中はガラガラで、親切オーラゼロのドワーフ爺さんが新聞を読んでいる。歓迎のアトモスフィアは明らかに0だ。空いていたおなかがしくしくと痛い気がする。
おそるおそるカウンターに座ると、なんだか自動的に注文が決まったらしく店主はため息とともに調理に入った。水はセルフサービス。
10分と、すこし。
おしゃれな平皿にキレイに盛られた中太ちぢれ面が出てきた。
チャーシューは鳥。付け合わせは水菜だろうか。気まずい対面を終わらせるべく、小さく手を合わせてからままよ、とすする。
塩だれに、鮮やかな柚子の香りが鼻に抜けた。
さっきまでの気まずさなど忘れて夢中ですする。
柚子胡椒だろうか。白い麺のうま味とさわやかな辛さがマッチしている。
これはアタリだ。
夢中で食べていると、しかめっ面の店主がしかめっ面のまま口を開いた。
「おい」
おずおずと麺を啜る手を止めると、鳥チャーシューが追加で器に飛び込む。
「他の客には、言うな」
また来よう。これは良い店だ。
○3:豚骨『さんかくや』【おにぎりとんこつ】
A:麺の方向性 5:こってり用太麺
B:スープの味 4:旨いとんこつ
C:特徴の具材 6:ちょっと特徴的なレアトッピング
D:店舗の構え 3:住宅街の地元民家
E:店員の対応 3:優し気で親切な若夫婦
〔達成値:9〕 かなり美味しい。定期的に通うべき。
今日は普通の地元民家を改装したような店だ。この〈セルデシア〉ではいちばんありふれた形式かもしれない。
中に入ると、とんこつの香り。いいね。
テーブルに陣取って、店のメニューを眺める。
「とんこつ」「チャーシュー」「おにぎり追加」
ふむ。ここはなんだかおにぎりがあるらしい。いいぞ。
奥からパタパタと歩いてきた奥さんらしき若い女性に声をかける。
「すみません、あの、とんこつ大盛りに、おにぎり追加で」
「え、はーい」
なんだいまの「え」。
そんなことを気にしながら待つこと少し。
大盛りのとんこつラーメンのうえに、焼きおにぎりが三つトッピング。
みっつ。
「とんこつ大盛りに、おにぎり追加になります。あの……」
「大丈夫です」
レイドの前の顔をして僕は答えた。
ちっとも大丈夫じゃないが。
とりあえず麺が伸びる前にあるていど趨勢を決めたい。
箸で麺をつまむとこれもなかなかの重量級。太麺だ。
もちもちした食感を無心でもぐもぐすすっていると、濃厚な豚骨スープを吸ったおにぎりがほどけてくる。
おじやかこれ。
レンゲで一口掬ってみると、香ばしさとうま味が一体になって美味しい。
おにぎり麺スープおにぎり麵麵麺おにぎり。
脳が働く前に夢中で食べる。
結論として、奥さんと僕の心配は杞憂だった。
ただ、帯紐は緩めたのだけれど。
定期的におなかをすかせてまた来よう。
○4:創作ラーメン『元気屋』【宇宙元気野菜】
A:麺の方向性 1:バリカタ極細麺
B:スープの味 6:既存に捕らわれない創作ラーメン
C:特徴の具材 4:マシマシ野菜
D:店舗の構え 7:特徴のない一店舗(偽)
E:店員の対応 7:宗教っぽい
〔達成値:12〕非常に美味しい。宣伝または秘匿しよう。
「変わったラーメン食いたいならあそこは行くべきだぜ」という気さくな友人の勧めに従い、アキバの一角に店を構える『元気屋』にやってくる。
平凡な外見とは異なり
「店は家族」「元気即ち元いなる気」「波動」
などの攻撃的な張り紙が店の中を彩っている。
「「「「波動で元気!!!」」」」
と声をそろえた店員さんたちはみんな丸坊主で黄土色のローブをまとっていた。
え、何だこの店。
かなり面喰いつつも、すでに逃げ出せない空気を感じてとりあえずテーブルに着く。顔を上げるのすら怖い。
それでも空腹に押され、壁のメニューから読み取れた【宇宙元気野菜】を大盛りで頼む。
「はい、波動で育った野菜で元気になってくださいね!」
だから波動ってなんだ。注文した宇宙にも元気にも野菜にも引っかかってないぞ。
すぐ食べてすぐ出よう。
そう思って出てきたラーメンにかぶりつく。
度肝を抜かれた。
上に盛られたしゃきしゃきの水菜と玉ねぎ。硬さの中に小麦粉の香りをぎゅっと詰め込んだバリカタ細麺。そしてコンソメともオニオンともつかない、透明感のある優しい味のスープ。
美味しい。
世の中にはこんなラーメンがあるのか。すごい。
夢中で食べ進めて、気が付けばスープまで完食してしまった。
明らかに身体が喜んでいる。
「「「「「波動で元気!!!」」」」
そんな店員さんたちの声に見送られて店を出た。
波動とはいったい。
ここは、秘匿しよう……。流行ったら困る。
○5:コク味噌つけ麵『嵐が岡』【味噌つけ麺味玉付き】
A:麺の方向性 6:コシがある全粒粉もちもち極太麺
B:スープの味 3:濃厚コク味噌
C:特徴の具材 2:新鮮な調理卵
D:店舗の構え 5:小綺麗なセレブ店
E:店員の対応 2:さわやかな快活アニキ
〔判定成功〕 普通に美味しい。気が向いたら行く。
つけ麺を食べなければ死ぬ。
人生にはそういう時間があるらしい。
そんな衝動に襲われて、目についたつけ麺の看板に飛び込む。
しまった。なんかこぎれいな店だ。
しかもカップルがいっぱいいる。
店員は苦手な快活系。ダメじゃん?
自身が間抜けなのかそれともなんか呪われてるのか。そんなことを自問しながら店を出ようとするも、ぐうう、と腹がなった。
多分僕は今このつけ麺を食べなければ死ぬ。
命惜しさに【味噌つけ麺味玉付き】を大盛りで頼む。
アツアツの味噌スープにもっちもっちの極太麺。そして味玉。
そうだよ、こういうのが食べたかったんだ。
恐ろしい早さで手のひらを返しながら、魚粉がたっぷりまぶされたスープに麺をどっぽりとつける。
麺が微かに甘い。味噌は甜面醤と、吟醸味噌。
明らかに打点は平均を超えているが。
「なんか、感動がない」
美味しいけれど、美味しいものをそろえたから美味しいだけというか。
足し算だけで掛け算が生まれていない。
もう一度手のひらを返しながら、それでも最後まで食べきってスープ割りを頼むと、なんか不思議そうな顔をされた。
もう一度、は気が向いたらかな?
◆総括◆
夢中になると、記憶には残らない。
ただ、ふんわりとした幸せが簡略なログとして残るだけだ。
むしろハプニングとセットの方が記憶に残るのかもしれない。
五つのログを眺めながら、そんなことをぼんやりと思う。
次に彼女がアキバに来たら、ラーメンを食べさせてあげるのもいいか。
そんなことを思いながら、にゃん太さんたちに原稿を投げて次のクエストに向かう。
たぶん、それくらいでもいいのだ。