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化学業界DX Webinar『日本触媒の生産計画はAI導入でどう変わったのか?導入責任者が語るリアル 2024.09.26』レポート

みなさんこんにちは!ALGO ARTIS PR担当の永留です。
今日はこのnoteでもご案内した化学業界DX Webinar『日本触媒の生産計画はAI導入でどう変わったのか?導入責任者が語るリアル』のレポートをお届けします。

化学業界は、その制約条件の多さと複雑さから、生産計画の難易度が特に高い分野と言われており、多くの企業がDXの進捗に課題を抱えています。今回のWebinarにもたくさんの方にご参加いただき、質問も数多く寄せられ、その注目度の高さを実感しています。

難しい課題に対し、最適化AI(ヒューリスティックアルゴリズム)によってどのように解決したのか。自社の計画に従事するみなさんにとって、このレポートが少しでもお役に立てれば嬉しいです。


化学業界DX Webinar『日本触媒の生産計画はAI導入でどう変わったのか?導入責任者が語るリアル』
2024年9月26日(木)開催
聞き手:ALGO ARTIS Optium事業部 責任者 中川 高之
話し手:株式会社日本触媒 生産本部 生産技術部 主席 梅原 康平様

中川:現在、姫路製造所 吸水性樹脂の生産ラインでAI最適化ソリューション「Optium」をご利用頂いていますが、Optium導入前にどんな課題をお持ちだったのでしょうか?

梅原:課題は3つありました。

1つ目は膨大な業務量です。
以前は表計算ソフトで行っていたのですが、生産・貯蔵スケジューリング検討業務に多大な時間を費やしていました。また3ヶ月、年間といった計画の立案が必要になりますが、導入前はラフな計画しか作ることができませんでしたが、導入後は日単位で試算ができ、クオリティも上がりました。

2つ目は属人化です。
熟練技術者のノウハウとして暗黙知されており、技術伝承に課題を抱えていました。また3人程度のメンバーで生産計画を策定しているのですが、体調を崩した場合などの懸念もありました。導入してからは特別な研修も必要なく、ある程度触れば使えるようになりました。

3つ目は、運用改善余地です。
当時は生産計画自体を日々の荷繰り優先で生産・貯蔵計画を作成しており、効率化を十分に考慮できていませんでした。今はなるべく少ない切り替えを優先する設定にして効率化を図れています。

中川:そんな課題を抱えている中、当時はまだ化学実績の少ないスタートアップのALGO ARTISを採用したのはなぜですか?

梅原:選定にあたってはツールの導入検討チームを発足し国内外の複数社にヒアリングし、当社の複雑な生産計画が解けそうか、慎重に比較検討をしました。

3社に対して約20の制約条件を示して提案してもらったのですが、中には「できません」という会社もありました。対してALGO ARTISはまず自信をもって「できる」と言ってくれて、正直「ほんまかいな」という疑念もありましたが、実際できています(笑)
他社は既存製品から機能拡張して実装されることに対し、ALGO ARTISのOptiumはスクラッチでゼロベースから設計してくれるため、可能であったと考えています。

また「計算の速さ」も大きな選定理由の一つです。比較対象は3ヶ月の計画を8時間かかるものだったのですが、そうするともし入力を間違えると、1日無駄にしてしまうことになってしまいます。それは避けたかった。

中川:我々が信じて採用している「ヒューリスティック最適化」が功を奏していることを実感できて嬉しいです。先ほど「できる・できない」という話がありましたが、エンジニアの技術の高さを日頃のコミュニケーションから感じることはありますか?

梅原:まず皆さんの対応が速い。それだけ能力が高いということなんだと思います。あと、エンジニアの皆さんと接していると、心底「(数式を)触るのが好きなんだな」「すごく熱中してやってくださっているな」と感じますね。
「これもできるか?」という、制約条件の追加を後出しすることもあったのですが、その要求にも応えてくれる上手さもあります。数理最適化だと破綻していたと思います。 

その分価格は安くはないですが(笑)、こんなこともありました。
ある時永田さん(ALGO ARTIS代表)から独自UIについて「本当に要りますか?」と言われ、改めて検討し、それはマストでは無いと判断しました。正直比較した中で一番費用面は高かったけれど、UIを削ったことで結果一番価格を抑えることができたんです。

中川:技術力に加えて、提案の柔軟性も感じていただけて嬉しいです。加える提案だけでなく、削る提案もありの、お客様の立場に立ったオーダーメイドが重要だと思っています。

梅原:門脇さん、芦田さんをはじめ、すごいアルゴエンジニアの皆さんなので、最初は「話してくれるんかなぁ」という心配もしていましたが(笑)、我々のやりたいことを引き出してくれる傾聴の力をお持ちで、だからこそ良いものができたと思っています。常に寄り添ってくれていましたね。

中川:寄り添い力について言及頂けたのは嬉しく思います。我々はミッションとして「計画の困難を、卓越した技術と徹底した誠実さによって解消する」と掲げているのですが、つねに誠実にお客様の課題に向き合うことにはビジネスメンバーだけでなく携わる人間全てが拘っているところです。
このAIプロジェクトを始めるにあたって、何か苦労された点はありませんでしたか?

梅原:最初の段階で入力条件を整えるところが苦労した点です。オーダー、在庫やプラントの状況、それまではいろんなxlsを見ていたため、Optiumに食わせるためのデータ作りに最初は転記に3日間くらいかかっていました。今では外販のツールで10分程度でできるようになりました。

中川:当時からOptiumやサービス体制も進化しており、今であればデータ入力の面でもサポートができるようになりましたので、遠慮なくご相談いただきたい点です。

梅原:今振り返ると、「PoC(Proof of Concept/概念実証)」の段階で制約条件の追加にも対応してもらえて、ほぼ最終系になっていましたね。
いざPoCを開始すると、製造での制約条件だけではなく倉庫の在庫数量、出荷能力など当初範囲と考えていなかった制約条件も計画作成に含めることが必要とわかり、その情報を正しく理解し、いかにパートナーであるALGO ARTISにわかりやすく伝えるための資料作り等やることが多くて、時間はすぐに経過しました。

プロジェクトを通じて、週に1度1時間のWebミーティングの時間を定期的に持てたことで、お互い信頼感を高めることができたと思います。PoCの最後には、アルゴリズムの試作版をつくってもらい、その結果を社内関係者で見たときは、出来が良くて多くの言葉がでませんでした。具体的にはノーコメントですが、「AIに負けた」です(笑)

中川:社内の流れとして、AI導入のハードルはありましたか?

梅原:時代の流れから、会社の指針としても導入したい、けれども具体的に何からやれば…という状況でしたが、上層部に提案したところ「ぜひやろう」と言うトップダウンの強い後押しがあり、進めやすかったです。

中川:上層部の方含めて、会社が一丸となっていただいたのは、プロジェクトを進める上で大変助かりました。
導入前後で具体的にはどのような変化がありましたか?

梅原:運用して2年ですが、Optium導入前後でみると、生産切り替え回数が2/3に低減しました。生産現場の負荷も下がり「楽になった」と感謝の声をもらっています。効率が上がった分、増産できるというメリットもあります。そしてもちろん計画立案者の負荷も下がりましたね。

中川:AIを活用した自動最適化と言うことで、社内のメンバーが育たないのではと言う懸念はありますか?

梅原:正直社内でそういった懸念の声はあります。ただAIが提案したものを最終的に選択するのは人ですし、必要であれば最後に調整も入れます。人が判断・調整している限りは大丈夫なんじゃ無いかなと思いますね。また人が一からやってしまうと効率が悪くなってしまうので、元に戻ることは無いと考えています。

中川:導入後のフォローやコミュニケーションはいかがですか?

梅原:本格導入直後は月2回のヒアリングがありました。半年後からは月一に。ただSlackも活用して常に聞きやすい状態を作ってくれていて、ストレスなく使わせてもらってます。使っているうちに、開発段階では見えて来なかった新たに取り込みたいポイントも出てきたりするので、そういった時はALGO ARTISに改修をお願いしています。

中川:今後の展望があればお聞かせください。

梅原:姫路製造所内で生産している吸水性樹脂原料のアクリル酸や蒸気・電気など、吸水性樹脂製サインの前段階も含めて最適化できないか、姫路以外の拠点にも拡げて最適化を拡大できないか、費用対効果をみて検討して行きたいと思っています。

中川:ありがとうございます!最後にDX推進に課題を抱えていらっしゃる皆さんや、ツールの導入を検討されている皆さんにメッセージをお願いします。

梅原:今回の導入が上手くいったもう一つの理由として、社内のデータサイエンティストの力を借りることができた点があります。プロフェッショナルな判断や社内側の体制作りも大切だと思います。
あとは決して安い買い物では無いので、予算とそれぞれの企業のもつ制約条件(量・質)に見合ったパートナー、制約条件に全て対応できるかと言う視点で選ぶことが重要だと考えます。
DX推進の苦労はよく分かります。横のつながりも活用して、乗り越えて行きましょう!


ここまで日本触媒様のインタビューをお届けしてきましたが、本WebinarではOptium操作デモ画面をご覧いただいたり、Q&Aではより具体的な質問が寄せられ、梅原様には実際の担当者としての率直なお応えをいただきました。

ALGO ARTISでは日本触媒様の事例にもなっているオーダーメイド型のAI最適化ソリューション「Optium」に加え、Optiumの知見から生まれた化学業界特化のスケジュールとして、化学業界の制約やルールに柔軟に対応したより低コストなパッケージ型ソリューション 「Planium化学」もございます。

ご興味をお持ちの方はぜひ、こちらのコンタクトフォームよりお気軽にお問い合わせください。

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