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AIが切り拓く運行計画の新時代 ー 安全と効率を実現する最適化の可能性vol.2

前回は、鉄道やバスの運行計画における複雑さと多くの制約について解説し、AIを活用する意義についても触れました。これにより、運行計画においてもAIが有効である可能性を感じていただけたかと思います。
では、実際に運行計画のAI最適化はどのように行われているのでしょうか。今回は、ALGO ARTISが名鉄バス株式会社向けに開発を進めている乗務行路表・交番表の最適化ソリューションを例にご紹介します。


1.(おさらい)運行計画の課題

運行計画における課題は、大きく分けると以下の3つに分類されます。

  1. 複雑さと制約条件の多さによる時間・工数の増大

  2. 属人化と人手不足

  3. 計画の良し悪しの評価が困難

これらの課題をさらに難しくしている要因として、以下の制約があります。

  • 労働条件・スキル

  • 車両条件

  • 周辺施設や道路状況

これらの課題や制約は、表計算ソフトなどの従来のツールでは解決が難しいのが実情です。安全な運行を維持しながら効率化を進めるには、属人化を防ぎ、担当者を支えるテクノロジーが必要です。ゆえにAIなどの技術を活用する取り組みが求められています。

2.名鉄バスの課題と改善ポイント

ここからは実際に課題解決に取り組んでいる名鉄バス株式会社へのソリューション提供を事例に、取り組みの背景、課題、改善ポイント、ソリューションの特徴についてご紹介していきます。

・取り組みの背景

名鉄グループでは、中期経営計画「Turn-Over2023」※1 における重点テーマの一つとして「DXの推進」を掲げており、お客さまへ新たなサービスを提供することを目的としたビジネスモデルの変革やコスト削減・業務高度化などを目的としたビジネス環境の変革を目指して、様々な取り組みが進められいます。

また、名鉄グループのバス事業を担う名鉄バスは、新たな生活様式の定着や人口減少社会の到来を見据えて、需要変化に応じた路線・ダイヤの効率化や車両運用の適正化が求められています。

※1 中期経営計画「Turn-Over 2023」について

・バス運行計画の課題

名鉄バスでは、営業ダイヤどおりの運転を正確・安全かつ効率的に行うために、乗務員勤務や車両運行に関するスケジュールを示す「乗務行路表」※2 および「交番表」※3 を作成し運用しています。

その中で直面していた課題は、以下の3つです。

  • 作業工数の増大

    • 多数の労働条件や車両条件を満たしながら、各乗務員のスキルや経験なども考慮する必要があるため、運行計画が極めて複雑で時間がかかる業務となっていました。

  • 属人化

    • 担当者の経験を頼りに行っていたため属人化していました。

  • 客観的評価が困難

    • 属人化された業務であったため、作られた計画が本当に効率的か評価することが困難でした。

※2 乗務行路表は、営業ダイヤを基に乗務員の1勤務あたりの乗務スケジュールに組み直した行路をまとめた表のことを指します。
※3 交番表は、乗務員の日々の勤務予定をまとめた表のことを指します。

・改善ポイント

a.行路表の改善ポイント
名鉄バスの行路表の基本構成は行路と勤務時間ですが、複雑な制約条件があります。留意すべき主要な制約条件は以下。

  • 労働条件

  • 車両条件

  • 回送条件

  • 給油場所など

改善のポイントはこれらの複雑な制約を満たしつつ、回送距離などを極力抑えた効率的な計画を作成できることです。

b.交番表の改善ポイント
名鉄バスの交番表の基本構成は行路と担当者ですが、交番表にもさまざまな制約があります。

  • 労働条件

  • 乗務員数

  • 乗務員スキル

  • 勤務希望日

交番表もこれらの制約を考慮して運行計画を立案しなければいけませんが、改善のポイントは限られた乗務員数で各行路を埋めつつ、時間外・休日出勤等のバランスを適正化することです

3.ALGO ARTISのソリューションの特徴

改善ポイントをふまえた、ALGO ARTISの名鉄バスでも採用したAI最適化ソリューション「Optium(オプティウム)の特徴を詳しく見ていきましょう。

1.オーダーメイド+現場で”使える”オリジナルUI

Optiumは、お客様の課題や目的に合わせたオーダーメイド仕様で開発されています。UIも現場のリクエストを反映しており、現場に即した使いやすさが特長です。

ALGO ARTISは、上流工程(最適化AI=アルゴリズム開発)から下流工程(プロダクト化/UI制作)まで一貫して担当し、企業ごとの独自の問題に対する対応を可能にしています。

例えば、短時間契約の乗務員が多い場合の交代のタイミングの難しさや、整備されていない道路での運行といった個別の問題に合わせた最適化を行います。

ヒアリングの段階で企業独自の問題を十分に理解し、経験・ノウハウ・実務上の複雑な運用ルールを最適化AI(アルゴリズム)へ移植。本開発後も仕様変更に柔軟に対応できるよう、アジャイル開発を採用しています。

突発的な修正にも対応

名鉄バスのように広範囲に運行するバス会社では、突発的な対応が必要になることが多々あります。例えば道路工事による迂回が発生した場合でも、Optiumは部分的に修正できる仕様になっており、迅速に新たな計画を反映することが可能です。
既知の制約条件については、マスターに必要事項を入力して最適化ボタンを押すだけで反映されますが、運行計画は時期により変更が必要となることも多いため、部分的な修正の柔軟性が重要です。

2.ヒューリスティック最適化

ALGO ARTISのAIソリューションは、ヒューリスティック最適化を基本にしています。この手法は、多数の提案に点数をつけ、最適なものを選択することであり、AIなくしては実装が困難です。

ヒューリスティック最適化は、複雑な制約条件にも柔軟に対応できるアルゴリズムで、運行計画にも有効と考えています。労働法の変更などの突発的な条件にも柔軟に対応できるため、運行業務にも適しています。

さらに、ヒューリスティック最適化は効率性向上だけでなく、環境面でも貢献します。例えば、環境目標に基づく指針をマスターに入力することで、AIがその条件を考慮した最適な運行計画を提案します。

3.世界トップレベルのエンジニアたち

ALGO ARTISが採用するアルゴリズム=ヒューリスティック最適化は非常に複雑であり、開発には高いエンジニアリング能力が求められます。

既存の配列処理や条件分岐、ループ処理だけでは最適化の実装が難しいため、ALGO ARTISは独自の最適化手法を採用しています。ヒューリスティック最適化のロジック自体も複雑であり、実装には高度な技術が必要です。

ALGO ARTISには、世界トップレベルのエンジニアが在籍し、社会基盤の最適化に貢献するためにプログラムコンテストなどに参加しながら日々技術を磨いています。

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リアルに使える高度な技術で課題解決に貢献していく

どれほど技術的に優れたAIソリューションであっても、現場に即していなければ意味がありません。ALGO ARTISは現場に寄り添った開発を基本とし、リアルに使える高度な技術で課題解決に貢献しています。

運行計画を立案する鉄道会社やバス会社は公共性が強く、属人化と制約条件の多さが課題となっています。これらの課題に対し、ALGO ARTISは技術力で現場を支援し、ヒューリスティック最適化を活用した解決に向けて、これからもお客様と共に取り組んでいきます。


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ALGO ARTISについて:https://www.algo-artis.com/

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