私の人材育成法
私の人材育成方針は、基本的に放任主義です。やってもらうことと目的を最初に話しますが、あとは各自のやり方に任せます。任せますというよりは、やっていることに口を挟まないようにしています。目的がずれていなければ、いずれこちらの望む成果が出るだろうと思うからです。
なので各部署の会議も、週1回、30分ほどのみで、ほぼ進捗確認だけで終わります。新しく本社勤務になったメンバーは、それまでの現場の仕事と全く違う進め方に、最初は戸惑うようです。
それまでは、上司からの指示があったものを作業して、確認をしながら進め、できたものに了承を受けて次に進む、という流れでやっていたものが、本社に来ると、突然すべてがなくなります。
「この課題を解決したい」という指示はしますが、どうやるかは指示しません。まずは何をしなくてはいけないかから考えなくてはいけないのですが、その訓練をしていない人は、立ち止まって動けなくなってしまいます。
それでも週一の進捗報告の会議はやってくるので、そこでなにかを報告しなくてはなりません。「1週間何も進んでません」とは言えないので、自然となにかを動かなくてはならなくなります。その中でがむしゃらに試行錯誤をしていくことで、次第に「自分で考えて仕事をする」ことができるようになります。
また、現場から本社に来た人は、「まず許可を得る」という発想になることが多いです。そしてその許可を得たことを紋所として、仕事を進めていこうとします。私はその許可を問われると、「自分で考えて必要ならやればいいんじゃないの?」と返します。責任の所在を自分にしたくないという、現場の処世術だとは思いますが、私はこれを否定します。
手荒な方法かもしれませんが、主体的に、自律的に仕事をしてほしいなら、本当に一人で、自分だけしか主体がいない状態で仕事をさせないと、自律的な社員にはならないと思っています。
内容によっては、手助けをするべきかどうか悩むものもあります。その時も、手を出すことがその人にとっての思いやりか、手を出さないことが思いやりかを考えながら、最終的には「放任」します。
オンラインでの業務が主になり、会議でしか顔をあわせないような状態になっても、このやり方を貫いています。ただ、ここまでオンラインが増えていくと、このやり方ではコミュニケーションが少なすぎるのではないかと、最近考えています。
放任がいいのか、多少は手を出したほうがいいのか、オンラインでの仕事が常態化する中で、自律的な社員をつくる最適な人材育成法を、模索しているところです。