イノベーションを当たり前に:次世代のスタンダードを創る〜代表 永田インタビュー
ALGO ARTISは、配船計画、生産計画といった、”計画”に特化したAI最適化ソリューションを提供していますが、代表の永田は最初からAI最適化ソリューションの構築を目指していたのではなく、仕事で出会った人達に触発されて注目するようになりました。
一会社員だった永田がどのような経緯でALGO ARTISを設立するに至ったのか、現在のALGO ARTISの企業理念が生まれる軌跡をご紹介します。
初めての就職先はどのような企業でしたか?
インクスという金型業界では有名な企業で、私が配属されたのはIT/業務コンサル部署でした。
社会を支えるような産業、かつ変化の大きな環境が自分にあっている気がして入社を決断しました。
現在では当たり前の3DプリンティングやIoT、オートメーションなどを先駆けて手掛けていたユニークな会社で、まさにITによって製造業にイノベーションを起こしていました。
このときの経験は今でも私の考え方に強い影響を与えていて、ALGO ARTISの事業の発想の原点になりました。
2社目のDeNAではどのような仕事をしましたか?
当時DeNAはフィーチャーフォンのモバゲータウンで成長していたのですが、それ自体にはあまり惹かれませんでした。ただ「変化の大きな環境」ではありましたし、何よりカルチャーというかヒトのエネルギーに惹かれました。
最後の4年間はAIを活用した新規事業の創出を任されました。もともと興味の強かった「社会を支える産業」をテーマにフォーカスした事業であったこともあり、100社以上の企業とお話をさせていただきました。
そのときに、ALGO ARTISの事業のきっかけとなるプロジェクトが始まりました。
きっかけとなったのはどんなプロジェクト?
発電所の燃料運用の計画を作成する業務でしたが、とにかく複雑で、明らかに人間の頭脳では解ききれないレベルの難易度でした。
熟練の担当者の方がなんとかして運用していましたが、決して最適な計画とは言えないものでした。
そのような計画にも関わらず、計画を立案するのは大変な能力が必要でした。
ノウハウが継承されていたら問題はなかったのですが、当時一人の熟練担当者の方しか計画を作ることができず、他の人に引き継ぐこともできていませんでした。
話を聞いた無知な私は不思議な感覚に陥ると同時に、ある考えに辿り着きました。
実務的な計画というのは、週末の旅行の計画とは違い、理論的にはロジカルに答えが出る類の問題なはずだと。
つまり様々な運用ルールを守った上で、収益性が高くリスクが低く環境負荷が低い計画を作るというような、基本的に諸条件が定義可能な世界の中の話であって、これ自体は決して創造的な作業ではなく、コンピュータでなんとかなるはずだと思いました。
コンピューターに代用させるのは技術的に難しいことだと聞いていましたが、実現可能なアルゴリズムさえ構築すれば、大きなイノベーションになると直感しました。
ALGO ARTISを設立した理由は?
複雑な運用計画をコンピューターに代用させるのは大きなイノベーションになると直感しましたが、DeNAの本業とのシナジー効果はほぼゼロで、蓋然性の高さもありませんでした。
また常に爆速で事業を成長させ続けるDeNAの中で、残念ながらこの事業に人やお金を十分に割いてもらえるほどのプレゼン能力は私にはありませんでした。
結局、スピンオフの道を選びましたが、最初から自社だけで運営するのは難しいため、VCから資金を調達しそのお金で事業を切り出すことで、事業をスピーディーに運営することにしました。
またDeNAに恩返しをするために、DeNAに株式を一部持ってもらうことにしました。
会社設立時の苦労を乗り越えることができた要因は?
一言で言って協力者がいたからです。
事業のきっかけとなる関西電力さんとの出会いを作ってくれたり、資金調達に奔走してくれた石坂さん、システム周りのことはいつでも何でもなんとかしてくれるシステムエンジニアの武藤さん、「技術的な困難」を吹き飛ばしてALGO ARTISの事業が本当に技術的に実現可能であることを自らの手で証明してくれたアルゴリズムエンジニアの門脇さん。
誰ひとり欠けていても今のALGO ARTISはありませんでした。
社名の由来は?
事業の根幹である「ALGORITHM」と、それを使いこなす職人的なアルゴリズムエンジニア、そしてその技術によって社会の職人的な技術をもつ人々を支えるという意味で「ARTISAN」を組み合わせました。
ARTISANには、技術・プロダクト・サービスに真摯に向き合い価値を提供することにとことんこだわり抜く、というALGO ARTISのフィロソフィーが込められています。
ALGO ARTISが目指す世界は?
ALGO ARTISは計画の最適化によって社会に価値を提供していますが、その価値は「高度化」と「自動化」の2つによって構成されています。
「高度化」は、人が考えるよりも高度で安定したアウトプットを得られるようにすることです。
例えるのであれば、四則演算を手計算で行っていたところに電卓を提供するようなものです。
高度化が「自動化」されるようになれば、その業務はもはや人がやる必要がなくなります。
結果、人は次のフロンティア「まだ人じゃないとできないこと」に向かうことができます。そこで人は創造的な発想によって新しい事業を生んだり、新しい業務を構築していき、またあるタイミングで技術革新によって機械にバトンタッチをする。そういったサイクルによって、世の中は一歩一歩良くなっていくのだと思います。
配船計画、生産計画を含む「計画」というのは、規模の大小あれど事業をまともに運営する上ではなくてはならないもので、その精度によって企業のパフォーマンスは大きく左右されるため、社会基盤を支える企業の計画がどれだけ最適化されているのかは、実は世の中に広く影響を与える要因だったりします。
今後の課題は?
業務によっては最適化できないことがあり、その見極めの精度を高めることです。
どんな業務の計画でも十分に最適化ができるわけではありませんし、顧客観点で十分な投資対効果が得られない場合もあります。
こういった場合、ALGO ARTISでは「やらないほうがいい」という提案をさせていただきます。
ALGO ARTISが目指している「社会基盤の最適化」とは何ですか?
当たり前のイノベーションで、次世代の当たり前になることです。
実現させるためには、技術的にもビジネス的にも多くの困難が存在するわけですが、それでも既に60名ほどのメンバーが集まってきてくれています。この小さくも強い流れが、近い将来、大きな流れとなって産業全体の風潮を大きく変えていけるのだと信じています。
ALGO ARTISが成し遂げたい未来
ここまで代表の永田のインタビューをご紹介してきました。
大きな困難に直面したことで、アルゴリズムによる解決の可能性に気付き、そして心強い協力者たちの存在が、会社設立への道を切り開きました。
そして多くの企業が持つ職人的技術を、ALGO ARTISは高い技術力でアルゴリズムに落とし込み、お客様に貢献する実績を積んできました。
設立から3年経ち、4年目を迎えた今年、ビジョン、ミッションを刷新し、これまでの実績とこれからのインパクトを描いたImpact Report2024を発行しました。
ALGO ARTISは今後も「社会基盤の最適化」というビジョンのもと、多様な分野の課題解決に貢献していきます。
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