LHTRPG 強制移動特技雑考
この記事はログ・ホライズンTRPG(以下LHTRPG)に14種存在する「対象を強制的に移動させる効果を持つ特技」(以下強制移動特技)に関してyu-jinの私見を述べたものです。
■はじめに
LHTRPGにおいて位置変更、つまり移動は攻撃、防御双方の起点であり、戦術面において非常に大きな意味合いを持っている。
相手を攻撃の射程内におさめるのも、相手の攻撃範囲から逃れるのも、ほとんどはこの移動によるものとみてよいだろう。
つまり戦術と言われるものの大半は移動にかかっているといっても差し支えがない。
強制移動特技は、基本的には本人の意志でしか行われないこの移動を、他者(使用者)の意志で強制的に引き起こすものだ。
こうした不意のタイミングで引き起こされる移動は相手の戦術的な目論見を大きく崩すため、決まると大きく戦況を変える性質を持つ。
■強制移動特技の役割
強制移動特技の役割は大まかに言って
「①有利な位置からの排除」「②不利な位置への移動」「③GM因果力の消費」「④仲間への移動支援」の4側面に整理することができる。
「①有利な位置からの排除」
[高さ]があったり、【射撃陣地】のような厄介なプロップが配置されていたり、もしくは範囲攻撃で複数人を巻き込めたり。そうした有利な位置にエネミーがいた場合、強制移動特技は効果を発揮する。
強制的にその位置から追い出した後、[硬直]や[阻止能力]で戻れなくすると完璧だろう。
「②不利な位置への移動」
逆に相手を不利な位置に移動させることができるのも強制移動特技の醍醐味だ。
敵を味方の範囲攻撃の範囲内に放り込んだり、遠くの敵を引き寄せて仲間の移動を省略させてやったり。とにかく敵を都合の悪い位置に移動させてやるのは非常に面白いし、戦術上の価値も高い。
「③GM因果力の消費」
これは前二つの側面から派生する効果だ。
拡張ルールブックP.199で、因果力の新たな使い方として「強制的な移動を無効にする」が紹介された。これはエネミーも因果力があれば強制移動を拒否してくる可能性があるということだ。①や②の意味が強い、言い換えれば有効な強制移動は当然因果力で拒否される。
これを逆手にとって、コストの小さな強制移動特技でコツコツGM側の因果力を削ることは戦術の一つとして考えられるだろう。
「④仲間への移動支援」
強制移動特技の中には敵だけではなく味方に対しても使用することができるものがある。
これは状況によっては敵への使用より確実に働く。味方をあと一歩動かしたいときや、敵も味方も併せて移動を強制したいときなど、その用途は広い。
■個々の強制移動特技の用途(五十音順)
《大見得》武士
主な用途は①②だが、シーン1回の制限がある上に再利用も効かないため不発に終わることも。ネームドアイテム《赤糸威星兜》で強化すると非常に強力。
《鏑矢》武士
主な用途は①②③。とくに大きなヘイトをかけず敵を移動させられるため、移動方向は限定されるものの使い勝手は悪くない。有利な地形にこもっている敵を追い出す際に最大のパフォーマンスを発揮する。
《キャットベコン》武闘家
主な用途は①②。射程が長く、移動距離も長い強力な特技だが、シーン1回の制限が厳しいため主力にしづらい。ボスではなく取り巻きに使った方が拒否されづらく、有効に働きやすいか。
《グリズリースラム》武闘家
主な用途は①②③。強制移動が副効果のため、火力の無い武闘家には少し使いづらい特技。《サイレントパーム》とのコンビネーションは有名。
《従者召喚:マイコニド》森呪遣い
主な用途は①②③。白兵型のエネミーを遠ざけて1ラウンド稼いだり、逆に射程持ちを引っ張って仲間が殴りやすくしたりする。いずれも対象はモブなので、因果力はやや削りづらいか。
《戦技召喚:セイレーン》召喚術師
主な用途は④。自分以外の味方か、因果力を払えば同意しない対象(=敵)を対象に取れる、という一癖ある特技。基本的には味方を強制移動させてやることが仕事。因果力削りに活用するには少々コストが重い。
《ドラッグインテリトリー》守護戦士
主な用途は①②③。引き込みに失敗しても攻撃機会を損失しない弓が強い相棒。ヘイトも安く、《フォースドマーチ》で強化しておけばGMの因果力を良く削る。
《ドラッグムーブ》武闘家
①②③④どれにも使えるオールマイティさがウリ。仲間以外に使用する際は、自身の移動距離を1Sqまでにしても《エアリアルレイブ》で即座に距離を詰められるようにしておく、メジャーの射程を2以上(投擲系か《ワイバーンキック》)にしておく、などの拒否された際の対策を用意しておくのが無難。
《ハンティングホーク》武闘家
主な用途は①②③。強制移動が副効果のため、火力の出しづらい武闘家には運用に少しコツがいる特技。強制移動の性能自体は良好で、《サイレントパーム》とのコンビネーションも可能。
《フリージングライナー》妖術師
主な用途は①②④。複数の対象を任意の方向一緒に押し流せる無法さがウリ。ヘイトが大きいので連射はしづらく、因果力削りには向かないが、それでもここぞという場面ではかなりの猛威を振るう。
《フィッシュトゥキャッチ》守護戦士
主な用途は①③。能動的に使用できないことと、移動方向に限定があるため、コントロールには向かないが、それでも有利な位置からの排除やそれとバーターの因果力削りに猛威を振るう。
《間の理合》武士
主な用途は①。能動的に使用できず、強制移動のためのコストも大きいため、狙いすました使い方が必要になる。自身の移動と敵の移動、あわせて2Sq間合いをつめられるのはそれなりに大きい。
《鳴弦の柵》神祇官
主な用途は①②③だが、射程が至近のため、上手く運用するのはなかなか困難。事故で絡まれてしまったとき対策に使うのが主か。
《夢見る子熊のトロイメライ》吟遊詩人
主な用途は①②③④。貫通でダメージを通しさえすれば個別に移動先を指定できるという無法な性能を持つ。《スフォルツァート》と併用すれば広範囲2の自分を含めた敵味方の位置を操作できる。ヘイトは確かに重いが《バルド・スタイル》や《シェイクオフ》で何とでもなるところも高評価。
■まとめ
因果力による強制移動の拒否がある以上、強制移動特技は(少なくとも高難易度で遊ぶ際には)それほど強い選択肢ではない。
それでも、その運用について考え抜き、狙いすまして放たれる強制移動特技は戦場に大きな変化をもたらす。
主に敵に、時には仲間に向けて使用されるその用途の広さこそが強制移動特技の強みであると言えるだろう。
この書き散らしが、誰かの戦場を豊かにすることを切に願う。
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