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AIによる配船計画最適化の新潮流とは 〜「人が仕上げる」AIソリューションVol.2

前回は配船計画をテーマに、業務の難しさや抱える課題、最適化AI(ヒューリスティックアルゴリズム)による課題解決についてご紹介しました。昨今、配船計画は複雑化の度合いを増しており、複雑になればなるほど、従来のアナログ的な方法では限界があることは容易に想像できます。

配船計画を最適化するには、AIの活用が有益であることは前回お伝えしましたが、AIによる最適化には欠かせないポイントがあり、そのポイントを押さえなければ現場にフィットしません。
今回はそんなポイントを押さえた、私たちALGO ARTISの設計アプローチをお届けします。


前回の記事はこちらから:

配船計画とAI、課題と解決ポイント

まず配船計画における課題をおさらいし、課題解決のためのAI最適化における重要なポイントから考えてみましょう。

配船計画業務の課題:

  • 計画作成のための制約条件が多く複雑

  • 計画策定できる人が限定的(属人化)

  • 頻繁な計画見直しが発生(業務負荷)

AI最適化におけるポイント:

  • 複雑な制約条件や変化に対応できる(柔軟性)

    • 制約条件に柔軟に対応し、優先度の変更にも応じられること

    • 自然災害や想定外の外部要因による変化への対応ができること

  • スムーズなUIで誰でも使える(属人性の排除)

    • 直感的なUIであれば、非熟練者でも計画が作成できるようになること

  • 短時間でいくつかのシナリオの計画策定ができる(現場で使える実用性)

    • 計画業務の時間を大幅に短縮することができること

    • いくつかのシナリオから作成された計画からベストなものを選択できること

これらのポイントを押さえながら、どのようなAIでどのような最適化を行い、実際にどのような使い勝手であれば本当に現場で使えるものになるのか、ALGO ARTISのソリューション「Optium(オプティウム)」の特徴をまとめながら考えていきましょう。

現場で使えるAI最適化

1. 複雑で多様な制約条件をフルオーダーで実装

制約条件は企業によってさまざまです。また、AIには複数の種類が存在しますが、ALGO ARTISはヒューリスティックアルゴリズムをメインに採用しています。これは、現実の複雑な運用条件を考慮しつつ、要件が変更されても効率的に近似解を見つけ、影響を最小限に抑えられるからです。
複雑な計画に特化したヒューリスティックアルゴリズムを用いることで、従来のソリューションでは考慮しきれなかった、各企業が持つ多様な運用上の条件に対応し、フルオーダーで実装しています。

2.ヒトを超える最適計画を出力、実現する技術力

あらゆる制約を踏まえたうえで、世界トップクラスの技術力を用いてヒトを超える最適計画をわずか数分で出力し、劇的な収益向上・リスク低減を実現します。
長時間にわたる配船計画を立案しても、急な要件変更やトラブルは避けられません。ヒューリスティック最適化では、解の厳密性よりも、現実的な時間内での出力を重視し、短時間で最適化計画を自動提案します。

また複雑な配船計画に適したヒューリスティックアルゴリズムですが、効果的に設計・適用するには、高度な専門知識が必要です。ALGO ARTISには世界トップレベルのアルゴリズムエンジニアが国内最多在籍しており、エンジニアたちは各案件の開発に携わるだけでなく、競技プログラミングにも参加することで積極的に腕を磨き、速度と精度を高次元でバランスするAIソリューションを実現しています。

3.熟練者任せの計画策定から脱却

いくら優れたAIソリューションを活用しても、限られた人しか使えないのであれば意味がありません。ALGO ARTISのAIソリューションは、配船計画を自動的に最適化するだけでなく、とことん現場の利用者に寄り添った設計をしています。
直感的で操作しやすいUI、人による調整機能、コミュニケーション機能の実装など、熟練者ノウハウを導入過程で形式知化するとともに、非熟練者でも直感的に操作可能なシステムを構築することで、計画策定業務の属人化を解消していきます。

【船ビュー】船ごとの公開計画を可視化。最適化結果の確認や計画の修正などの作業を直観的に行えます。
【工場ビュー】揚地ごとの在庫量を可視化。船の到着日と合わせて確認することで、在庫の過不足リスクを最小化します。

設計アプローチ:使う”人”を中心に考える

ALGO ARTISでは、世界トップレベルのアルゴリズムエンジニアを核に、ビジネスメンバー、プロダクトエンジニアたちがプロジェクトチームを組み、個々のお客様の課題を吸い上げ、各社にとって最適なソリューションに仕上げています。
実際どのようなアプローチをしているのかをご紹介しましょう。

1.徹底した課題明確化

設計の基本は課題の明確化からはじまります。ヒアリングを重ねることで課題を掘り下げ、言語化していきます。お客様は改善したい点や業界特性や個社の特徴を、ALGO ARTISのエンジニアは開発面での課題も明確化します。

2.プロセスを踏み、チューニングを重ねる

課題を徹底的に明確化しても、いきなりは本開発には進みません。
まず「アセスメント」を実施します。具体的には実際の運用環境の調査を行ったり、実際のデータを取り込み想定される利用状況や将来想定されるリスクに対しても客観的に検証します。

アセスメントの後は「PoC(Proof of Concept/概念実証)」へ進みます。アイディアや理論がコーディング(プログラミング)で実現可能かどうかを検証する作業です。

次に実施するのは「プロトタイピング」ですが、試作品をつくることを意味しています。お客様からのフィードバックをもとに、改善点をどんどん反映して、現場で使う人が安心して、利便性高く使えるものをカタチにしていきます。

これらの手順を踏んで本開発に進むため、ユーザーフレンドリー且つ精度の高いAIソリューションが構築できるのです。実際にあるお客様からは、計画担当者が理想としていた思った通りの計画を作ることができるようになったと言われています。それは、このような手順を惜しみなく踏み、お客様とALGO ARTISがワンチームとして取り組んでいる証拠と言えるでしょう。

お問い合わせから運用までの基本プロセス

3.人が仕上げる最適化

上流工程段階から、ALGO ARTISはAIによる最適化を、人が仕上げることを意識しています。膨大な量のデータをAIが短時間で捌き、複数のシナリオに応じた最適化案を作成、それらを比較・検討・決定することで最適化が完成します。完成した計画に人が手を加えることも可能です。例えば、UI上で納期スケジュールの変更などを、ドラッグして変更すると、変更したスケジュールに沿って再度最適な計画を自動計算します。

複数のシナリオでの最適化と各KPIを定量的に比較評価

複雑で負荷の高い配船計画業務ですが、より効率良く精度の高い計画を立案するには、

  • 膨大な量のデータを短時間で捌き提案するAIの力

  • 状況を柔軟に考え今自社が何を優先すべきかを考え決定する人の力

両方を活かすことが重要なのです。

実際に導入されたお客様の事例では、配船作業時間が導入前の約1/3に短縮され、コスト面はもちろん、CO2排出量の削減という環境面でも成果を上げることができました。

現場の人が効果を実感でき、かつ、現場の人が経営に貢献できる、現場にも経営にも役立つ、人が仕上げるAIソリューションを、ALGO ARTISはこれからも磨いていきます。

今後もこのnoteで進捗や裏側、具体的な事例などもお届けしていきますので、どうぞご注目ください。


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