被災地復興の複合体

1988年から2年足らずで日本の音楽史に歴史を刻んで、突如として解散した吉川晃司・布袋寅泰によるロックユニット "COMPLEX" の再結成。20240515-16 東京ドーム。
ビデオで観たことしかなかった、もう2度とこの目で観ることができないと思っていたユニットがもう一度ライブをするなんて。衝撃だった。
今回も2011年に再結成した時と同様、大地震によって甚大な被害を受けた被災地への復興支援として開催された。
サラッと書いたけど、1988年だって、結成。俺生まれてないよ。こんなセンセーショナルなユニットを教えてくれた父親に感謝だね。

次いつ再結成するかわからないユニットのライブ。絶対に行きたかった。全てのチケット抽選に応募したが、全ハズレ。観れずじまいかと思っていたが、そこに蜘蛛の糸。ライブ前日の14日にまさかの再販。当たったけどお金払い忘れた人がいたり、転売されている席を突き止めたりできたのだろう。この糸を逃すまいと、友達からサーバー激強だと教えられたネットカフェに販売開始1時間前から待機していた。
そして販売時刻。サクサク動くネカフェのパソコン。さすが。一度も止まることなく16日のチケットをゲット。勝った。その場で新幹線のチケットも予約し、日帰りライブツアー決定。

今年2回目の東京ドーム(前に書いた櫻坂のライブで結局3回行くことに)。
何かと今年は東京に行くことが多いな。

まずはグッズを買いたかった。12時販売開始だったから、10時半ぐらいにはもう会場にいた。だけどもう大行列。結局買えたのは13時過ぎ。もう足が棒になった。事前販売がなかったから人が押し寄せちゃったね。

昼食はドーム前のつけ麺屋で。扉を開け、中を見るとまあびっくり。本当にマジにみんなリーゼントだった。布袋ファン気合い入りすぎて尊敬した。

そんなこんなあって開場時刻。チケットに印字してある座席番号を見て、探してようやく着席。まさかのエキサイトシートだった。ゆったり座れたのは良かったが、目の前に照明とカメラの鉄筋の櫓がデーンと建っていた。まあこれはしょうがない。行けただけ感謝せねば。
開演前はデヴィッド・ボウイやクイーンなどブリティッシュロックが延々流れていた。たぶん布袋の趣味。


さあ17時30分。いよいよ開演。スクリーンには「20240515-16」「日本一心」「COMPLEX」の文字が。その直後、オープニングSEである、ワーグナーの「Ride of the Valkyries (ワルキューレの騎行)」に合わせて、最初のライブツアーである「COMPLEX TOUR '89」、解散ライブである「ROMANTIC EXTRA」、東日本大震災の復興支援のために再結成した2011年の「日本一心」の映像が走馬灯のように流れた。

SEが終わり、5万人の大歓声に包まれ、期待と緊張が最高潮になった瞬間、「BE MY BABY... BE MY BABY...」と聴き覚えのあるリフレインが。ドラムが鳴り、シンセサイザーが音を発すると、そこにCOMPLEXがいた。今までビデオでしか観れなかったCOMPLEXがいた。ガッチリと握手を交わすCOMPLEXがいた。そして次の瞬間、空間を切り裂くようにギターサウンドがドーム内に鳴り響いた。
一瞬で自分の空気に変えてしまう布袋のギター、低くて厚い吉川の歌声。何もかもが美しかった。

「BE MY BABY」の最後では、吉川お馴染みのシンバルキック。両目を手術したにも関わらず、高さ2mの位置にあるシンバルをいとも簡単に回し蹴りで叩いてみせた。ロックシンガーとして並々ならぬ努力をしてるんだなと、改めて感じた。

その後は「PRETTY DOLL」「CRASH COMPLEXION」と2011年と同じセットリストでライブは続いていった。どの曲でも5万人が一斉に歌っていた。
前半のゴリゴリのロックも、中盤でのメロディアスなポップ、しっとりとしたバラードも全セクション素晴らしかった。
バラードセクションが終わって、「ROMANTICA」演奏後からの怒涛のハイテンポなロックゾーンは気分が最高潮だった。
なかでも「GOOD SAVAGE」でのギターソロの応酬は痺れた。「もっと来い!もっと来い!」と煽る布袋、負けじとついていく吉川。ガチのギターバトルを観た。
その後の「恋をとめないで」「MAJESTIC BABY」は大合唱。5万人のうちの1人に自分が関われていることにすごく感動した。ここで本編は終了。

アンコールで出てきた吉川が客席にタオルを投げたが、ダメだったらしい。ダメというのは届かなかったってことではなくて、演者が客席に物を投げることが禁止だったらしい。スタッフに注意されてた笑。

まあそんな出来事があり、聴き覚えのあるシンセの音が。「1990」。
1990年は冷戦終了によるベルリンの壁崩壊や中国での天安門事件、ソ連からの完全独立と民主化を求めた東欧革命など、時代が大きく変わった年だった。この曲の詩は、激動する世界情勢を憂いた物だったはず。しかしこの時だけは純粋なラブソングで、被災地復興のために、みんなで協力して前を向いていこうという力強いメッセージのある曲に変化していた気がする。

「1990」が終わると、吉川によるコール&レスポンスから「RAMBLING MAN」に。布袋にも歌わせようとマイクを向けた吉川だったが、それに気づかず背を向けてメインステージに戻っちゃった布袋。それを追いかける吉川。なんともほっこりした笑。ここでアンコール終了。

前回のようにそのままのセットリストで続くかなぁと思っていたら、時計の音が。「CLOCKWORK RUNNERS」を演奏してくれた。予想だにしていなかったから、またもやテンションマックスに。そして最後は「AFTER THE RAIN」。しっとりとライブを締めた。
これにて「COMPLEX 能登半島地震復興支援チャリティライブ 〜日本一心〜」は終了。

最後のMCで布袋が「吉川くん、新曲なんてどうかな?」と言っていたが、まぁないだろうな笑。あればめちゃくちゃ嬉しいけどね。

この日は無意識に拳を突き上げ、大声で歌っていた。我を忘れて楽しんでいたのはこれが初めてじゃないかな。


ライブ鑑賞が決まったのが急だったとはいえ、COMPLEXの再結成をこの目で観れたこと、熱量のある素晴らしい空間にいられたことが嬉しかった。
そしてチケットやグッズで使ったお金が復興支援金として直接被災地へ届けられること。
1日でも1秒でも早く、被災された方へ何気ない日常が戻ることを願っています。


15-16日に東京ドームに集った10万人と、吉川・布袋、そしてサポートメンバーの面々全員で復興支援に協力した「COMPLEX(複合体)」だったような気がする。

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