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運輸業の未来を支えるAI活用:鉄道・バスにおける運行計画最適化の新潮流

鉄道やバスといった公共交通は、私たちの生活に欠かせない社会インフラとなっています。このインフラを支えているのが、熟練の担当者によって作成されている「運行計画」です。

鉄道やバスが決められたダイヤ通りに運行されているのも、乗務員の労働条件や車両条件を始めとした様々な要件を加味した上で、効果的な運行計画が作られているからこそ。ただ、計画業務は複雑な制約条件が多数存在するため難易度が高く、担当者の業務負荷が高いことが課題とされてきました。
この現場において、“最適化AI(アルゴリズム)”が強力な武器になりうる──。本記事ではALGO ARTIS の取り組みを事例として、鉄道やバスといった運輸業における計画業務の課題とAIがもたらす可能性について紹介します。


運輸業界を支える運行計画

そもそも鉄道やバス事業における運行計画とはどのようなものを指すのでしょうか。以下の3つはその中でも主要なものです。

・年次ダイヤの改正
・日常的な運用計画(乗務員や車両)
・異常時の運転整理

細かいスケジュールは企業ごとに異なるものの、日常的な運行計画であれば「4日先」の計画を“毎日”作成することが多いです。営業ダイヤや乗務員の労働条件、車両ごとの制約などを踏まえて流動的に計画を作成する必要があるため、この業務は土日を問わず、365日実施されています。

事業者によっては管理システムを用いて一部の業務をデジタル化している場合もありますが、こと計画業務においては、その複雑さ故に今でも「手作業」が主流です。実際に私たちが伺った現場でも、担当者の方が大きな紙を使って計画を作成されていました。

人手不足や業務の属人化が大きな課題に

また複雑で専門性が高いだけでなく、安全で正確な運行のために精度の高さまで求められるのが運輸業における計画業務の特徴です。

そもそもバス事業者を筆頭に、運輸業界は人手不足に悩まされてきました。乗務員数と路線数のバランスが崩れ、公休出勤を前提としたシフトにならざるを得ないケースも珍しくありません。業務負荷の集中による従業員満足度の低下や離職率の増加は業界の課題になっていますが、これは乗務員に限った話ではなく、計画担当者においても同様です。

このような状況が深刻化していくと、路線の一部休止や運行停止といった最悪の事態にもつながりかねない。社会インフラとしての鉄道・バスの安定稼働を持続していくためにも、計画業務における課題解決は不可欠です。

最適化AI(アルゴリズム)で何が変わるのか、キーワードは「匠の技のデータ化」

こうした運輸業における運行計画業務を、卓越した最適化技術を駆使することで滑らかにしていく。ALGO ARTIS ではAIによる計画最適化ソリューション「Optium(オプティウム)」を用いて、そんなチャレンジに取り組んでいます。
キーワードは「匠の技のデータ化」です。Optium に熟練者のノウハウを取り込むことで、AIが複雑な運行計画を自動で生成・提案してくれる仕組みを実現します。Optium はフルオーダーメイドで提供しているため、事業者ごとの運用ルールや地域特有の事情を反映しながら、現場に即した計画を導き出せるのが特徴です。

デモ画面1:重視するポイントを指示して最適化ボタンをクリック!(指示内容は「目隠し」しています)

上の画像は、実際にOptium 上で鉄道の運行ダイヤ(2分ダイヤ)を作成した際の画面です。

人が手作業でダイヤを作成する場合には「定員を増加させるか」「他の線と接続させるか」といった複数の条件を勘案いながら計画を検討していきますが、Optium では“最適化ボタン一つ”で同様の作業をAIに任せることができます。計画作成時に加味して欲しい条件をあらかじめ設定しておけば、より現場の実体に合った計画を生成することも可能です。

AIと人の協働で「より優れた計画」が生まれる

もちろんAIの計画が常に完璧だとは限りません。あくまでAIにはサポート役として煩雑な部分を担ってもらい、人間が確認や最終調整をする。このような役割分担で、担当者の方に「AIを駆使していただく」のが理想的だと考えています。

先ほどの運行ダイヤの例では、ダイヤと一緒に車両運用計画なども自動で生成されます。これまでは運行ダイヤと車両運用計画をそれぞれ作成した上で、双方の整合性を確かめる作業が必要でした。このような人間にとって複雑で時間がかかる業務こそ、AIの真価が発揮される領域です。

すでにOptiumを活用いただいたお客様の中からは、最適化AI(アルゴリズム)による計画案の自動生成によって業務工数が7〜8割ほど削減された事例も出てきています。また計画業務にAIを活用する利点は、単なる工数の削減だけに留まりません。AIとの協働によって「より優れた計画を導き出せる」可能性もあります。

「優れた計画」とは何でしょう? 最適化AI(アルゴリズム)は多数の組み合わせを素早く試算することが得意です。そのため人力では検討できていなかった選択肢も含めて複数のシナリオを比較し、その中から最適解、つまり最適な計画を選ぶことができるようになります。

デモ画面2:最終的に人の判断でパターンを決定。
デモ画面3:最終的に最適化された運行計画が策定される。

最適化AIで運輸業界の革新を支え、持続可能な社会基盤を実現 

バスや鉄道の運行計画を最適化する取り組みは、公共交通を維持していく上でこれからますます重要になっていきます。ALGO ARTIS は最適化AIの社会実装を加速させることで、運輸業界の効率化やリスク低減に貢献してまいります。

今後もALGO ARTIS の展開にどうぞご期待ください。


Optium について
ALGO ARTIS は「社会基盤の最適化」というコーポレートビジョンを掲げ、計画最適化ソリューション「Optium(オプティウム)」をあらゆる産業へ提供しています。極めて複雑な運用計画にも適応可能な独自の最適化AI(アルゴリズム)と世界トップクラスの技術力を駆使し、人の手では難しい高度な最適化計画を、短時間かつ自動で出力。現場の課題解決およびコスト・リスク・環境負荷の低減に貢献しています。

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