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AIが切り拓く配船計画の未来 成功事例と現場の声〜「人が仕上げる」AIソリューションVol.3

これまでの2回の記事(vol.1vol.2)では、配船計画の難しさや課題、AIを活用して最適化するソリューション、そしてALGO ARTISのアプローチについてご紹介しました。
記事を読んでいただいた方は、配船計画の複雑さや、それを解決するためのAIソリューションの有効性に気づかれたのではないでしょうか?

今回は、実際にAIソリューションを導入したお客様のその後の様子を、2社のリアルな声を通じてお届けします。

<これまでの記事>


CASE01:作業時間は約3分の1に。年間数億円のコスト削減を見込む — 日本製紙

国内屈指の製紙メーカーである日本製紙では、紙やパルプといった製品を生産するための原材料である木材チップの約7割を海外から輸入しています。木材チップ船の輸送計画最適化について、どんな課題があり、ソリューション導入によってどんな成果があったのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

背景・課題・対策

  • 木材チップ船の配船計画の特徴

    • 日本製紙は、紙やパルプ製品の原料となる木材チップの約7割をアジア、ブラジル、アフリカ、オーストラリアなどから、国内の5箇所の工場に併設された港へ運んでいます。大型貨物船による海上輸送が基本で、契約している10数隻の専用船を使用して、さまざまな産地から原料を日本の港に届ける計画を立案しています。計画の難しさには、港の制約、適正な在庫量の維持、輸送コストの削減などが挙げられます。

  • 属人化と変更時の膨大な調整作業

    • 配慮すべき制約や要素が数多くあり、それらが密接につながっている。全ての情報が一箇所に集約されている必要があることが、属人化の大きな要因でした。また年間の配船計画を策定しても、生産計画の変更や気象などの要因で船舶のスケジュールが変わるため、週に一度程度の見直しが必要でした。この調整作業では、関連する他の配船計画や全体の計画が変更され、ステークホルダーとの調整作業は膨大な時間を要していました。

  • アプローチ

    • 適正在庫の維持やコスト、GHG排出量の低減を両立した輸送計画の作成が求められていましたが、当時使用していたレガシーシステムでは、機能が限定的で、コスト計算などの装備がありませんでした。

    • 解決策として複数のAIソリューションを検討し、技術力の高さと導入実績からALGO ARTISが第一候補となりました。まずはアセスメントを実施し、年間数億円の輸送コスト削減とGHG排出量の約3%削減が見込めることが分かり、導入が決定されました。

導入の効果:「手作業が大幅に軽減。トラブル対応時のスピードも向上」

ここからは、ご担当された日本製紙株式会社 原材料本部 林材部 調査役 宗円典久様のコメントをお届けします。

「配船計画に充てる業務時間は確実に減ったと感じています。
数値化してみたところ、これまで年間約660時間であったのが3分の1の約220時間にまで減少することが分かりました。これまでは先の計画まで含めて一つひとつ手作業で入力していたのですが、AIシステムを導入したことにより、手による作業時間が大幅に軽減されたのが大きな要因だと捉えています。

もうひとつ、これまでは私が策定した計画や適宜修正した判断や内容が果たして最適であったのかどうか、誰にも判断ができない状況でしたが、
新しいシステムでは「AIが演算した中で最適な解」との明確なエビデンスがあるため、余計に悩むようなことはなくなりました。ステークホルダーにもより説明しやすくなりましたし、納得感も増したように感じています。

また余談ですが、AIという最先端技術を導入したことで、社内からはもちろんメディアから取材を受けるなど、注目されるようにもなりましたね」

「AIシステムを導入して一番よかったと思うのは、トラブル対応時です。一箇所変更すると必然的に全体の計画を見直す必要があります。トラブル時は特に素早い判断が求められる中で、ひとまず成り立つ計画が1パターン出来上がると、そこからできるだけ手を加えたくない、他のパターンを考える余裕がない、というのが本音でした。

しかしAIシステムを使えば、目先の変更は私が行ったとしても、その先の大枠の全体計画の修正と最適化を自動で行ってくれます。複数シナリオが考えられる場合も、条件を再入力すれば新たな配船計画をいくつも提案してくれるので、比較検討を素早く行えます。そのため私は、目の前のトラブル対応に注力できるようになりました。

また従来のUIを充実させ、手作業による編集も快適に行えるようなフローとなったことで、配船計画自体はAIが自動で作成してくれますが、最終的な決定や細かな編集は人、私が行うシステムとなりました。AIはあくまでサポート、性能の良いカーナビのような位置づけとして使うことができています」

まさに「人が仕上げる」最適化を実現されたことが伺える言葉です。

日本製紙株式会社 原材料本部 林材部 調査役 宗円典久様

CASE02:計画作成時間が大幅に短縮。数億円の年間コスト削減と船の稼働率向上を見込む — 東北電力

続いて、東北電力の石炭海上輸送の配船計画最適化事例をご紹介します。

背景・課題・対策

  • 石炭配船業務の特徴

    • 石炭の配船計画は、石炭輸送船でサプライヤーから石炭を受け取り、火力発電所に届ける一連の計画を立案することが主な流れです。難しさは、火力発電所の石炭在庫を維持しつつ、石炭代・運賃・滞船料などのコストを極力抑えることが挙げられます。また、荒天や設備トラブルといった不測の事態に応じて計画を再編成する必要もあり、複雑な上に柔軟性が求められる業務でした。

  • 属人化と業務負荷

    • 柔軟な配船計画は熟練者でなければ立案が難しく、結果的に属人化が進んでいました。配船計画は一日がかりの業務で、計画の見直しも毎日のように発生していましたが、ノウハウが継承されていなかったため、適切な代行スタッフの育成が困難でした。そのため、担当者は休暇も取りづらい状況でした。

  • アプローチ

    • 東北電力の課題には、スムーズなノウハウの継承と、策定した配船計画が簡単に検証できることがあることに加え、石炭配船業務は要件が頻繁に変わることから、より柔軟なシステムの必要性を感じ、アジャイル開発に強みがあるALGO ARTISのAIソリューションを導入。

導入の効果:「計画業務は非常に楽に。当初想定になかった様々な分析にも活用し、業務効率化に繋がっている」

配船計画の改善効果は石炭輸送量等の諸条件によって変化しますが、開発時の検証において数億円の年間コスト削減と、船の稼働率向上が試算されました。
ここからは導入当時推進リーダーをご担当されていた海外電力調査会欧州事務所 副主任研究員の鈴木芳明様と、現在のご担当者である発電カンパニー 燃料部(燃料購買)主任 竹内啓祐様の実際のコメントをご紹介します。

「課題であった属人化はシステム化によって解消に繋がってきていると思います。但し、状況変化に合わせて入力データを最新の状態に保つことなど、システムの使い方に属人的な部分がまだ残っているため、今後の課題と考えています。石炭価格の乱高下など、開発当初と異なる状況も出てきたため、それらも踏まえていかに望むものが実現できるようにしていくかという点では、まだ改善余地があると思います」(竹内様)

「環境変化が大きい時代のため、短時間に様々なパターンの計画を作成できるようになり、計画業務は非常に楽になったと感じています。また、データの抽出や加工がし易く、欲しいデータが揃っているため、急な資料作成を求められたときにも、このシステムを使って対応するのが一番早いと感じています。このようにデジタル化を推進したことにより、当初思っていなかった使い方も出来ており、業務効率化に繋がっています。」(杉江様)

「ALGO ARTISは、手厚いフォローが他社にない強みだと思います。自分たちが手の届かないところまでフォローいただけるので大変助かっています。また、論理的思考力が強い人が多く、自分たちの抽象的な言葉をうまくまとめて頂けるので、週次の打ち合わせはとても楽しいですし、私達の勉強にもなっています。このシステムを120%活かしきるために、まだまだシステムの使い方も含めて習熟していかないといけないと感じており、色々な人が活用しながらブラッシュアップしていければと思っています。今後もワクワクするような新たな使い方などが考えられると期待しています」(竹内様)

(左) 発電カンパニー 燃料部(燃料購買)主任 竹内啓祐様
(右) 海外電力調査会欧州事務所 副主任研究員(東北電力 グループ戦略部門 戦略企画ユニット付)鈴木芳明様

両社の事例から見える配船計画×AIの可能性

ここまでの両社の事例から、複雑かつ柔軟性が求められる配船計画において、AI(アルゴリズム)ソリューションが非常に有効であることを、より具体的にイメージしていただけたかと思います。また、AIが計画を策定し複数の選択肢を提案、最終的に人が決定する「人が仕上げる」ソリューションだからこそ、担当者の皆様に実際に活用いただけていることも、感じていただけたかと思います。

また導入して終わりではなく、継続的なチューンアップによって、より精度の高い計画策定が可能になります。
私たち ALGO ARTISは、現場の人が効果を実感でき、かつ、現場の人が経営に貢献できる、現場にも経営にも役立つ、人が仕上げるAIソリューションを、これからもお客様と共に磨き、課題解決に貢献していきます。

*本記事内容は、取材時時点の情報です。


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