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【介護保険外】叶えられなかったあの人の願い、今叶えている願い

起業をした経緯はnoteで話してきてはいますが、大きくわけて2つの理由があります。

1つ目の理由は、ただ単にブラックな施設介護職や管理職の仕事から離れたかったこと!
燃え尽きて、逃げたんです!
今後の人生で二度と、正社員介護職に戻ることはありません!

2つ目の理由は、前々から、外出支援に関する仕事がしたいと思っていたこと!通院や買い物だけでなく、旅行やお墓参りなど介護保険ではできない楽しみに関する支援をしたかったのです。

今日は2つ目の理由について・・・
介護施設にいた頃のエピソードを交えながらお話しします。



伊豆へ行きたいと行っていた施設の入居者


私がユニット型特養のユニットリーダーをしていた頃の話。

その施設ではホーム長はきさくな人で、各リーダーにユニットの運営を任せてくれる人でした。

そのため、各ユニットの特色がかなり出て、レクリエーションをたくさんやるユニットや、ユニット内の装飾に凝るユニットなど差があって面白かったのです。

私はほとんどの特養ではできない外出支援をその頃から行っていました。

もちろん、人手が足りなくなった時は無理ですが、オープニングの頃は入居者の方も少なく、スタッフも多くてゆとりがあったのです。

私はデイサービスやショートステイで働いてたころもあって、ご利用者を乗せて運転するのは慣れていたのです。

そのスキルが、今も活かせていますね!


私が退職する1年前くらいに入居してきた男性Aさんのお話です。

Aさんは当時70代半ばくらい(だった記憶)。入居してきた時はすでに車椅子でしたが、
「このままでは私は駄目になります!」
・・・と話され、毎日、手すりにつかまってのリハビリを、スタッフと一緒に頑張っていたのです。

Aさんは入居したての頃より身体も元気になり、笑顔も増えていきました。


ある日、私とAさんで話している時、旅行の話題になりました。

先に話した通り、オープニングから施設の車を使って外出支援を積極的に行っていたユニットだったので、Aさんもどこかへ連れて行ってあげたかったのです。

私は、
「Aさんはどこへ行きたいですか?」
・・・と尋ねたところ、

「伊豆へ行きたいですね」
・・・とおっしゃっていました。

関東のとある施設でしたが、静岡までは200kmくらいでした。
ちょっとお出かけ・・・という距離ではなく、すぐには無理でした。
なんとか近くで妥協してもらおうかと思ったのです。

しかし理解あるホーム長にそのことを話したところ、
「おー、いいんじゃない?やってみたら。」
・・・とのこと。

しかしいろいろな問題があります。
オープニングから数年経っており、施設全体でのスタッフ減で人手不足でした。あまりに遠くなので、土地勘のないところの運転もありスタッフ一人では危ないです。障害者用トイレの場所なども把握しなければなりません。

ただ、絶対に無理・・・というわけではありませんでした。
他のお客様の
「◯◯公園で桜を観たい」
「スーパーでたんまりお菓子を買ってきたい」
という願いも叶えていましたし、Aさんの願いもなんとか叶えてあげたいと思っていました。

ただ、言い訳になりますが、ユニットリーダーとして他のことで手一杯で、とてもAさんの外出支援に手が回りませんでした。

「今の忙しさが解消したら取り掛かろう」
・・・と思っていたら、いつまでもそんなことはありませんでした。


そんな中、Aさんはとある事情で、別ユニットへうつることになりました。

お客様のユニット移動というのは、料金や介護度の問題などでわりと頻繁に起こることです。

Aさんはユニット移動に猛反対されていましたが、ご家族の説得もあり、最終的には了承されました。


しかし移動先のユニットで、Aさんはリハビリも徐々にしなくなり、寝たきりの生活になってしまいました。
認知症症状はなく、クリアだったので、時々会いにいくと挨拶をしてくれたのは嬉しかったですが。

やがてAさんは入院され、長期間戻ってこないことが見込まれるため、退所となりました。
その後、相談員経由で、お亡くなりになったことを聴きました。


早く福祉送迎車がほしいと思う最近の出来事


私は今、外出支援サービスを一人で行っている個人介護士です。

外出支援依頼の9割以上は通院の付き添いですが、外食や公園などそれ以外の付き添いも行っています。

そういう意味では、
「◯◯へ行きたい」
・・・というお客様の願いを日々叶えられている状態です。私も仕事じたいにストレスはほぼなく、とても楽しいです。


ただ、車椅子ごと乗れる車両(リフトとかスロープ車)はいまだに買っていません。

長年のっている普通のオンボロ軽自動車で仕事をしていますが、km数を鑑みるとまだまだ使えるので買い替える決断ができていないのです。

そして実際、お客様が皆、歩いて車に乗れる方ばかりなので必要もなかったのです。


ですが、最近、
「福祉送迎車が必要だな」
・・・と感じる出来事がありました。

私の契約しているお客様ではなく、知り合いBさんのお話です。

Bさん
「私の妻が全く歩けなくて車椅子なんだけど、まだ頭が元気でしっかりしてるんだよ!認知症とかになるうちにどこかへ旅行とか連れて行ってあげたくてね。そういうサービスあるのはわかるけど、どこも高いでしょ〜??
 アルゴさんのところはできる?」

私はBさんに他よりも格段に安価なサービスでやっていることを説明しました。

ですが、肝心の福祉送迎車はありません。必要ありませんでしたから。

Bさんとは親しくしていたのでなんとか叶えてやりたい気持ちが強いのです。Bさんの奥さんの為だけに車を買い替えるのもどうかと思いましたが、将来的には買い替えることは間違いないのです。

私は今でもAさんを伊豆へ連れて行ってあげられなかったことを思い出します。

「あの時、Bさんの奥さんを旅行に連れて行ってあげられたら良かったな・・・」

そう、後悔することないよう、早めに行動したいなと思っています。



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アルゴ@介護福祉士(フリー)
サポートですか・・・。人にお願いするまえに、自分が常に努力しなくては。